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黄道を刻む二十四の時の詩

白銀と黄金が響かせた歌声

作者: 日浦海里

空と地の狭間を分かつ山並みが

歳を重ねた色を帯び始めている


吹き下ろす風は刺すような痛みを伴って

枝先に残された命の糧を刈り取っていく


命の終わりのようでいて

命の始まりにつなぐ風


金色の風は

いつしか白を纏う風になって

空は終わりと始まりを混ぜたような

黒に染まる


豊穣の歌は遠のいて

流れてくるのは温もりの歌


冷たい冷たいと凍えていながら

柔らかく楽しげな音が聞こえてくる


胸に手を当てれば

そこには未だ微かに残る夏の日の熱


誰のための歌でもなくて

それはただ自分のための歌であっても

伝わってくるのは命の愛しさ


歩を進めれば

さくと音がする


地に温もりをもたらす

木々の葉の布団が鳴らした音なのか

その下で伸びやかに育っている

氷の柱の音なのか


踏みしめる度に響く歌声に

どうかこの声が届きますようにと

祈りながらまた歩を進めた



今日は立冬


暦の上では冬の始まりです。

木枯らしが吹き、

空の青に彩りを添えていた木々の葉は

今度は地を彩って

空はより青くなり

けれどより遠くに感じるようになります。


【登場人物紹介】

〇秋姫(春姫)

 ただ、世界を潤すことだけが出来る。

 行き過ぎれば全てを流し去ることも。

 身の内に渇きを抱えているなら

 少しでも癒しになれば、と思えど

 心の温もりを持たない彼女は

 何が救いで、何が痛みか

 感覚で判断することが出来ずにいて

 今一歩を踏み出すことに躊躇いを覚えます。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  風の歌声は河岸のススキを揺らすような柔らかくも ぐっと押すように強く冷たく季節を吹き変えるようですね♪
[良い点]  秋から冬に変わる景色。  色を失うようであり、その実、その白さで色を覆って守っているようにも見えるなぁ、と。  温もりの歌、との言葉に冬姫の頃の作品を思い出して、そんな風に思いました。 …
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