表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤高の死神 〜力はあるのに才能が無かった男は、さらなる力と才能を開花させる〜  作者: 適当に執筆しております。
第一章:覚醒した主人公
4/14

04:久しぶりの登校(内部時間2035年7/20)

「久しぶりだなぁ・・・。この道を歩くのだって1ヶ月半ぶりだし。」


 俺は今、通学路を歩いていた。学校まで残り半分に差し掛かったところで、後ろから誰かに背中を叩かれた。だが、幸いにも(?)ステータスを使っていなかったので、相手が痛がることはなかったが。そして相手は、俺の1番の友達だった。


「おはよう、誠。」

「ああ、おはよう涼介。・・・面と向かって話すのも久しぶりだな。」

「そうだな。」


 その後、涼介との他愛のない会話を楽しみ学校に着いた。そして校門を通ると、俺の見慣れた女子がこっちに走ってきた。だが、何故か涼介の顔色が悪い。走ってきた女子の名前は青葉光梨(あおばひかり)。俺のクラスメイトである。ちなみに俺のクラスは2−4で、中退前と同じクラスだった。


「? どうした涼介、顔色が悪いぞ?」

「どうもこうもねーよ。俺はアイツに・・・!?」


 そこで涼介の言葉が途切れる。俺も突然の出来事で困惑する。なんと、付き合ってもいない光梨に抱きつかれたのだ。そして、何故か光梨が泣き出した・・・


「??? あの〜光梨? 光梨さん? ちょっと離れて・・・」

「嫌だ! 嫌だ嫌だ嫌だ! 誠くんが突然いなくなって、私がどんだけ寂しかったと思ってるの!? ・・・私から感情を、気持ちを奪わないで!!」


 それは光梨の、悲痛の叫びだった。そしてここで、母さんの言葉を思い出す。


『あなたがいないと寂しいと思う友達が、誠にはいないんですか?』


 全くもってその通りだった。そう思いながら光梨を抱きしめる。ものすごく恥ずかしいが、「俺がやっているのは贖罪だ。」と自分に言い聞かせて、羞恥心を相殺する。


「ごめんね。ごめんね光梨。でも、やりたいことがあったんだ。」


 そんなことを言うと、光梨が拗ねたように頬を膨らませた。だが・・・


「・・・お熱いところすまないが、そろそろ行かないか?」

「あ、すまねぇ涼介。光梨、離れてくれ。」


 俺は慌てて涼介に返事をし、光梨を揺すって離そうとする。だが・・・


「えぇ〜、や〜だぁ〜。もっと一緒にいるぅ〜。」

「え? ちょ、ちょっと・・・動けないんだけど。」

「このまま私の虜になってもいいんだよ?」


 更に力を入れて抱きついてくる。ここまで来るともう、「アソコが当たってるよ」とは言えなくなってくる。

 ・・・て言うか授業が、授業が待っている(?)。

 とりあえず、光梨を優しく振りほどく。そして涼介と一緒に教室へ向かった。


 ・・・


(・・・伝えられなかった。誠くんに、『あなたが好きですっ。』って、言えなかった。)


 今、私こと青葉光梨は嘆いていた。

 私には現在進行系で好きな人がいる。その相手は紅葉誠くんで、彼は1度この学校を辞めている。あの時も、私は言えなかった。言うのが、怖かった。今まで積み重ねたものが崩れてしまったら・・・そう思うと、怖くて怖くて仕方がなかった。・・・でも、今度こそは大丈夫と思っていても、すごく怖かった。


「・・・どうしよう? 奪われたくないのに、言い出せないよぉ・・・。」


 そして私は、覚悟を決めようと考え始めた。初恋の人を奪われないように・・・


 ・・・


「ん? 今なんか、すごく焦れったい気配を感じ取ったんだが、この気配の感じ方とその対象・・・。考え過ぎか?」

(俺は感知系スキルなんて持っていない。考えられる可能性は、そういう事を考えている内に自然と出て、その相手が俺だったのか。)


 気配には色々な特性がある。その内の1つに、『考えている事が常に気配に出る』というものがあり、更にそれが一定の人物だった場合、ごく低確率で伝わる事もある。そして誠は、それが発生した場所を調べる事にした。すると・・・


(・・・最悪だ、光梨が出したのか。もっとやばい事になるぞ。)


 それは、今一番知りたくない情報だった。そして、どうしようか考えていると・・・


「おーい、誠? 大丈夫か?」

「・・・ん? あぁ悪い。考え事してた。」

「勘弁してくれよな。まぁいい。良いこと教えてやるよ。」

「良いことって何?」


 そう言うと、涼介はニヤっとした。そしてその笑みに、誠は冷や汗をかいていた。その理由は、嫌な予感がしたからであった。


「ついこの前、お前の席で光梨が寝てたんだよ。」

「はぁ!?」

「落ち着け、まだ終わりじゃねー。問題は、光梨が寝てた時にヨダレ垂らしてて、寝言でこうも言ってたな。『誠くん、私は誠くんのことがだ・・・』」

「わーわーわー!!」

「うわぁ!?」


 後ろから大声がして、びっくりしながら後ろを振り向くと、光梨がいた。顔を真っ赤にしながら。


「ん? どうしたんだ? ・・・んじゃあ続きを・・・」

「涼介くん?」

「・・・分かってるって、お約束(・・・)だろ?」

「分かればいいのよ。」


 そう言って俺の右隣の席に座ってきた。・・・?


「何でこっち居んの?」

「・・・この席だからに、決まってるじゃん。」


 その後の授業は集中できなかった。そして今日は午前の授業で終了らしく、そそくさと家に直行して解放者の服装に着替え、B級最下位(・・・・・)のダンジョンに向かった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ