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泥棒ヒゲが牛乳だったので結婚しました。

作者: しいたけ
掲載日:2020/12/04

 深夜二時、草木も眠る丑三つ時。俺は微かな物音で目を覚ました。元来眠りが浅い方で、車の音や犬の遠吠えで目を覚ます程。しかし、今回はそんな体質が功を奏した。


「誰だ!?」


 その不審な人影に声を掛けると、今の今まで漁っていた箪笥の引き出しをスッと静かに閉め、諦めのため息をつきコッチを見た。傍らには膨らんだ唐草模様の風呂敷が置いてあり、いかにも……と言うか間違いなく泥棒の類いである事に間違いは無かった。


 不審人物は静かに立ち上がり、微動だにせず俺をジッと見つめている。俺は次第に冷静さを取り戻し、静かに部屋の電気を付けた。すると、その不審人物の正体に俺は戸惑うのであった……!


「す、杉田課長!?」


 それはなんと、俺の会社の女課長だったのだ! 思わず狼狽える俺、しかし課長は静かに人差し指を口に当て、静かにするように俺を促した。


「す、すみません……!」


 その口元をよくみると、牛乳ヒゲが着いており、手には俺が愛用しているバック・トゥ・ザ・フューチャーのシャツが握られていた。


「……課長。俺の牛乳……飲みましたか?」


「ああ。私が飲んでいるのと同じ牛乳だからな。心置きなく飲み干したぞ」



「……課長。そのシャツ、俺のでは?」


「ああ。私が愛用しているのと同じだからな。心置きなく頂くぞ」



 課長は澄んだ瞳で俺を見つめている。そして心なしか頬が赤い。それもそうだ、盗みの現場を目撃されとなれば、どんなに冷静に振る舞おうが、心中穏やかではいられまい。


「私は知っている」


「?」


 課長が椅子に座り、足を組んで長い髪を指先でクルクルを弄りだした。


「君は髪の長い女が好きだろう?」


「え、ええ……まぁ」


「出来れば服の趣味は同じ人が良いと思っている」


「……はぁ」


「そしてちょっとドジでマヌケな女の子が大好きだ」


「え、ええ……そこまで言われると恥ずかしいんですが……」


「どうだ、私は……?」


「えっ……?」


 課長の髪は腰まで長く、そして綺麗な黒髪だ。俺の愛用している服に目を付けている辺り、趣味も同じだろう。牛乳ヒゲが出来てしまうマヌケっぷりは、正直好印象。そしてなにより……乳がデカい!!


「この乳は偽物だが、私の気持ちは本物だ!! 私と結婚してくれ……!!」


 課長がパッドを放り投げた。


 そしてなによりの乳がいきなり無くなったが、それでも俺は……!


「俺も課長が好きです!!」



 こうして俺達は結ばれた──幸せとは、いつどうやって訪れるか、分からないものだなぁ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 課長、あなたはドジで間抜けな子ではなく、変態なストーカーですwww しかーし! これはハッピーエンド! おっぱいが偽物でもいいと言えるなんて、その愛は本物だ!(私なら悩む)
[一言] なんだかわからないが「面白い」(笑)
[一言] パッドを放り投げた瞬間、全ての仮面を脱いだんですね、大変なものを盗んで行きました。
2020/12/05 07:33 退会済み
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