01・旅立てない
初投稿です。拙いですがよろしくお願いします。
どうしてこうなった……。
どこまでも続くような青い空。風を受けてさざめく草原に立った僕は、喉に突き付けられた剣を見ながら自戒する。
「よく聞こえなかった。もう一度言って貰えるかしら?」
逆光でよく見えないが、恐ろしいほど口角の上がった笑みを浮かべる少女に、僕は震えの止まらない身体に逆らって、もう一度その言葉を伝えた。
「チェンジで」
そして僕はまた死んだ。
※※※※※
神様がいるかいないかと聞かれれば、僕はいると答えるだろう。
何故なら、まさに僕の目の前にいるからだ。
「おおタクト、死んでしまうとは情けない。貴方にもう一度やり直す機会を与えましょう。ただしこれは初回サービスであり、次に死んでしまいましたらそこで終わりですので気を付けて下さいね!」
お下げが可愛い幼女(神)が同じ言葉を繰り返す。いかにも生き返らせたのは初めてで「今回だけですよ?」的な雰囲気を出してくるのが妙に腹立たしい。
「いや、これ5回目なんですけど……」
そう、僕は転生スタートで即、死に戻りを5回繰り返している。何故かと言えば、転生ボーナスで貰ったスキルが大失敗だったからだ。
「神様お願いします! スキルをもう一度、もう一度選ばせて下さい!!」
「無理ですっ!」
こいつ、即答しやがった! 考える素振りもしやがらねぇ。僕だってもう死にたくないし、剣で突き殺されるのは超痛いし怖いんだよ! と言おうとして気付いた。幼女(神)の後ろに何かいる! そしてその首に押し付けられているのは……。
「頼む、娶ってあげて!」
首筋に剣を当てられた幼女(神)からの必死の懇願。僕は悟った。あ、これ駄目なやつだ、と。
「よく聞こえなかったの、もう一度言ってくれるかしら?」
そして幼女(神)の後ろから、草原で聞いたのと同じとても穏やかな少女の声が聞こえた。僕は本能で逃げられないと悟った。せっかく転生したのに、なんでよりにもよってアイツなんだよ……。
「僕の……、お嫁さんになって下さい」
少女は何も言わない。無言で続きを促し――「ひッ!」って幼女(神)の首をちょっと切りやがった!? 神様死んだら俺たちどうなるか解らないのに何してくれてるのこいつ!?
「お、お願いします!」
僕はかぶせ気味にお願いした。せっかく転生したのに神様死んで即ゲームオーバーとかほんとあり得ないし倫理的にも幼女(神)は見捨てられない。
「あら、そこまで言われたら仕方ないわね。しょうがないから貴方のお嫁さんになってあげるわ。感謝しなさい」
そういって血に濡れた剣をビュッと一振りし、血糊を飛ばしてから鞘に納める少女。どさりと幼女(神)が倒れこんだので一瞬「コイツ殺りやがった?!」と思ったが、幼女(神)はヒックヒックとしゃくり込んでいるので大丈夫そうだ。というかよく考えたらあれ、僕の血だな。
「それじゃあ、行きましょうか、ア・ナ・タ」
カツカツと、白銀に輝く長靴を鳴らして少女が歩み出る。ああ、見たくない。肩甲骨に届く長さで切り揃えられた絹糸のように細く美しい銀髪、どこまでも深く透明な海の色を切り取ったような美しい蒼眼、そして地球の人間ではありえない細く尖った耳……。そこまではいい、そこまではいいんだ。なのにその顔は、僕がとてもよく知っている最悪の女の子――幼馴染である三宮六花そのものだったのだ。
転生しても逃げられない。その事実に僕は絶望した。ああ、お嫁さんが貰えるスキルなんて、願わなければ良かった……。
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