覚醒者たち
2、覚醒
ぼんやりとした意識の中、俺は目覚めた。
そこはいつも寝てる部屋ではなく、暗い部屋で目覚めた。
「お、おい!此処は何処だっ!?」俺は一度叫んでみる、しかしその叫びに<誰か>が反応する事は無かった。
目が覚めてからどのくらいたっただろうか、突然部屋が明るくなった。
「う、うわ!」あまりの眩しさに驚いてしまう。部屋は広くなく、一つの出入口とテレビがあるだけだった。
「な、なんなんだ?」俺は不思議に思っているとテレビがついた、
『やぁ!気分はどうだい?』クラウンマスクの様なものをつけた男?がテレビの画面に映る。
「お前か?俺を此処に閉じ込めたのは!?」
『んー?少し違うなぁー、俺は君を助けたんだけどねぇ?』
「な、なんだと!?」
『君は自分の生き方、社会に不満を持っていた、社会を壊したいと思うほどに』
「黙れッ!!!」気がつくと俺は叫んでいた。
『俺も悪ふざけが過ぎたよ、さて、此処からが本題だこれから君にはデスゲームに参加してもらう』
「デスゲーム?他の人を殺すかも知れないのにそんなの嫌だ!」
『君は殺されるのが怖いから逃げてるだけだろ?勿論、参加しなければ今、死んで貰うよ』クラウンマスクをつけた男?がケラケラと嗤う。「うっ」俺は苦い表情をする。
『ただのデスゲームでは面白くない、だから<可能性>がある<君たち>を集めたんだよ、本当に苦労したよー』クラウンマスクをつけた男?は再び嗤う。
「何が面白くない。だ!人の命を何だと思ってる!!!」『人の話は最後まで聞くってママに習わなかったかい?』
「黙れ!!」俺はまた叫ぶ、次は怒りを込めて。
『まぁまぁ、そう怒らずに、さっき俺は<可能性>と言ったよね。君は選ばれそして、残った。これは君にとってもいい話なんだよ?』
「?」俺は訳がわからず首を傾げる。
『おや?すまない、こっちも立て込んでいてね、後はデスゲームの審判に任せるとしよう』
『では!せいぜい生き残りたまえ!!!』男?が言い終わると同時に部屋の扉が開いた。
「出ていいのか?」恐怖を抱きながらも俺は一歩一歩踏み出していく。
「やぁ、こんにちは、お兄さん」いきなり声を掛けられ思わず身構えてしまう。
「ま、まってくれよ、お兄さん!」
「…お前は誰だ?」
「もーそんなに警戒しないでよー、まぁいいや、ボクはねーこのゲームの審判、名前はテレン、お兄さん宜しくね!」子ども…テレンは俺に名前と審判であることを告げた。
テレン「あー変な気は起こさない方がいいよ?ボクは君を殺す力はあるからね」
「さて、君の事は知ってるから置いといて、このゲームの事について説明する、何か聞きたい事は?」
「なぁ、ここは何処なんだ?」俺の目の前は森が広がっていた。
テレン「此処かい?此処はとある島、そうだな<シュラハト>とでも言っておこう」
「戦いの島って言いたいのか?」俺は内心毒づく。
テレン「んーそうだね」テレンは軽々しく述べる。
テレン「じゃっ、ルールを説明するね、このデスゲームのルールは簡単、この島で生き残るだけ!ただある特殊なルールがあるんだ、<君たち>は<覚醒者>と呼ばれる中でも選ばれた存在なんだ」
「覚醒者?」さっき怖くて聞けなかった事を聞く。
テレン「覚醒者、それは特殊な能力を発現、発動出来る<可能性>を秘めた者達の事だ!さて君の能力を決めようか!!」テレンは興奮気味に言う。
テレン「さぁ!この!カードを一枚引くんだ!!!」十枚のカードがテレンの手に広がる。俺は唾を呑む、俺は右から三番目のカードを引いた。
「な、なんだこれ…」俺が引いたカードは死神の絵と<3S、圧縮と解放>と書かれたカードだった。テレン「おおー中々のカードを引いたね、<圧縮と解放>の能力を説明するね、まぁ<圧縮>はその名の通り色々なモノを圧縮するんだ、例えばこの林檎に使うと…」テレンは林檎を空に投げ、手をかざした、すると、林檎はグシャリと潰れ、地面に落ちた。
テレン「これが<圧縮>の能力、能力は思うだけで使えるから簡単だよ」テレン「さて次は<解放>の能力について、<解放>は圧縮されたモノの力を解放する能力」テレンは落ちた林檎に手をかざす。バンと大きな音を立て爆裂した。
テレン「こんなモノかな?さて質問は?」
「これは俺が使えるのか?自分に被害は無いのか?」
テレン「君自身に害はないだから解放の力が当たっても痛くも痒くもないよ」
「3Sって何だ?」
テレン「スロット、覚醒者の能力は進化していくんだ、君の能力は3S、スリースロット、これは最終的に三回まで能力が進化するんだ、条件は能力によって違うから進化させて有利に戦って欲しい」テレンは淡々と言っていく。
テレン「さて、そろそろ開戦だな、君達にはサバイバルもしてもらう、何ヵ月も此処にいる事になるからね、サバイバルナイフと水1Lを初期支給しておくよ」赤いベルトポーチを渡される。テレン「この島にある建物には水や食料があるから探すといい」テレンは笑いつつ俺に言う。
テレン「じゃあ、最後に君に戦闘用の武器をあげよう、皆持ってるからね。さて君は何が欲しいかな?」
「そ、そんな事言われたって…人を殺すモノなんか選べる訳が無い!」
テレン「んーじゃあ殺されるのを待つか、そのナイフで闘うしか無いよ?ま、君の能力にあった武器は殆ど無いけどね」テレンはゲラゲラ笑う「わ、解った、なら何の武器ならいいんだ!」テレンに怒鳴る様に聞き付ける。
テレン「んー基本は君たちが決めるべきだけど、能力にあったモノ、特に君の能力は選び難いんだ、でも一つ相性がいいのがあるよ」テレンはそう言いつつ俺に黒い塊を渡してくる、それはハンドガンだった。俺は自分の身を守る為に受け取っておく。
テレン「今、渡した銃は最大6弾数、ボルトアクションのリボルバー式、セーフティーを外して引き金を引くと弾が出て人を殺す」テレンから銃の説明と練習をさせられた後、急にテレンの姿が見えなくなった。
「おーい、テレン、何処だー?」
テレン「もう、ゲームは後20分で始まる、そろそろボクは審判として見守っているから、今から移動してもらって構わないよ」そう言い終わるとテレンは姿を消した。
(…意味が解らないけど生き残ら無きゃ殺される、早い所移動しておこう。まず建物を探しつつ此処の中心を目指そう)