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秘伝賜ります  作者: 紫南
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446 結果発表は続く

結果発表は大盛り上がりだった。


年々、この学校に来られれば、こうしたことが出来るのだと分かってきたこともあり、デザイナー志望の子ども達は多くなっている。


選択の授業で被服関係のものを取る生徒は多かったようだ。


『今年は秀逸な作品が多く、審査にも熱が入りました。結果として順位を付けましたが、入賞しなかったから劣っているわけではありません。どの作品も、着てみたいと思う人がおり、それぞれにときめきを与えたと確信しております』


そう総評する校長は人の良さそうな壮年の男性で、今回のファッションショーの出来を誇らしく思っているのが分かる笑みを見せていた。


『この素晴らしい成果をより良い形として発信できる案を考えています。努力し、達成した生徒達の思いをきちんと未来に繋げるお手伝いをできればと思っております』


そう一度締めくくり、進行委員に引き継ぐ。


『では、結果発表に移ります!』


歓声が上がった。待ちに待った瞬間だ。


『先ずは、デザイン賞からです。三位から順位に発表いたします!』


これは、デザインの元となった案を出した生徒達が発表される。


『第一位は2−3 秘伝統二さん!』

「「「「「だよねえっ!!」」」」」


納得らしい。高耶の着ているものだ。反論はなかった。同じように子ども服についての順位も発表され、それは優希の服が第三位だった。


『次にコンセプト賞です! 第三位3-1 第二位3-3 そして、第一位! 2−3です!』

「うわぁぁぁんっ。何度もっ、何度も軌道修正して良かったぁぁぁっ」

「うんうんっ。みんなが指摘してくれたおかげだよねっ」

「お兄さんに似合う服になっちゃう所だったもんねっ」

「……」


なんだか申し訳ない気がした高耶だ。


「あははっ。これはクラスの勝利だよなっ。マジで、暴走しそうだったのを何度も止めてたもんよっ」

「……そうだな……」


まだこの時は、舞台の上に出ていない。スクリーンには、デザイン賞の時はその時の絵が。今は、モデルなしの服だけをマネキンに着せたものが映っている。


キッズ部門では、コンセプト賞はないらしい。


『では、今年度の最優秀作品賞の発表です! 先ずはキッズ部門! 秀逸ない作品が多く、審査が難航しました結果! 同率一位で、3年2組! そして、2年3組です!』

「ユウキちゃん!!」

「お姉さんたちっ! やったねえ!!」

「「「「「うわぁぁぁんっ」」」」」

「ほら、いこ!」

「うっ、うんっ!!」

「ううっ、行く」

「やったよぉぉぉっ」


代表三人と、モデルをした者が出ることになっている。喜びで泣く三人の女生徒達の手を引っ張り、優希は飛び出して行った。


「ユウキちゃん。やっぱ、しっかりしてるわ」

「あいつら……優希ちゃんが引っ張らなかったらそのままだったかも……」


俊哉は優希に感心し、二葉は同級生の女子達に呆れていた。


「素晴らしい。完璧なキッズモデルではないか」

「っ……え?」

「ん?」

「っ……」


その知っている声に高耶達は振り向く。そこには、エルラントがいた。


「え? エルラントさん?」

「こんにちは。高耶くん。いやあ、素晴らしい文化祭だねえ」

「え、ええ……」


どこから見てもかっこいい紳士という姿に、舞台袖に居る生徒達は、驚きに息が止まっていた。今にも歓喜の悲鳴が口から出そうになっている女生徒達を、俊哉と二葉が急いで宥めていた。





読んでくださりありがとうございます◎

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