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秘伝賜ります  作者: 紫南
421/448

421 神木

高耶はこの時、神の状態を確認しながら、この場に来てから感じる違和感の正体を探っていた。


「なんか、しっくり来ねえ……」


その呟きが聞こえたのは、伊調達神楽部隊だった。


「御当主もそう思われますか。我々も、音の反響も悪いように感じているのです……穢れはあるとはいえ、これほど神に近い場所に居るというのに……」

「確かに……何か……反響しているような……」

「反響……っ」


そこで伊調は何かに気付いたらしい。


「御当主。確か、ここには神木が三つあったと」

「ええ。あの辺りとあちら、それとあちらに、今土地神が居る所を囲むような位置に……まさか」

「はい……おそらく、力は残っているのでしょう。かなり力も蓄えていたのではないでしょうか」


斬られ、根こそぎなくなったはずの神木。しかし、力の残滓が残っているようだ。


「土地に巡る音には、神木との共鳴が要となる場合もある……そうでしたね虎徹殿」


鐘堂虎徹が、ゆったりとした足取りで近付いてきていた。


「俺の親父の親父が言っていたな。そうした特殊な事案があったと。俺も忘れてたが……なるほどなあ。三つの神木なんてのは何かあると思わざるを得ん」

「音の反響が重要になりそうです。今は……それが中途半端な状態なのではないかと。その三つの神木があった辺りに、板でも立てれば……」

「大きさなんかも問題だろう。再現するのは難しいぞ」


恐らく、高さも重要だ。しかし、かつての様子を知らなければ、何も分からない。


そこで、虎徹と伊調は同時に思い当たった。


「高耶が居るじゃねえかっ」

「御当主が居られましたねっ」

「……再現ですか?」

「視ることはできるんだろ?」

「最低限の似た感じで構いませんから!」

「そうですね……」


高耶は他人にも視えるように術式を組み、一番近い場所のかつての神木の姿を視た。


「やっぱ、結構でけえな」

「立派ですねえ」


校舎の高さに並ぶものだった。それは、まっすぐに伸びている。


「この高さの板……は難しそうですね……」

「結界でどうにか……いや、音の反響が知りたいしな……そんな都合の良い結界は橘でも……」

「……」


鬼の対処も始まっているが、こちらの方をどうにかするのが、先のような気がしているため、高耶も動けない。


そんな高耶に、キルティスが気楽な様子で声をかけた。


「あら。高耶ちゃんのところの子なら、木を生やすのも簡単なんじゃないかしら?」

「……っ、確認してみます! 【果泉】!」

《は〜い。アレとおなじ木を生やせばいいの?》


果泉は過去の映像を視て、無邪気に指を差して笑った。


「できるか?」

《うん! ちょっとね〜。ねっこも、のこってるから、もんだいなしなんだよ?》


掘り起こされ、根まで取り除かれてはいても、根っこの欠片はあるようだ。そこから同じ木を生やせるらしい。


《いっくよー》


メキメキという音が硬い地面から響き、切れ目が入ったと確認してすぐに、爆発するようにそれは伸びてきた。


「「おおっ!!」」

「「「「「え!?」」」」」


事情が分からない者達からすれば、驚きの声を上げるのは無理もなかった。









読んでくださりありがとうございます◎

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