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秘伝賜ります  作者: 紫南
337/449

337 若い者としての役目です

2023. 8. 31

とりあえず温泉に入り、食事を摂る。


全員、食べ終わると、ほっとしていた。


「はあ……やっと落ち着きましたね……」


伊調がゆっくりとお茶を飲みながら穏やかな表情をしていた。


「沁みるよねえ……自覚なかったけど、かなり体が冷えてたみたいで……うん……眠くなってきたかも……」


蓮次郎もほかほかとした顔でお茶を啜っていた。


「ここの温泉はええねえっ。最高やったわっ」

「本当にっ。お肌がスベスベですよっ」

「徹夜したのに、スッキリしましたっ」


テンションが違いのは、焔泉を中心とした女性達だ。


そんな中、高耶は武雄にお願いしていた。


「武雄、この辺の空いてる部屋、全部使っていいか? 寝るところを確保したいんだ」


高耶は徹夜組の中で一番若い。蓮次郎や伊調達を徹夜させたということで、罪悪感があった。彼らは実年齢より若く見えるが、七十を過ぎていたりする。


そんな人たちを徹夜させたのだ。もちろん、夜に活動することには慣れている。しかし、今回は特にハードだった。


一晩中、神気に当たっていたようなものなのだ。かなり精神的にも追い詰められていた。よって、早く休ませたい。


「いいよ! すぐ用意するよ」

「助かる。離れの方は、こっちで勝手に布団を敷くから」

「えっ。いいの?」

「ああ。エリーゼ達に任せる。エリーゼ、天柳、綺翔と……清晶もいいか?」


珀豪は、そろそろ朝食の時間のため、調理場で忙しくしているはずだ。


《お任せください。ご主人様》

《ふふっ。修学旅行みたいになりますわね》

《いっぱい敷く》

《余ってるの他の所にあるなら運ぶよ。ぎっちり敷き詰めてやる》


男性は全部、この離れで雑魚寝ということで、詰め込むことに決まった。


高耶も他の空いている部屋から布団を運ぶのを手伝う。武雄が案内だ。


「なあ、高耶。偉い人も居るんじゃないの? 俊哉が組織をまとめるまとめ役が結構居たって言ってたんだけど……部屋、この辺は空いてるし、こっちに来てもらってもいいんだけど……」


離れから反対側の方は旧館らしく、同級生達にも解放していない。そこから布団も運んでいる。


「まあ、ちょっと倉庫代わりになってる部屋もあるけど、一応はきちんと掃除もしてあるし……」

「いや。固まっていた方が落ち着くんだ。ちょっと強敵の相手をしてたからな」

「……えっと……因みにどんな?」

「神だ」

「……ん?」

「様々だ。物凄い大集合だったんだぞ?」

「……へ……へえ……」


まあ信じられないだろうなと思いながら、布団を運んだ。


そして、三十分後には、全員が眠っていた。


それを見届けて、高耶もようやく力を抜く。


「ふう……」


(げん)ともう一人の刑事は、橘の血を引く刑事の一人を置いて、犯人達を連行している。その残された橘の者は、今や死んだように眠っていた。


伊調達神楽部隊の者も、力尽きて眠っている。一晩中でも演奏し、舞を踊れる人たちが、本気で疲れたと言っていたのだから相当だ。


布団に入って、数分で完全に眠りに落ちていった。


「神気……やばかったもんな……」

《主様がかなり調整しておられましたけどね》

「まあ、可能な限りな……」


密かに、高耶は神気を上空に流していた。土地に影響を出してほしくないというのがあったので、そこは気を付けていたのだ。


高耶が欠伸をすると、エリーゼが申し出る。


《ご主人様。私がここを見ております。お部屋でお休みください》


天柳達、高耶の式は、存在感があり過ぎる。それこそ、神気も纏っているため、ただでさえ、神気を浴び続けたことで過敏になっている者達にとっては、同じ部屋に居るだけでも、ストレスを与えるだろう。


だが、屋敷精霊であるエリーゼならば、守護する者達として傍に居ることで威圧感を与えてたりしない。


「ああ……頼む」

《お任せください》


高耶は俊哉達が居る部屋へと戻った。


迎えてくれた満、嶺、槇、彰彦、俊哉は、高耶を労ってくれた。


「高耶、お疲れ〜」

「お疲れ〜」

「おう….」


そうして労われ、高耶は笑みを浮かべた。


高耶は二時間ほど眠り、次に目を覚ました時、槇が真面目な顔で告げた。


それは、彼の妹のことに対しての話だった。






読んでくださりありがとうございます◎

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