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秘伝賜ります  作者: 紫南
292/468

292 気合い入れました

2022. 10. 6

高耶は大学の学食で昼食を取っていた。そこに、俊哉が定食のプレートを持ってやって来る。


「高耶っ。俺も統二の高校に行くぞっ」


そう言って俊哉は、高耶の前の席に座った。


「……なんでだ?」

「決まってるだろ! 高耶の護衛だよ」

「……」


護衛ってなんだろうと考える高耶に、俊哉が答えた。


「だって、女の子に囲まれたくないだろ。いつもみたく術で意識逸らすなんてこともできないじゃんか」

「……」


今回は姿を消すわけにはいかないのだ。モデルとしての顔合わせでもある。寧ろ目立たなくてはならない。


「だからさっ、俺、お前のマネージャーみたいな感じ。ガードは任せろ! 思う存分、御当主様仕様で悩殺しまくってもいいからなっ」

「……大げさな……」


高耶に悩殺している自覚はない。ただやけに視線が気になるなと感じるぐらいだ。最近は特に、珀豪をはじめ、式神達と一緒に居たりするため、視線が集まりやすかった。目立つなと思うくらいでしかなかったのだ。


その上、高耶にはファンが多い。迅のような強さに惚れる男性ファンも多く、特に女性にモテるとかを感じてはいなかった。ピアニストとしての演奏に惚れている女性達も多い。


見た目に惹かれてという者の方が稀だったのだ。だからこそ、高耶の自己評価は低い。


「……高耶さあ、あんま服とか気にしない感じはあったけど……マジで見た目とか気にならないのな……」

「服選ぶとか、時間がかかるだけだろ」


食事をすすめながらそう答える。高耶にとっては、時と場所に合う服装を選ぶのは当たり前でも、その他はどうでもいいのだ。


「ったくよお、せっかく飾り映えする顔してんのに。その服も変えろよ!」

「……どのみち、一度帰るよ。瑶迦さんがチェックすることになってる……服については信用ないらしいから……」

「妥当だな! 三時の予定なんだろ?」

「なんで知ってる……」


そこで、俊哉がメールを見せる。


「二葉から連絡来たからなっ!」

「……それでか……いや、あまり関係のない部外者は入れないんじゃないか?」

「それなっ。統二が、担当の先生に、お前の写真見せたら一発OKだったらしいぜ」

「……どんな写真見せたんだ……?」


マネージャーのようなものを許可できるほどの写真に高耶は覚えがなかった。


「コレだろ」

「……っ、お前……待ち受けにしてるのか?」


美奈深達や、時島、那津達と最初に瑶迦と顔合わせした時の写真だ。さすがに俊哉とのツーショットには抵抗があり、優希と三人で写っていた。


「当然だぜ! なんか運気上がりそうだしっ」

「……」


実は、あの場に居た者は全員、それぞれケイタイの待ち受けとしているというのを、高耶は知らない。


「食ったら早めに行こうぜっ。気合い入れて着替えてもらわないとなっ。俺が居ても納得してもらえるように」

「……はあ……」


そうして、大学から俊哉を連れて高耶の家へ向かい、瑶迦の所で軽くファッションショーをさせられた高耶は、全員の納得の頷きを得て、統二の高校へ向かった。


「ほお〜、さすが進学校。綺麗だな」

「進学校は関係ないだろ……」


おかしな俊哉の感心を聞きながら、正門の方に向かうと、そこで統二と二葉が待っていた。


「兄さん! 俊哉さん!」


統二が嬉しそうに手を振って来る。


「悪い。ギリギリだよな」

「ううん。正門に三時だから、丁度だよっ」


数人周りに居る生徒達や先生達が、目を丸くしているのは、統二の笑顔を珍しがっているようだ。


そして、二拍くらい置いて、高耶に目を留め、蕩然としている。


まずいと思った俊哉が、統二に声をかける。


「統二、どこに行けばいいんだ?」

「あっ、うん。体育館。全校生徒にお披露目だから」

「……ヤバくね?」

「うん……耳栓必要な気がする……兄さん、ちょっと今日は……藤さん達、張り切ったね……」


統二は二歩下がって、改めて高耶の今日の服装をチェックする。


七分袖の黒のジャケットがよく似合っていた。


「大満足してたぞ」

「写真も撮ってた?」

「おう。ほれ、コレ送っとく」

「お願いします!」

「俺も! 俺にもください!」

「任せろ」

「……」


高耶そっちのけで、写真を送り合う。


「はっ、こうしちゃいられねえ。ほれっ、ここはもう悩殺済みだ。行くぞっ」

「ですね。さすが兄さん。男も残らずってのは、すごいです。何か出てません?」

「俺もそれ気になる。高耶、何か出してるのか?」

「……神気は抑えられてるはずなんだが?」

「「「しんき……」」」


上手く脳内変換されなかったようだ。そのまま統二と二葉に案内され、高耶と俊哉は体育館へと向かった。



読んでくださりありがとうございます◎

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― 新着の感想 ―
[一言] 『ケイタイ』よりは、『携帯型端末』の表現がいいかもしれません。 ポケットベル→携帯電話(ガラケー)→スマートフォンなどと主流な通信手段が時勢に応じて変化しているので、一概に『ケータイ』とは言…
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