第9話:勧誘活動
ファンタジー世界で演劇をやる事になった。
現在、劇団員2人。
ローザさんを誘ったけど断られた。
ローザさんは1ヵ月後の舞台でいいものを見せたあと、再び説得しようと
山平先輩と話しあった。
メンバー探しを2人手分けしてやり、なんとか10人、町長に用意してもらった稽古場に連れてきた。
でも、みんな未経験で見た目弱そうで頼りなさそう。
お年寄りに小さい子供に自分に自信ないと言う気弱な女性。
かれらに円卓の騎士を任せたら・・・・・完全にコメディになる。
感動できるいい話なのに・・・・。
「・・・やっぱ演目変えるか。」
と先輩が言った。
「いや、でもこのメンバーでアーサー王の話やりましょうよ!」
「出来るわけないだろ。今のメンバーでやったらまったく別ものになってしまう。」
ガタッ
イスから勢いよく立ち、震えながら話しだす自分に自信のない28歳の女性、セシリー。
「あの・・・・ごめんなさい。私、やっぱりやめます。」
「どうしてですか?人前に出られない、引っ込みじあんな性格治したいって言ってたじゃないですか。
やりましょうよ。」
「コミさんが演技で別人を演じられるのは気持ちいいとまえに聞き、面白そう・・・・と
思いましたが、やっぱり・・・・、私出来ません。自信ないです。」
小湊だからコミさん・・・・、
その呼び方・・・・・
良い!
「大丈夫!やってみるとほんとに楽しいですよ。
1ヵ月後の発表の時まで1度やってみてください。
そのあと続けるかやめるかはセシリーさんにお任せします。」
「・・・・・・」
黙るセシリーさん。
「あ、そっか。実際に演技ってものがどういうものかピンとこないのもありますよね。」
「山平先輩。」
「ん?」
「2人で今、みんなの前で演技みせましょうよ。」
「・・・・・・そうだな。実際見せた方がいいとオレも思う。
やろう。」
山平先輩と初の共演。本番ではないけど、ワクワクした。
新しいメンバーに見せる私たちの芝居、みんなには1時間待ってもらい、
そのあと・・・、10人の前で私たち2人の演技を披露した。
演目は・・・・・、ロミオとジュリエット。
他の人がやってるのは見たことがあるが、自分がやるのは初めて。
「オォ・・・・。ロミオ。あなたはなぜロミオなの。」
憧れの山平先輩との初めての芝居。楽しい。
やはり先輩は芝居めちゃくちゃ上手い。
なんかワクワクしてきた。
そして――――ロミジュリを最後まで2人で演じきり、
10人に2人で向かい、会釈。
すると―――――。
パチパチパチパチ
みんな強く、拍手してくれた。
「すごく良かった!」
「これが演劇かぁ。ぜひやってみたい。」
「ひきこまれる!すごい!」
「これからみんなでやる芝居、これでもいいのでは?」
「すごく良かった!!」
「私、感動しました。」
「すごい・・・さねぇ・・・圧倒されましたですじゃ・・・・
ワシ、生きててよかった・・・・・。」
「2人の演技、パねえ!!」
パねえ・・・・、ハンパねえの略だけど、スマホのないこの世界になぜ
その言葉・・・・?
私も山平先輩も使わない。
もしかしたら・・・私たちの他にも現代から来た人がどこかにいるのかも・・・・。
と、私が考えていると、セシリーさんが立ち上がり、言った。
「すごく・・・・、良かったです。ぜひ、やってみたい。」
山平先輩と私は満面の笑みでお互い顔を見合わせた。
こうして私と山平先輩と、この10人+(プラス)ガブ(1匹)とで
次の日から稽古を開始した。
読んで頂きありがとうございます。
ローザさんにも今回見せれば良かったのでは?と自分でも思いましたが、
2人以外、芝居に関してダメダメって状態で本番に挑みたかったんです。
これもご都合主義なんでしょうか?
・・・・まぁ、とにもかくにも、まだ続きます。
よかったらまた読んで下さい。