第6話:2人で
第6話。
「あ、自己紹介まだでしたね。
私、小湊美奈っていいます。
山平さんの演技をテレビで観て、すごい!カッコいい!私もこんなふうに演技、上手くなりたい!って思って2年前に女優になったんです。
知ってます?私の事。
最近、人気が徐々に上がってるっぽい期待の新人俳優なんですけど。」
「・・・・いやいや、・・・つうか、
悠長に自己紹介してる場合じゃねぇだろ?
どうしてくれんだっつってんの!
お前は女だから知らないで済むかもしんねーけど、オレ、殺されるかもしんねーんだぞ?」
怒って、なんかプリプリしてる山平さん。
山平さんとは対照的に、ニコニコしてる私。
「・・・・今の状況の深刻さ、わかってねぇな・・・・お前。」
私の顔を見て、あきれた感じで言う山平さん。
「あの!さっきの話の続きなんですけど。」
「さっきの話の続き?」
「私が演技スキルがどーとかこーとか言ってた話です。」
「あぁ・・・。」
「あの!山平さん!」
「・・・なんだよ。」
何言い出すんだコイツって感じの表情をする山平さん。
「私と一緒にこの世界で演劇やりませんか?」
「・・・・はぁ?」
「お前、オレの話聞いてたか?
男は戦いに出ないとダメなんだって!」
「でも、この店の主人のローザさんが言ってた事ですが、男でも、何人かは町で働いてるらしいですよ。」目の前の建物を指差して言う私。
「それは商売とかが上手くいったごく限られた人の話だろ?
そもそもこの町には俳優なんて仕事、ないだろ。音楽家や小説家だっていないし・・・。」
「それが、あまり知られてないらしいですが、
この世界にもいるらしいですよ。音楽家や小説家、漫画家も・・・・。」
「マジで?」
驚く山平さん。
「演技の仕事はないみたいですけど。」
「ほらみろ。」
「ないなら私たちで作りましょうよ!」
「・・・青春学園ドラマじゃねぇんだから。」
「山平さんと私なら絶対、演技でみんなを喜ばせる事できます!!
この世界の人達に私たちの演技で、勇気や元気やいろんなものを与えましょう!!」
「・・・・・・。」
「それに、もし俳優の仕事が認められたら戦いに出なくていいんですよ?」
「・・・上手くいく根拠は?」
「こんきょ?なんですかそれ。」
「・・・もういい。」
「じゃあ私、早速、演劇やっていいか許可とってきますね。」
「誰に。」
「この国の王様?」
「バカかお前は。そもそもいち庶民のお前と会ってくれるわけねーだろが!」
「ガブ!レッツらゴーよ!!」
ガブにまたがり、遠くで高くそびえ立つ城を指差す私。
「だからオレの話聞けっつーの!!」
こうして私と山平さんとの異世界ファンタジーでの演劇物語がたぶん、始まる・・・・。
読んで頂きありがとうございます。
まだ続きます。