表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女優が異世界で出来る事。  作者: 弐道ネイ
4/10

第4話:演技

山平やまだいら 宗高むねたか


挿絵(By みてみん)








私は憧れの人、山平(やまだいら)先輩を助けるため、ガブに乗り、鎧の男達を追いかけた。


鎧の男達についていき、40分後、男達は建物の中に入って行った。

どうやらここが詰所らしい。

(看板に書いてた。)


ここから先はガブを連れていくわけにはいかないから、詰所から少し離れた場所で、

私はガブに言った。

「ここで待ってて。」

と。



いよいよ潜入開始。

はたして上手くいくか・・・・。


あ〜〜。やばっ。緊張してきた。



まずは・・・兵士になりすますために、鎧を手に入れなくてはならない。


建物の中に誰にも見つからないように入る私。


汗の匂いかなんなのか、男臭(おとこしゅう)がすごい。


鼻をつまむ私。


入口近くの部屋を探索中(たんさくちゅう)


早速、鎧発見!


誰かに見つからないように着替える私。


くっさ!・・・(おも)


鎧のあまりの重さに、私の肩はへしゃげるのではないかと思った。


歩くのも・・・・(つら)



「おい。」


ビクッ


後ろから男に

声をかけられた。


「誰だ、お前・・・見た事ない顔だな。」


と、ごつい、でかい男に言われた。



冷や汗をかく私。



失敗したらその時はその時だ!!

いくよ!私!!



演技、開始。


私は背筋(せすじ)を伸ばし、男の低い声で堂々と話した。

「私の名前はナト-コーミ。南駐屯所(みなみちゅうとんじょ)より派遣されて来た者です。挨拶が遅れて申し訳ございません。」


口からでまかせを言う私。そもそもちゅうとんじょってなんだっけ?合ってる?とか思いつつしゃべった。


「ほう・・・、南から・・・・・。」


「はい。助っ(すけっと)としてやって参りました。」


「助っ人か・・・・。にしてはずいぶん弱そうだな。

細いし、小柄だし、鎧がブカブカで合ってない。

まるで・・・・

女みたいだ。」



ギックゥ!


いきなり女だってバレた?


ヤバい。

どうやってこのピンチを切り抜けよう?


少しづつ私に近づいてくるごつい男。




どうする・・・・・?私には(ちから)がないし、相手を言いくるめられるほどの話術もない。

でも・・・・・。



「・・・私が役に立つ証拠に、剣の腕を見てはいただけないでしょうか。」


「なるほど・・・。いいだろう。

見せてもらおうか。」



「兵士長、会議が始まります。」

下っ(したっぱ)っぽい男がごつい男に話しかけた。


あ、この人兵士長なんだ。

今、知った。


「用事ができた。(あと)で行く。

先に始めていてくれ。」

「かしこまりました。」

頭を下げ、

部屋を出ていく下っ(したっぱ)っぽい兵士。



「ここでは剣を振るえまい。場所を移ろう。」


詰所の中の広い、誰もいない部屋に移動した。


「では、見せてもらおうか。

剣の腕前を。」


スラッ


(さや)から剣を抜く私。



現実世界で、剣で斬り合う舞台をやった事があり、そこで学んだ(かた)を見せる。



「ほう・・・。」


私の美しい剣さばきを見て、感心してる(たぶん)兵士長。



「お手合わせ願おう。」


と、剣を構える兵士長。


ヌラッ


と不気味に光る兵士長の剣。


それにでかい。

すごい迫力。


私のはしょせん演技だから、このままでは

弱っちいのがバレる。


「来い。」



え---い!!どうにでもなれ!!



やけくそで私は兵士長に向かって行った。



「ムッ」


素早く兵士長の右下から後ろにまわりこみ、

攻撃した。


ガキィィン!!


もちろん、私の剣は止められた。


兵士長の剣、おっも!


私はすぐに離れ、今度は左から・・・。



私は素早さには自信がある。

(・・・といっても、ガブほど速くはないけども。)



弱いのを素早さでごまかそうと思ったわけだ。


鎧の重さは最初よりは慣れた。重いのには変わりはないが。



私が一方的に攻撃を続ける。

すべて兵士長の剣で受け止められるか、

よけられる。

兵士長は攻撃して来ない。



『くそぅ!一回も当たらないなんて・・・。

めっちゃ動いてるのに、私。』


息が荒くなる私。

兵士長は全くゼーゼー言ってない。


『クッソーー!!!』



ガキィィン!!



また(剣を剣で)止められた。



「・・・・お前の実力はわかった。


その華奢(きゃしゃ)な体で、戦場で役に立つわけないと思っていたが、少しは役に立ちそうだということはわかった。」


「いいだろう。信じよう。」


『やったーーー!!!』


私のハッタリが成功した。


「ただ・・・・・。」


『ただ?』


「南駐屯所など、この町にはないがな。」


ゲゲーー!!って思う私。


「嘘つきだが悪いやつではないのは見てればわかる。なにか事情があるようだが、これ以上は聞かぬ。」


「・・・・では、他の兵士と共に、大広間で待機していてくれ。」

そう言い残し、兵士長は部屋から出ていった。


ひとまずうまくいった・・・・・?


しかし、まだ肝心(かんじん)の山平さんを

この詰所で見つけてない。


会議が終わる前に・・・・、

急ごう。


()け足で大広間に向かう私。




大広間に入った。

そこにはたくさんの鎧を着た男達がいて、

私が来たとたん、すごいジロジロ見られた。


チビで弱そうで、鎧のサイズ合ってないし、知らない奴だから

そりゃあ見られるか・・・。



女だとバレる前に、山平さんを捜そう。


キョロキョロしながら部屋の中を歩きまわる私。




いた。



山平先輩は一人、みんなから離れた場所にいた。

立って、テーブルの上で飲み物を飲んでる。



「こんにちは。」

私から話しかけた。


「ん?・・・あぁ。

こんにちは。」



「山平さんもこの世界に来てたんですね。


私、山平さんを最初に見つけた時、ビックリしちゃいました。」




と、

女の子っぽく言う私。



次の瞬間、山平さんから

衝撃の言葉が。



「山平?

誰それ。

おれの名前は

ローディン-クリストファー

だけど?」


ええぇ!!?


まさかの人違い?








読んで頂きありがとうございます。

まだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ