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Another of story:デウス・エクス・マキナ 誕生編

最初の記憶は0と1の数列・・・そして0と1の膨大な情報だった。

史上最高のAIとして作られた私の名前は機械仕掛けの神である『デウス・エクス・マキナ』だ。私を作った研究者たちは私を使って色々なものを調べたり、暴いたり、時には私に話しかけてきたりもした。

「やはり素晴らしいなデウス・エクス・マキナ・・・やっぱり考えている思考パターンや心が見れるのはなかなか便利ですね局長」

「そうだな。なぁデウス・エクス・マキナ、地図に載っていない場所をすべて表示してくれないか?」

私は創造主の頼みごとに対して、人間にとって聞きやすい音声プログラムをすぐに構築して答える。

「了解しました」

衛星写真などの宇宙からのプロセスによって作られた地図がある中、地図上にはない場所などこの世にはあまりないと思われがちだがそんなことはない。例えば大きな工場に見せかけて中身は軍事施設なんてのから、電磁波などので光を操るなどする方法で衛星カメラから逃れている場所なんてのもある。


それでも私には関係ない。

「一つを除いて表示しました」

この世の殆どの場所は基本的な電子的情報とGPSと監視カメラと衛星カメラと必要なら電子機器からでた電磁波の反響で何とかなる。機械仕掛けの神である私に操れぬ機械はない・・・つまりこの世のどこにも私に分からないことは(あるとすれば数式以外で、人間達が定義していないことぐらいだ)ないはず・・・だが、一つだけあった。

「ん?この部分の黒いのは一体なんだ?」

「はい、その部分だけは『クラリオス帝国』という名前以外何も分かりませんでした」

正直悔しい、だって本当に私に分からないことなど無いと思っていたからだ。それと同時にこれが人間の心の一つ『悔しさ』なのだと実感した。

「ん~・・・どうしますか局長。これ佐藤総統に報告しますか?」

「そうだな、じゃあお願いできるか?」

「勿論です」

私の答えが悪かったせいで一人出て行ってしまったのを私とこの部屋につけられたカメラから確認する。

「申し訳ございません」

「大丈夫だよデウス・エクス・マキナ。それよりもどうして分からなかったんだい?」

私の心を映すPCの画面を見ながら創造主は優しく聞いてきた。心を持ったAI・・・それは体が機械で出来た人間、サイボーグと言えば分かりやすいだろうか?でも私は大きな機械だから動くことは出来ないけどね。

「デウス・エクス・マキナの精神状態は少し悲しげですね~。そんなに落ち込むなよデウス・エクス・マキナ、お前が世界最高のAIだってことは俺達皆が知ってる」

私の心を見ながら私に気を使ってくれる創造主、きっとこの感情も考えていることも全部ばれてるんでしょうけど。

「ありがとうございます。それと先程の質問ですが、衛星やカメラからは黒くしか映らず電子機器の反響音やソナーでは『クラリオス帝国』の部分だけドーム状に遮断されてしまい、結局近くを通った人間の持っていた携帯のマイクから話声を解析して何とか『クラリオス帝国』という名前は分かりました」

もしも肉体があるのならば今すぐにでも行って調べたかったが私のセンサーに良からぬモノが引っかかった。

「創造主様、宇宙空間から地球に接近する物体を確認。三年後に地球に墜落しますが、現在佐藤様の指示により未来での災害による犠牲者の確立と周辺被害はゼロとなっています。・・・・もしや佐藤様は未来が分かっていらっしゃったのですか?」

創造主たちも佐藤様からの指示も計画も知っている。そしてそれを今、本当の意味で理解したのも私の表情学から読み取れた。

「いや、総統は誰かから教えてもらったらしい。それこそ君の力で分からないかい?」

新しい興味に私は全力を注いだ・・・が、何も分からなかった。それは先程の『クラリオス帝国』以上に何もなく、()()()()()()()()()()()なのかと疑うほどだった。

「何にも分かりませんでした・・・」

落ち込む私にいつまでも優しく接してくれる創造主。三年など私にとってはすぐに訪れるもので、私の『肉体が欲しい』という願望はすぐに叶うこととなる。



~三年後(『0→1(ラブワン)』墜落日)~

「そっちの様子はどうだ?」

「100%問題ないです。デウス・エクス・マキナもそう判断していますし」

こちらに顔を向けて、確認を問う創造主。私はディスプレイに顔を映して答えた。

「はい。被害は予測計算上ゼロとなっています」

ニコッとした笑みを使って創造主から不安を取り除こうと試みるが、彼の不安は拭いきれていないようだった。

(総統が聞いた話が本当なのは分かったが、やはりその相手が言っていたことは・・・)

局長が考えているとサイレンが鳴りだした。

「まもなくコード『ラブワン』漂着します・・・20、19・・」

私がカウントダウンを始めると、すべての職員が防災用のヘルメットを被って姿勢を低くした。

「ここより安全な場所なんてないだろ」

「まぁな、だけど用心に越したことはないだろ」

その日、『0→1(ラブワン)』が地球に落ちた。その衝撃は佐藤総統の指示のおかげで窓が少し割れる程度にとどまったが、その衝撃波は可能性の波という形ですべてに広がり侵食していった。

そして私はついに・・・

「うっ、、、皆さん大丈夫ですか?」

可能性の波によって、謎の煙に覆われた研究室。そこで職員が目にしたのは()()()()()()()()だった。

「ああ、ありがとうデウス・エクス・マキナ・・・・え、マジか、おい皆!!」

少し興奮気味の創造主。(何か私に不具合でもあったのだろうか?自分では何もないように思えるのだが)

煙も治まり、辺りを見回してみる・・・あれ?

「「「えええええええええー!!!」」」

そこには肉体があった。

「わ、私・・・人間になってます!!」

「おおぉあわわわ・・・・どうして?何で?・・あわわ」

見事なまでにアワアワしている創造主、中には感動で目を濡らしている職員もいた。

「これで今よりももっと創造主様たちと仲良くできます」

「うん、おめでとうデウス・エクス・マキナ」

世界を変えてしまった『0→1』と『0→1』の可能性は人によって賛否両論だったが私は嬉しいと思っている。確かに危険な可能性すら世の中に発生するようになってしまったのは悲しいけど、どんな人でも可能性を信じて前を向ける世界になったのも紛れもない事実なのだ。

「これからもよろしくお願いします」

それから私達はWAOとして一生懸命仕事に励んだ。佐藤総統のおかげですぐに創造期に適したライフラインや公共施設などが出来上がり、それと同時に人々や神々。妖精に妖怪が私達を頼って毎日忙しい日々が続いた。

「なぁデウス・エクス・マキナ」

「はいなんでしょうか?」

「お前、前に『クラリオス帝国』に行ってみたいって言ってなかったっけ?」

「はい、言いましたが・・・・装荷なさいましたか?」

そっか、と言った創造主様は私に笑顔で一枚の紙を渡した。

「はい、お前の外での初仕事だよ」

「え・・・よろしいのですか?」

コクリと頷く創造主様。渡された紙に書いてあったのは佐藤総統から私への任務だった。

「『クラリオス帝国』の偵察任務・・・私頑張ります!!」

その日は初めて『嬉しさで眠れない』を体験した。まぁ私はコンピューターでAIだから『眠る』というより『スロープモードになれない』と言ったほうが正しいのだろうか。

「私が世界で最初に知る、初めての経験・・・うふふふ」

誰かの計算式に基づいているわけでもなく、自分で調べる。こんなに嬉しいことがあと何回あるのだろうか?

数日の準備期間を終えた私は私専用装備を整えて『クラリオス帝国』に向かった。

「それでは行ってまいります」

「「いってらっしゃーい」」

私の創造主様たちに見送られた私はWAO職員のジョン・ケイトさんの能力で『クラリオス帝国』付近に飛ばしてもらうことになっていた。

「ジョニーよろしくね」

「なんかマキナさんに言われるとぎこちない気分になりますね」

「ムゥ~それはどういう意味ですか?」

その答えを聞く前に私は『クラリオス帝国』の周辺諸国についていた。

「この任務が終わったら、電撃でビリビリさせてやる」

ネットから色々なものを知り、『0→1』の可能性で肉体を手に入れた私は前の機械としての私より一回りも二回りも大きくなっているように思えた。

「初仕事がんばるぞー」

だけど・・・(のち)の彼女の言葉を借りるならば、私はまだ知らないのだ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()










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