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1:神無月 霙という生き物

小説初心者の私の初投稿なのでまだまだ至らないと思いますが楽しんでいただけると嬉しいです。

 始まりはいつだったっけ?私は地面に這いつくばりながら必死に逃げようとする元人間を見下げながら思った。

私はみぞれ年齢16歳、一年前に親に捨てられ名字や数多くの鎖と鎧を失い自分なりに生きているところだ。もともとアイツらとは仲良くもなくアイツラ同士も毎日喧嘩しては私に聞こえる音で互いに悪態をつく仲だったから捨てられたことには、むしろ感謝している。

「頼む、金でも何でもするから命だけは」

目の前の生き物は裏路地で(おもんぱか)っていた私を犯そうと襲い掛かって来たのだ、()()()()()()()()()()()()()()()()

「つまんないオモチャ、、キヒィヒィヒィ」

これが今の私。この私は犯罪者を人間とは思っておらず、無感情で無関心のクセに自分が満足できると思って他の物を好きなように(もてあそ)んでは、あのような嗤い方を真似するのだ。

「じゃあ私を満足させてねニンゲンサン」

口の左端を歪め、私はソレを縛って家まで引きずることにした。

 家に帰ると元両親で作ったオモチャが庭の花壇に肥料として埋めてあるが、なんとなく手だけは外に出してあるのが見える。一般的に言えば私は殺人犯なのだろうが今は違う、それは『0→1』(ラブワン)という物質?が今年の高校の合格通知を貰った日に地球に落ちたからである。『0→1』は無から有を創りすべての可能性を内包しているものらしく、ビックバンや神様、妖精に妖怪等がすべて現実となりまともな法が成り立っていないのだがそれでもこの日本は平和な方である。

玄関を開ければそこには色んな私、一人ですべてでありすべて一人である。これが私の分かりやすい能力であり私の悪癖である。

「「おかえり」」

「ご主人ご主人、今日は何されて捕まえたの?それとも目の前でナニされた?」

このお調子者は学校でよく見ることのできる私である。基本的に人にかまってもらいたがりな典型的カマチョである。

「ちょっと霙、どんな理由でも私刑はダメっていつも言ってるでしょ、警察に持っていきなさいって何度言えば分かるの?」

この口うるさい母親みたいなのは幼稚園での人のやさしさと平等性についてのお話によって生まれた私であり、一番普通で一番他人が見ることの多い私の一人でもある。

「ゴメン姉さん、でも今は警察もまともに取り合ってくれないし、それにこいつは能力者だったし」

「言い訳無用、だったらいつも通り皆で分けましょう」

私の声に導かれるかのように手にしていた人間は私達の手に渡った。

「じゃあ、私はこの人を警察に突き出すから皆は留守番しててね」

そう言うと、私は玄関を閉めて交番に向かった。私は彼女の事をなんとなくだが姉さんと呼んでいる、それは最初に生まれた私が彼女だからかもしれないが、私達の中では彼女を霙と呼ぶ方が少ない。こうしてる間にも私達は変わっていく。それは『0→1』によって私の中に渦巻いていた様々な私が外に出てしまったからであり、そして私達の両親は私達の殆どを捨てたが一部は残り、そして殺人衝動のある私によって殺されオモチャにされたのである。

「ねーアタイあの人間いらないからあげる」

目の前の可愛らしい幼女の私もいる。それで私はまた、、、、

私の悪癖の一つは自分への自信の無さから生まれた数々の性格である。特に学校ではよく変わったため周りからは多重人格や演技などと言われたが実際は違う。例えるなら面接の時では『私』とかしこまった言い方をしたりするが、普段は自分の事を『俺』『私』と呼ぶのと同じ。意識はしていないが勝手にしてしまう。人が誰かの真似や影響を受けるように私はそれをすべて別々に作ってしまい、現実から、出来ない自分から、人を怒れない自分から、そんな自分から逃げて、逃げずに行動できる自分を知らぬ間に作っていた。

「ありがと。(姉さんはもう届けたんだ)」

「、、、、、、、、、。」

静寂。そこには私とさっきの男しかいない。                                             

私達が何所で何をして、何を考えているかなどすべての私が共有している。そして私はそれらの私を一つにした。この部屋に居るのは『0→1』が来る前と同じ私、『0→1』によって人類の中には能力を持つものが現れ世界は混乱してはいるがそれでも日常は無くならない、明日は月曜日、学生の私は高校生活を送らなくてはならない。

「私を犯したかったんだろ?させてやるから私達と遊べ、私達がうっかり増やしたお前を殺しつくすまで」

優しい私は能力で男性の傷を治し自分の快楽と娯楽の為に使った。結局男性は私と途中から増えた私達によって絞りつくされ弄ばれ、途中、自身の能力で透明になったりされたが結局私達各々の楽しみ方によって一人を残して死んだ。

「もう止めてくれ、自由にしてくれ、駄目なら殺してくれ」

私達と同じように増えた彼は私達と同じように共有感覚を持つために普通なら正気ではいられないのだが意外と彼はタフだった。

「へぇ~意外と頑張るのね、じゃあ幽体の私を憑けて逃がしてあげる。」

彼の顔がぱぁっと明るくなった。次の瞬間彼は彼の家の中に居た。そして安堵と共にこの幽霊女と一緒に生活しなくてはいけないことを思い出し歯噛みした。その時、それは突然に彼の身に起きた。

「がぁあああああ、、、」

彼は唐突に倒れ、失神した。

「あ~あ、気絶させちゃった」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

彼はタフだったがそれは平均よりタフなだけで数えるのも億劫になるほどの回数殺され快楽を与えられているのだ。その貯蓄は人を簡単に失神させる。覚せい剤などとは比べ物にならない量の自然な脳内快楽物質に溺れて狂い倒れた少年を見て彼女は嗤う、口の右端を歪めながら。

「これで貴方は私無しじゃ生きられない、存分に私を愛してね、私も貴方が死ぬまで愛してあげるから」

美しく妖艶な私が優しく微笑む。幸に狂って倒れた男の子に寄り添いながら。

『0→1』がこの世界に来てから世界は創造期と呼ばれる時代を迎える。そしてこれからの後世に名を遺す空前絶後の存在こそ神無月かんなづき みぞれである。




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