浴衣と医師と彼女と彼氏(仮)
すみません3時間半遅れました……時間なくて色々文章があれなので今日中に修正します……
「では、率直言おう。君はもう手遅れだ。もうどうしようもない。治療法は一応あるが治すのはほぼ不可能だろう」
薄暗い部屋でその男は淡々と告げた。
「こちらからは普通の生活ができる間は薬を飲みながら普通に生活すること薦めるただ…」
「……そうします」
最初から諦めてたかのように若い女性は無表情で言葉を遮り即答した。
「まぁ最後まで聴け。ただ、それはこちら(・・・)からの意見であって俺個人の意見とは違う。俺としては治る可能性があるならその可能性にかけることを薦める。一時地獄を見て幸せな未来を掴める可能性にかけるか、確実に一時の幸せを味わって死ぬまでずっと地獄を見るか。選ぶのは君次第だ。だがな、逃げたら結果は確定する。一生地獄を見るのは本当に辛いぞ……」
男は底冷えするような恐ろしい声で言った。
しかし若い女性は
「できる限り薬を飲んで普通に生活します」
「そうか……じゃあ、薬を出しておこう。お大事に」
「はい。ありがとうございました」
若い女性はそれだけ言うと部屋を出て行った。
「逃げ。大切な判断だが、時と場合によっては最悪の選択となる。これは実感しないと分からないものなのかもしれないな……いい勉強になる」
男の呟きは誰にも届かず小さな部屋に悲しく響いた。
「別れ」それはいつも突然に、そして必然的に訪れるものだ。どんなに一緒に居たいと願おうと、誰にも等しく必ず訪れる。それは、織姫や彦星だろうが、物語の中だろうが変わらない。故に、私のような唯の人間がいくら願おうと絶対に不可能なのだろう。
7/7私と彼氏の最後の日。その日は私の願いとは対称的に白々しく訪れるのだった。
闇一色の夜が終わり、輝く太陽が上がり始める頃、私はいつものように目を覚ます。リンリンと鳴る目覚まし時計を手だけ伸ばして止め、のそのそと布団から這い出ると小さな洗面所で顔を洗う。そして、これまたいつものように居間でモーニングコーヒーを一杯飲んだ。全く今までの日常と変わらない。今日が人生の一つ、もしくは最後のターニングポイントになることは分かっているのに何も変化がない。もし、無理やり探すとするのなら昨日の朝はあったテレビや冷蔵庫などの家具がないことくらいだろうか?しかし、これは背景が変わっただけで私の生活に支障がないから“変化”とは呼べないだろう。
いつもの通りの日常を大切にする私なら気にすることはないが、流石に今日はどうも変化が欲しいようだった。
だから、それだから私はその日、彼との約束の時間より8時間程前に家を出たのだった。家はまるで私が出て行くのを笑ているかのようだった。
と、言うことで私は今、日射しが酷い街中に居た。周りには人、人、人、人、人。真夏に近い暑さの中、人が街を埋め尽くす光景は中々驚きだ。暑くはないのだろうか?正直に私はそう思った。勿論、そんな中には入りたいとは思えなかった。だが、中を通らねば先には進めないだろう。私は思いきって人混みの中を歩く、歩く、ひたすら歩く。10分くらい経っただろうか、そこで私は初めて気づいた。
目的地を決めてない……私は負けたサッカー選手のように肩を落とした。我慢して歩いた約10分の時間は無駄だったのだ。だいたい、街に来たものの行きたい場所なんて無かった。どうやら私は家を出る前に失敗してたようだ……人間誰にも失敗はあると言うがよりによって今日失敗するとは私は運がないらしい。仕方ない家に帰ろう……私は諦めて帰ることにしようと思っていたその時、ふと気づいた。私は10分間何処に向かって歩いていたのか?答えは単純だった。人に流されやすい私は街行く大衆THE一般ピーポーの多くが向かう場所に無意識の内に向かっていたのだ。では、今日という日に大衆THE一般ピーポー達は何を求めて何処へ向かうのか?その答えは目の前にあるデパートが、正確にはデパートの垂れ幕が全て教えてくれていた。
「○×デパート七夕フェア開催中!浴衣を着て七夕に行こう!」
浴衣と言えば確か去年夏祭りに行った時、彼がギャルが着ている派手な浴衣を見て「君も着てみれば」とかニヤニヤしながら言っていた。あの時はあえて無言でスルーしたが……今日だったら彼を驚かすためなら浴衣を着るのもいいかも知れない。正直、浴衣は着たことがないから着るのは少し恥ずかしいが……せっかく街まで来てこのまま帰るのは嫌だったので、私は目の前のデパートで浴衣を買って行くことにした。
デパートの中に入ると肌がひんやりとし、体が蘇るかのようだった。私はデパートの快適さを感じながら同じ2階へ向かう人々の流れに身を任せて七夕フェアが行われている2階へと向かう。予想はしていたが2階に向かう人々はカップルが多かった。他の人は中年世代か子供連れがほとんどだった。年頃の女子一人は私くらいだろう。どうせなら友達の一人くらい連れてくれば良かったかと少し後悔する。そんなことを考えている内に2階についてしまった。七夕フェアの行われているのは何処かと見回してみると2階の中心に人が集まっているのが見え、すぐにわかった。
私はフェアの行われている方へ近づき浴衣が売られているコーナーへ向かう。そこにはやはり先程見かけたようなカップルが多く集まっていた。多過ぎて浴衣は見えないし、やはり、一人でいると恥ずかしい。だが、「彼を驚かせたい」という動機があったから、私は一人でカップル達を掻き分け浴衣の見える位置まで前に進んだ。
さっきまで人が多過ぎて浴衣がどれくらいあるのかも分からなかったが、前に進むと50種類以上は確実にあることが分かった。これは選ぶだけで時間が潰せそうだ……私は一つずつ見ながらサイズを確認することにした。白地に黄色と赤のひまわりの絵柄の浴衣、黒地に彼岸花の浴衣、白地に黒い縦線が入っただけのシンプルな浴衣、そして彼の言っていたような派手な浴衣もあった。白地に赤い花やら黒い葉やら色々なものが散りばめられたいて帯は半分黒で半分金、どこまでも派手だ。彼を驚かせるには丁度いいかもしれないが、流石にここまで派手だと例え今日でも着たいとは思わなかった。だが、少し派手なだけの浴衣というのも味気がない。時間はあるのだからゆっくり探すとしよう。
どんなものが自分に似合うのだろうか?女物の浴衣の柄としてはやはり花柄が多いだろうか?花……これだけ種類のあるのならあの花柄もあるのではないのだろうか?見た目として似合うかどうかともかく、表に感情が出せない私の内面的な部分を顕すには丁度いいかも知れない。前から気になっていた花の柄もあるかも知れない。とりあえず探してみよう……あった。私はやっと探していた柄の浴衣を見つけた。有名な花だからあるかも知れないくらいの気持ちで探していたが、本当にあるとは七夕フェアとは凄い。ともかくサイズも良いし、これがいいだろう。選び終えると選んでいる間は感じなかった空腹感が襲ってきた。今は何時だろうか?彼から貰った銀色の腕時計を見る。時計の針は丁度1時を回ったとこだった。こんなに時間が経っていたとは……私は浴衣を購入すると、空腹感を癒すためにフードコートに向かうことにした。それにしても何を買うにもいつもは大して拘りもしないのに今日に限っては選ぶのに時間がかかってしまった。今更ながら思うが、朝といい、先程といい、いつも違う行動をしたがるのは変化を求めたがるのは今日になって今まで大した事もしなかったことを後悔してるからだろうか?今更、後悔したところで遅いことぐらい分かっている筈なのに……なんて都合のいい話だ。今になって自分ことだが笑ってしまう。もういいだろう無駄に変化を求めるのはやめよう、朝の私は寝起きでどうかしていたのだ、ターニングポイントなどと適当な建前で変化求めるなど馬鹿げている。後悔など今更しても遅い。だって……
「ねえねえそこの君!もしかして一人?」
後ろから声が飛んできた。聞き覚えのない男性の声だ。私はゆっくりと振り返った。そこには3人の男がニヤニヤと立っていた。三人とも共通して耳に大きなピアスを着けている。私は男達が次に言う言葉が分かっていた一応聴いた。
「なにか?」
すると一人が私が予想していた通りのことを言った。
「いやさ~一人なら今から俺達と遊ばね?」
昔から時々だが、こんな露骨に絡んでくる輩がいる。いったいどんな考えを持って見知らぬ女子に話かけてるのだろうか?見知らぬ怪しい男達に遊ぼうと言われて遊ぶ女子がいると思っているのだろうか?私は無表情で感情をこめずに答えた。
「私、彼氏と会う約束があるので」
自分で言っておいてズキリと心が痛むのを感じた。今日で関係が終わるであろう彼のことを使うのは少し気が引ける。ここに彼がいなくて良かった。ここに彼が居たら後で話を切り出しずらくなるいや、きっと私は言うことができなくなってしまってていただろう。まあ、いないのだからいい。それよりも目の前にいる3人の方が問題だった。彼氏がいるとわかればおとなしく引き下がると思ったが、何かこそこそと話をしている。いい加減立ち去って欲しいものだ……私がもう一言言おうとした時、やっと一人が私に話しかけた。
「ねえ、彼氏っていつ来るの?というか七夕に買い物に付き合わない彼氏とか最低な奴ほっとこうよ」
また、意味の分からないことを言い出した。いつ来るのかと聞かれた時は少し驚いたが後半の言葉は意味が分からない。七夕に買い物に付き合わない彼氏は最低なのだろうか?私は頭に血が上るのを感じた。そのまま感情に任せて私が一言言ってやろうと思ったその時、聞きなれた優しい声が私の鼓膜に響いた。
「僕の彼女が何か?」
振り返らずとも私には声の主が誰かは簡単に分かった。しかし、何故いるのだろうか?昼間はどうしても外せない用事があると言っていたが……私が考え事をしている内にもまた一人が彼に話しかけた。
「お前がこの子の彼氏!?」
何かおかしいとこでもあるのだろうか?それとも、焦ったような口調は3人より大きい彼の身長にでビビったのだろうか?
「お、おう。そうか、ちょっかいかけて悪かったな。じゃ、じゃあ」
なにはともかく彼らはそそくさと去って行った。私は、3人が離れて行ったのを確認して彼に気になっていたことを聞いた。
「なんでいるの?」
「……彼氏に向かっての開口一番がそれは酷くないかい?彼女がピンチにだったから助けにきてあげたのに」
「……」
185cmの長身を持つ彼は呆れたように言った。確かに開口一番に言うべき言葉ではなかったかもしれない。なら
「助けてくれてありがとう、それでなんでここにいるの?」
これならいいだろう。
「いつものことだからあんまり気にしないけど、その無表情は感謝する時も変わらないんだね……」
そうだろうか?少し微笑んで言ったが……私は首を傾げた。
「その反応は微笑んでいるつもりだったってことかな?」
首を傾げただけで察しってくれるところは流石彼氏と言ったところだ。私は素直に答えた。
「そう、微笑んでた」
「やっぱりね、あとさっきの答えだけど用事っていうのは親戚の結婚式だったんだけどトラブルがあったらしくて今日はなくなったんだよ。だから暇になってたまにはデパートにでもって思ってね、雑貨屋とか回ってお昼食べようとフードコートに行ってみたら君が絡まれてたってところだよ」
なるほど、用事とは親戚の結婚式だったのか、トラブルが起きて無くなるものなのかという疑問はあるが今はいい。それに、どうやら浴衣を選んでいるところは見られてないらしい、一安心だ。とりあえず浴衣のことを教えて反応をみてみよう。
「ねぇ、私は午前中何してたと思う?」
私のいきなりの質問に彼は少し悩んでから答えた。
「いきなりだね……君のことだからまた本屋で哲学の本とか買ってたんじゃない?」
本屋で哲学の本を買う。確かに私が一人で外出する時は本屋に行くのが一番多い、彼は私のことをよく分かっているようだ。勿論
「ハズレ」
「え、じゃあ家で読書かな?デパートは昼食を取るためみたいな」
ありそうだが
「ハズレ」
彼はもう一度考えると両手を上げて降参のポーズをとって言った。
「わからないね、おとなしく降参するよ君の勝ちでいいから教えてくれる?」
別に勝負をしていたつもりはなかったが……私は首をかしげつつ答えた。
「デパートで浴衣を選んでいた」
「え?」
彼は驚いたようだ。上手くいったと私は心の中で喜ぶ。しかし、彼の続けた言葉に肝が冷えた。
「何かあったの?」
彼は私の眼を見て言った。私は思わず目線をそらしてしまった。本当に何げない一言だった。だが今の私にとっては一番言われたくない一言だった。私は咄嗟に言った。
「前の祭りの時、浴衣きてみればって言ってたから」
声がうわずっていたかも知れない。慌てるほどのことでもなかったのに…また失敗した……しかし誤魔化せただろうか?
「ああ、去年の祭りの時のね、へぇーどんなのにしたの?」
誤魔化せたようだ
「お楽しみ」
「ふーん、楽しみにしてるよ。ところでもう2時だけど午後はどうするの?」
午後の予定はもう決まっていた。
「あなたの浴衣を選ぶ一人だけ浴衣は嫌」
「確かに二人で行くのに一人浴衣で一人私服というのは不自然だね。じゃあ、そうしよっか」
「うん」
私が頷いた。それから昼食を終えた私達は2階で彼の浴衣を選んだ。私の時程ではないが時間がかかった。私が派手なのを何着か選び薦めたが、結局選んだのは黒地のシンプルなものだ。派手なのは全て彼に却下された。残念……彼が浴衣を購入した頃には日も傾き始めたのでそのあとは二人とも更衣室で着替えてお祭りの会場に向かうことにした。
私が更衣室から出ると黒地の浴衣を着た彼が待っていた。黒地の浴衣はシンプルではあるが彼にとても似合っていた。
私は彼に気づかれないように後ろからそっと近づき声をかけた。
「お待たせ」
彼は振り返り私の方を見た。そして分かりやすく驚いた顔を浮かべる。この白地に薄い紫色の勿忘草の浴衣。十分派手な浴衣と言える。ここまで分かりやすい驚き顔が見れると時間をかけて選んだ甲斐があったと思えた。大成功だろう。
「……綺麗だね」
「……」
頬が火照るのを感じる。しかし油断してた。大成功だと思ったら酷い不意打ちを受けた……彼氏が彼女を褒めることに違和感を感じることはないし、彼に普段、私服を褒められてもここまで赤くなってしまうことはない……だが普段着ない浴衣で褒められるというのは私の中で想定外だったのかも知れない。
「……ありがとう」
私は火照った顔を隠そうと俯いて答えた。よく考えればこの状況で俯くというのは照れているのを主張しているようなものだったかも知れない。
恥ずかしい……
「あれ、もしかして……照れてる?」
やはり気づかれていた。彼はそれぐらい普段から感情を表に出してくれれば分かりやすいのにと続ける。
それは無理です……
「ところで、なんでその浴衣にしたの?凄く似合ってるけど別に……派手じゃないよね?」
「え」
「え?」
思わず間抜けな声を漏らしてしまった。仕方ないだって
「これのどこが派手じゃないの?白地に勿忘草よ」
「いや……勿忘草の浴衣が派手みたいな言い方だけど少し珍しいだけで別に普通だよ?」
「……」
どうやらこの浴衣は派手ではないらしい……あれだけ時間をかけたのに……少しショックだ。まあ、褒めてもらえたという嬉しい誤算もあったから気にしないことにしよう。じゃあそろそろ
「そろそお祭り行こ」
「ん?あぁもう浴衣の話は終わりなんだね……いいよ。お祭り行こうか」
彼は微笑みながら言った。
ごく普通の反応だった。予想できていた反応だった。しかしその瞬間、私の心に地震のような感覚襲った。彼らしい優しさに溢れた微笑みに、動揺することなど一度もなかったその微笑みに私の心臓が脈打った。分かっていた筈で、何度も実感していた筈だった。この苦しみを味わうことは覚悟していた。それなのに……私の頬に冷たい水玉が流れた。落ち着こう私は自分に言い聞かせる。しかし、冷たい水玉は私の意思を無視して流れるのをやめない。
「急にどうしたの?やっぱり今日何かあったの?」
彼が心配している。大丈夫だと言いたいが言葉が出てこない。彼はちょっと向こうで休もうかと言い私をベンチの方へと連れって行った。
「それでどうしたの?」
彼が優しく話しかけてくる。やっと止まった涙がまた流れそうになるの必死に堪えて小さく言う
「言いたくない……まだ落ち着いてないから……」
彼はその優しげな表情を変えずに
「分かった。じゃあ僕は君が落ち着くように飲み物でも買ってくるからここで待ってて」
そう言って彼は自販機のある下の階へと歩いて行った。彼が今席を外してくれたのはありがたい。表では涙が止まりいつもの無表情に戻りつつあるけれど、内面は全く落ち着いていない。さっきは流れで落ち着いたら話すなどと言ってしまったけど、それはつまりアレのことをここで話さなければならないと言うことだ。でもそれは嫌だ。せめてお祭りだけでもいつものように笑ってる彼と過ごしたい。はは……さっきまで微笑んだ彼の顔を見て泣いていたのに何て我儘なんだろう。思わず自嘲してしまう。素直にお祭りの後で話すと言えば彼はお祭りが終わるまでいつも通りの彼で居てくれるだろうか?……きっと居てくれるだろう。ならそうしよう。彼が戻って来たら俯きながらお祭りの後で言うと小声で言えばいい。うん、そうしよう。そうすれば、せめて彼と最後まで幸せなカップルで過ごせる。
「また、逃げるのか?」
「……!」
突然図星を突かれ驚く。しかし何より驚いたのはその図星を突く声が隣から聞こえたことだ。だが、私には声の主が誰か分かっていた。最近よく聴く声だ。私は振り向き声の主に聞いた。
「何故、雨宮先生が私の横にいるのですか?専属の医師でもプライベートに介入するのはおかしいでしょう」
「別に介入する気でここに居たわけじゃない。たまたま用事でここに来てたら泣いている君を見つけて、好奇心で彼と君の後をつけてきただけだ。」
私を悩ませるアレ、もといあの病気のための私の専属の医師雨宮先生はそう言った。しかし、さっきの話ではつまり
「つまりストーカーですね。警察呼ぶので待てって下さい雨宮先生」
私はそう言って携帯電話を取り出す。
「おい、待て通報するな。俺はただ気になって後をつけただけで……」
「それを世間ではストーカーと言います。……冗談はともかく、本当になんの用ですか?用がないなら……」
さっさと帰って下さい。そう言おうとしたが雨宮先生がそれを遮った。
「用事ならある。お前にアドバイスをしようと思ってな」
「アドバイス?」
私が聞き返すと雨宮先生は頷いた。
「そう、アドバイスだ。君、今自分がどんな状態かわかってないだろう?」
「?」
何を言ってるのだろう。私の体に特に異常はない。
「ああ、体じゃない。心の方な。最初の反応といい、今の態度といい、異常としか言いようがないだろう」
「……」
最初の反応は確かに否定できない……。だが今の態度は特に……
「今の態度がおかしいというのは、君の口数の事だ。いつもより明らかに口数が多いだろう。口数が多いのは自分に自身を持ちたいという心の現れだ」
「……」
またも反論できなかった。口数が多いというのは確かに事実で自身を持ちたいというのも……案外間違ってない気がしてしまう。雨宮先生は更に続けた。
「あと、さっきまで何を考えてたのかは知らないがどうせ泣いた理由とかだろう?さっき俺が時の反応を見るにまた逃げようとしてるみたいだな」
「……」
本当にぐうの音もでないくらい完璧に当てられてしまった。だが、
「それでだから何ですか?私は逃げることが間違ってるとは思わないので」
「本当にか?」
雨宮先生は私の目をしっかりと見て言った。
「本当に、間違ってないか?前々から話していて思っていたが君は自分を信用し過ぎている。頭の中で考えてこれがいいと思ったら疑うことをしない。失敗して反省すれば学ぶが次、想定外の事態に出くわした時、また同じように自分の考えだけを信じる。人に頼るということを嫌う。いや、嫌うというより恐れていると言うべきかも知れないな」
他人に頼ることを恐れている……そう、その通り。私は人には頼らない。人に頼って失敗したくないから、
人に頼り出せば自己主張が苦手な私は自分の個性を出すことができなくなる。だから頼らない。自分で正しい答えを出してそれを貫く。それが私にできる唯一の自己主張だから。
「だから、そんな君に一つアドバイスをしよう。至極単純なアドバイスだ、人を信じろ。別に俺みたいな大した関係もない奴を信じろとは言わない。何人も信じろとも言わない。だが、君を大切だと思ってくれる奴くらい信じてやれ。それだけだ」
本当に……
「それだけで……それだけで私はこれから間違えずに生きてけるでしょうか?」
「さぁな。ただ一つだけ言えるのは誰も信じない奴よりは何倍もマシな人生を、送れんじゃねーか」
雨宮先生は笑いながら言った。そして、俺はそろそろ彼氏が帰ってきそうだから帰るとしようと言って雨宮先生はさっさと帰って行った。
勝手に近づいてきて言いたいことだけ言って帰るとはどこまでも失礼な医師だ。でも、おかげで決心はついた。雨宮先生が私を信じてアドバイスしてくれたように私も大好きな彼を信じてみよう。
「お待たせ。飲み物買ってきたよ」
その彼の優しい声を聴いて私は顔を上げた。新しい1歩を踏み出すために
END
変な終わり方ですね。意味の分からない物語ですね。はい、作者もそう思います。主人公は男っぽいし、浴衣あんまり関係ないし、文章おかしいし。ほとんどわざとじゃないですが、2つ程はわざです。詳しいことは昼に上げる活動報告で説明します。作者がクタクタなので活動報告の時間がズレることはご了承下さい。では




