8 待ち合わせ
彩音の様子を見に行く事になって、夕方の5時に待ち合わせ。
と、言う事になったのだが・・・
「信之、もう5時前だよ!」
「んーわぁってるって」
信之はお昼寝してました。
今は4時47分。
公園までは歩いて約10分。
「信之!」「あ?」
「3分で用意!」「できるか!」
「どうせ、遅刻だし、よくね?」
・・・それもそうか。
信之はの~んびりと支度をしていた。
実に怒られても知らないよーとか言いながら
信之のベッドの上でコロコロ転がってるあたしって・・・
いま、何分だろーと時計と見てみたら
4時56分。
間違いなく遅刻だ。
「信之、まだ?」「あと5分」
・・・そんな時間ないって。
あたしこんなにのんびりやってていいのかな
いつ消えてもおかしくないんだよね・・・
もし、みんなと会う前に消えちゃったら?
もし、なんにもできずに消えちゃったら?
「瑞樹、行くぞ~」
・・・あたしはあんたを待ってたんだよ
時計を見たら5時3分。
5分じゃないし。
あたしと信之は家を出て階段を下りた。
「なぁ、お前さー」「なに?」
「生きてた時に好きな奴っていたの?」
「好きな奴?」
あたしは・・・いたっけな?
あたしはみんなといれたらそれでよかったし・・・
そんな恋愛感情はなかったな。
「いなかったよ、でもかっこいいなとは思ってた人いるよ」
「ふーん、だれ?」「内緒」
「・・・おもしろくねーの」
数分歩いて公園が見えた。
足がないくせにとか言わないでね(笑)
夕方の5時でも、少しだけだったが人はいた。
でも、その中に実と言う人物はいない。
公園の時計を見たら5時15分。
言い出しっぺが遅刻ですか?
数分後――――――。
公園の時計を見た。
5時27分。
公園にいた人は、もうみんな帰っていった。
そこでようやく実が登場。
向こうの方からとぼとぼと歩いて来た。
「遅ーよ、何分待たせんだよ」
「いや、ここに来る途中、ケーキ屋さんでプリン売っていて
それがとても美味しそうに見えまして、行列ができていましたが
ついつい並んで買っちゃいました♪」
「・・・そーいやこいつ甘いもんが好きだっけ」
「みなさんの分も買いましたよ、彩音さんの分も」
「じゃあ、早く行きましょう」「・・・何か腹立つな~」
あたしたちは公園を出た。
この時はまだ冬の季節に入ったばかりだったが
夕方という事もあり、当然体はすぐに冷えた。
「彩音の家ってどこだ?」
「あぁ、確か次の角を左だよ」
「そういえば、最近彩音さん学校来てませんでしたよね」
「そうか?クラス離れたからわかんねーや」
「1週間くらい休んでますよ」「へーってかあいつ友達いんの?」
「僕が友達少ないんでいつも休み時間は彩音さんと・・・」
「あぁ、お前のせいで友達いないのな」
少し実の顔が怖くなった。
あたしの知らない間にどんどん物語は進んでいたんだ。
実と信之は本当に仲がいいみたいだし。
「ねぇねぇ、実は好きな人いるの?」「はい?」
「急に話変えるな~(笑)」
「・・・いますよ、1人」「えっ?」
「聞いた本人がびっくりしてんじゃんかよ(笑)」
だって、実にそんなイメージないってゆうか・・・
いつのまにそんなのできたんだ。すごいな。
ここで、あたしはある事に気付いた。
「彩音の家通り過ぎちゃった」
「は?」「本当はもっと向こう」
あたしの指のさした方向を2人は見た。
「げっすっげー前じゃんか」
ボソ「めんどくさっ」
「・・・実くん?今の言葉もう一回言ってみようか」
「めんどくさい」
「っていうか、実の敬語じゃないバージョン初めて聞いた」
「俺は何回か聞いた事あるな」「どんなの?」
「『黙れ』とか『うっぜ』とか『あ?』とか『しね』とか」
さすが元ヤンキーだな・・・
実から送られる視線がなぜか寒気に感じたのは黙っておこう。
次から彩音出す!