5 真実
あーどうしよう、信之怒らせちゃった。
あの子が拗ねたらめんどくさいんだよな。
え、あたしのせいじゃないよね。
ちがうちがう!あたしのせいじゃない!・・・はず。
あたしは急に寂しくなった。
もし、あたしが生きていたらみんな笑ってたかな?
もし、あたしが生きていたらずっと一緒にいれたのかな?
そんな事を考えていると、ふと通り過ぎた人が懐かしい匂いで漂っていた。
外見は少し変わっていた。
やけに細くなっていたが、あの背中を間違えるはずはない。
あの背中は・・・
「彩音!!」
・・・やっぱりあたしの声は聞こえないのかな
信之は霊感があるんだ。へーすごい。
って、そんな事はどうでもいい!
信之以外の人も見つけれたんだ。
後をついて行ってみよう。
『竹内 彩音』は小学校の頃、同じクラスになったのがきっかけ。
どこにでもいる様な普通の女の子だったけど
たまに寂しそうな顔をする子だった。
そして自ら自分の命を絶とうとした。
それをあたしが力ずくで止めようとしたけど、一緒に落っこちちゃった。
それで彩音は全身打撲で済んだけど、あたしは頭を強く打って入院。
そのまま意識が戻らず、死んでいった。
あたしは彩音のすぐ後ろをついていった。
よく見ると、彩音の髪は全くケアされていないのか髪が傷んでいた。
彩音の家には行ったことがなかったので調度よかった。
玄関までついていったあたしは愕いた。
そこには「金返せ」だの「泥棒」だの様々な暴言が書かれた紙がドア一面に張り付けていた。
ドラマとかで見た事のある光景だった。
部屋の向こうから大きな物音がした。
部屋をすり抜けて行ってみると奥の方に声が聞こえた。
あたしはさらに奥へと進んでみた。すると・・・
「なんで何も持っていない!?さっさと食いもん盗んで来い!」
「お父さん、物を取るなんてあたしにはできないよ」
「口答えするな」ドカッ!ガシャン!パリーン。
「いっつ・・・!」
彩音がガラスへと吹っ飛ばされた。
幸い腕のかすり傷だけですんだ。
少しホッとした。
その時、彩音のお父さんらしき人が彩音に近づいた。
そして、彩音に殴り掛かった。
「お前さえいなけりゃな、俺は母さんとやり直せたんだ!
お前がいたから、母さんは俺さえも置いて行きやがった
全部お前のせいだ!お前なんか生まれて来なければよかったんだ!」
その時あたしの頭の中の何かが横切った。