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第5話 スキル検証を始めました 2

「……よし」


 シリアルにバナナという簡単な朝食を取って部屋に戻った俺は、それから色々と『魔法』スキルを試していた。


 まず分かったのは『魔法』とつくスキルは発動者のイメージによってその規模が大きく変わるということだ。

 風呂場で最初に『水魔法』のスキルを試した時、俺はびしょ濡れにはなりたくないと無意識にセーブを掛けていたのだろう。そのため現れた水球は手のひらサイズのものだった。

 そして次に『水魔法』を発動した時、俺は「もっと派手なものを」とイメージしていたから、俺の身長と殆ど同じサイズの水球が現れたのだろう。


 以上の事を踏まえるに、魔法スキルは発動者のイメージによってその効果が大きく変わると予想される。


 そしてこれが最も重要なことなのだが、魔法スキルで消費されるMPは一定ではない。

 先の例で言うと最初の手のひらサイズの水球を出現させた際の消費MPは5だったが、特大サイズの水球を出現させた際はMPを50も一気に消費してしまった。


 これらを考慮した上で安定的にレベルアップに必要な経験値を得るために考え付いた方法、それがこれだ。


「『水魔法』」


 スキルを発動すると、手のひらの上に小粒と言っていいほど小さな水球が現れる。

 それを確認すると俺は水球が消えてしまわないように注意を払いながらステータスを開く。


―――


伊織修 Lv13 人間

HP370/370

MP29/125

SP20

STR11

VIT12

DEX13

AGI11

INT11


スキル 鑑定 万能翻訳 水魔法 風魔法 空間転移魔法


―――


「第一段階はこれでクリア、と」


 問題はこの次だ。

 俺は水球を消すと改めて『水魔法』を発動する。

 イメージするのは今さっき出現させたものと同じビー玉サイズの非常に小さな水球だ。


「……『水魔法』」


 再び手のひらの上に見かけはさっきと同じサイズの水球が出現する。

 さあ大事なのはこれからだ。


「『ステータス』」


―――


伊織修 Lv13 人間

HP370/370

MP28/125

SP20

STR11

VIT12

DEX13

AGI11

INT11


スキル 鑑定 万能翻訳 水魔法 風魔法 空間転移魔法


―――


「ふぅ……」


 消費されたMPの値を見てホッと安堵のため息をつく。

 水珠のサイズを極限まで小さくすることでMPの消費量を最小値の1まで減らし、スキルの使用可能回数を最大まで増やす。

 これが俺の考えた安定的に経験値を獲得するための方法だ。


 しかしこれにたどり着くまでに苦労した。

 ほんの少し膨らんだイメージを持つと水球の形も不安定になりMPの消費量が増えるし、反対にイメージが希薄過ぎるとスキルそのものが発動しなくなる。

 そうしたこともあって調整にはかなり難儀した。


 ともかくあとはこの感覚を忘れることなく安全マージンを確保しながら毎日スキルを発動して経験値を獲得していくだけだ。




『規定経験値に達しました。レベルアップが行われます』


 そんなことを考えていると、突然無機質な声が聞こえてくる。

 それと同時に展開していたステータスの数値が変化を始めた。


―――


伊織修 Lv14 人間

HP400/400

MP130/130

SP30

STR13

VIT15

DEX13

AGI15

INT18


スキル 鑑定 万能翻訳 水魔法 風魔法 空間転移魔法


―――


 おお、これが生レベルアップか。

 これまでは寝てる間に勝手にレベルアップしていたから直接見たことはないんだよな。


 そんな感慨に浸っていると、ふとある考えが頭をよぎった。


 転校した直後に受けた身体測定の結果は、どれも全国平均と殆ど同じだったはずだ。

 あれをレベル1の身体能力と仮定した場合、レベル14まで上がった今の俺の身体能力は一体どれくらいになっているのだろうか。


「……お兄ちゃん、今いい?」


 扉が軽くノックされた後に妹の声が聞こえてくる。

 俺は急いでステータスを閉じると、「いいぞ」と返事した。


「……あのさ、今朝のことで……」

「ああ、シャワーのことか?」

「いや、そっちじゃなくて……」

「? シャワー以外に何かあったか?」

「……覚えてないならいい。それとお昼と夕飯の食材を買いに行くから一緒に来て」

「わかった。すぐ支度するよ」


 それだけ伝えると妹は部屋を出ていった。

 ステータスの検証はそのうちやるとして、とりあえず今日は2週間迷惑をかけた借りを返すことだけを考えよう。


 思考を切り替えると、俺は服を着替え始めた。





◇◇◇


「………お兄の、ばか」

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