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令息との邂逅

うーん、描写が難しいよ!


姉妹でのお茶会から2日後、



 この僕が、男と、しかも阿呆だという野郎と婚約だと?ふざけるなよ…あっちの屋敷に着いたら、徹底的にバカ令息を無視しよう。


 ーーこんな理不尽な婚約…絶対に破棄してやる!




そう息巻いて、王都(屋敷)から辺境(ど田舎)へと向かう馬車に乗り込んで、早2時間。


 死ぬほど気持ち悪い…。


 僕なら、魔法でどこへでもひとっ飛びなのに、ウッ、なんでこんな時代錯誤な乗り物に乗らなきゃならないんだ…オエッ。


 相手方の家に嫁ぐときや婚約の挨拶に伺うときなんかは形式的に、自分の家の家紋が刻まれた馬車で向かわなければならない決まりなのだそうだ。


 僕も例に漏れず、家紋である白を基調とした豪華絢爛な馬車に乗せられている。

 流石は公爵家といった見事な装飾だ。

 

 しかし、今の僕にそれを楽しんだり、自慢したりする余裕などない。

 ガタガタと体を揺さぶられて、脳がぐらぐらする。こもった車内の空気が気持ち悪い。窓を開けると、田舎の青臭い匂いが鼻に付く。あまり青々しい匂いは好きではない、閉めよう。

 

 わざわざ時代遅れな乗り物に乗る、忌々しい慣わしなど、跡形も無く消し去れば良いんだ、オエ…もう限界…。



 そして、僕は本来、乗り物酔いなどする質ではない。誰がそんな格好悪い真似…ウッ、皆に天才だと言わしめたこの僕が、オゲ…。


…すこーしだけは酔うかもしれないが、こんなにも酷い状態になった原因は、今着ている衣服にある。


 これでもかというほど内臓をぎゅうぎゅうと絞め上げているコルセット。幾重にも重ねたフリルで、ボリューミーなパニエ。おまけに、見事な金糸の刺繍が施された薄いヴェールを重ねた被り物。


 身につけている全てが、当然、眩いほどに白い。白すぎて、気持ちが悪くなってくる。


 白は我が伯爵家の家名であるが、花嫁が身に付ける祝福の証でもあるそうだ。

(僕は花嫁ではないが、婚約の際も白を身に付けることがこの国の一般的な考えだそう…断じて、僕が婚約を望んでいる訳ではないが)


この白色には、

「あなたの色に染まります」

 

なーんて鳥肌が立つ意味が込められていると、夢見がちな姉上様が話していた。

 

…けっ!そんなもの滅びてしまえ。


 これを準備して着付けたメイドや、厄介な姉上方は、異様な程に爛々と目を輝かせていたが、こんなにも酷な衣服だとは…。

 

 遠回りな嫌がらせなのかと疑うほどだ。

 …あの人達ならあり得る。

 

 こんなにも心の中で文句を吐き散らしていても、あちらに着くまで、まだ3時間もある。

 …果たして、着いた頃には僕は生きていられるのだろうか。


 ようやく屋敷の門の前に着いた。

 

 後3時間で着くと言っていたのに、僕が合間合間に止めていたとはいえ、結局のところ4時間も掛かったじゃないか、あの嘘吐きな御者め。

 後で父上宛てに手紙を飛ばして、地方に左遷してやる。


 屋敷を出発したころはまだ朝で明るかったが、流石に辺りも薄暗い。そして少しだけ寒い気がする。


 目の前の屋敷は、見たところ、地方の成金によくある金などでゴテゴテに飾り立てられたような悪趣味な家ではなく、大きくはあるが、素朴で暖かい印象だ。


 ふん。まあ、絶対僕の屋敷(じっか)の方が住み心地良いけど、今日くらいは我慢してやる。


 馬車からは降り、先程よりは開放感があるが、気分の悪さは継続している。


 着くまでは、令息に対して初対面でどんな嫌がらせをしようかと考えていたが、そんなことはもうどうだっていい。今はさっさと中に入って休みたい。


 そう思い、念を飛ばしながら門の前で待っていると、メイドが来て応接室に案内された。


 辺境伯は寝たきりだそうで、顔合わせできる状態ではないと説明されたが、肝心の令息が来ない。


 普通、部屋で待ってるだろ。客が来るって分かっているのだから。

 バカに加えて非常識の烙印も押してやろうか?全く。


 そんなことを悶々と考えていると頭痛がしてきた。数秒の間目を閉じて、再び開けると、眼前に人の顔があった。





 ……驚かせるな!このバカ!!


 、と口から出そうになった。危ない。


 ここで声を出したら、男だとバレてしまう。婚約破棄のためにはそれでもいいが、学園に入学する際に、周りに広められてしまったら、後が非常に面倒臭いので、喋らないように徹底しなければ。

 

 それに、令息を無視し続けることで、婚約破棄してやろうという算段でもあるしな。


 ずっと真顔でいるのも怪しまれるかもしれない。令息(こいつ)に対して愛想を良くしたい訳ではないが、とりあえず人前用の笑顔を貼り付けておく。

 


 目の前にいる背の低いのが、噂の令息だろう。体調が優れないとはいえ、僕に気づかれずに、音も無く近づくとは。

 

 一体どうやったんだろう。言うほどの阿呆ではないということか?



 鈍い頭でぼーっと考えていると、令息が口を開いた。


 


「…王都からこんな遠くまで来てくれたところすまね、申し訳ないが、お、私には婚約者は必要ないんだ。あなたも望んだ婚約じゃねえ…ではないだろう。だからどうか、こんにゃ、婚約破棄をしてくれ」


 …聞き間違えたか?とてつもなく噛みまくっている中に、婚約破棄という言葉が聞こえた気が。

 

 ニコニコと反応せずにいると、令息がもう一度口を開いた。



「頼む、婚約破棄してくれ」





「は?ふざけるなよ?」



 

 気づけば、そう口にしていた。





 

 


いよいよ令息が出たね!次、結構しゃべると思うよ!

次から話が大きく進むと思うから、一旦評価やブクマなんかしてくれたら、作者のやる気が上がるよ!

ありがとう!

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