悪魔の手は時に人を救う神の手となり得る 下 〜わしは英語は話せんぞ〜
目を覚ますと、横では彼女......キャロルが寝ていた。殺し屋の男がやってきてからの記憶がない。
「うっ、ててて」
体を動かそうとすると激痛が走る、自分の体を見ると包帯で巻かれていた。程なくして彼女も目を覚ました。
「あんた、もう目覚めたの?早っ!」
「タフだからな」
動かすとすごい痛いけど
「改めて聞くけど仲間にならないか?」
「いいよ。あんたは恩人だし、何か面白い事になりそうだからね」
俺は彼女が医術に優れている事など全く知らなかったので驚いた。過去に彼女は医者をやっていたらしい。でも何故医者が人殺しの道に堕ちるのだろうか。真逆の職業につくには相当な覚悟ときっかけが必要だ。
「いやーあたしは昔は100年に一度の天才外科医なんて呼ばれてたんだけどね......」
彼女がまだ医者をやっていた頃、彼女には交際中の男がいた。どういう訳かは分からないが正体不明の組織に彼が殺されたという。長年の付き合いだった最愛の人を奪われた彼女は、その組織の人間を殺したいと思い、実行した。人体を毎日のように開けている彼女にとってはそれを的確に崩す事など容易かった。そして、その腕を買われた事で闇の世界へと入ったそうだ。その際に出征記録、顔、指紋など様々なデータを書き換えた為情報が手に入らなかったのだ。
「ねぇ他の仲間は?」
「いない、お前が1人目だ」
「そうなんだ、じゃあ拠点は?」
「ないな、仲間を集めるときに世界中飛び回る事になるだろうから、家とかは買ってないな。あった方がいいか?」
「そりゃあった方がいいでしょ」
でもどこにしようか。ここがいいよ。などを話し、取り敢えずロンドン市内のアパートを借りる事にした。当面そこを拠点として動く事になるだろう。キャロル.....2を拠点で待たせて俺一人(正確には0も一緒だが)スカウトに向かう事にした。次に居場所が分かってるのは日本だ。
「なぁ0。このケントって奴英語喋るかな?」
「多分大丈夫だと思うよ。彼が所属してるの国連だもん」
「てかあの組織なんなんだ?MVSだっけ?」
「MVS、通称メイビスは表向きには慈善団体なんだけど、MVSは多くの国で総務省っていう意味がるそしてメイビスは女性の名前だ。そこからメイビスさんがつくった中央行政機 関ってのが浮かび上がるね」
「じゃあ世界を裏から操ってる組織ってことか?」
「あくまでも仮説だよ、ただ何か裏があることは確かだよ」
謎の国連機関MVSについて考察しているうちに日本に到着した。彼は休暇中で、実家に帰省している。彼の実家は1950年頃から続く剣道の名門だ。
「hello,can I meet Kent?」
「はい?わしは英語は話せんぞ」
「爺ちゃん、家に入ってて」
「そうか?健人、任せたよ」
「What did you come for?」
英語話せる人でよかった。俺日本語は分からないからな。
「俺と仕事をしないか?」
「いや、俺がどこで働いてるか知ってんの?」
「あぁ知ってて提案してる。で?どうなんだ?」
「話くらいは聞いてやる、まぁ上がれ」
タタミの上で座って待っているとケントがお茶とお菓子を持ってきた。この日初めて日本のお茶とお菓子を食べた。
「へぇー。もう一度聞くけどさ、俺の仕事知ってるんだよね?」
「ああ」
「立場が真逆なんだよな〜。まぁ俺はどっちサイドでもいいけどな。考えとくよ、うち泊まってけ」
「今すぐ返事が欲しいんだが」
もう一度お茶を飲んでいるとケントに電話がかかってきた。彼はザッと立ち上がると「すぐ戻る」とだけ言い残して走って行ってしまった。初めてきた国の道場に置いてくなよ。
「ん?何だろうな?この模様何処かで見た気がするな」
家紋と呼ばれるこの模様を遥か昔に身近なところで見た気がした、日本に来たことは一度もないのに。
ん?爺さんが何か言ってるな。俺はスマホに搭載されたAIで翻訳した。
「おぉ、ケイトか?久しぶりじゃのう」
何故俺の下の名前を知っているんだ?久しぶり?俺は冷凍保存から目覚めてから一度もこの国には来ていないんだぞ?もしこの爺さんも冷凍保存されていたとしても、俺には保存前に日本に来た記憶などない。よく似ただれかと間違えたのだろうか?
「ただいま、爺ちゃん。」
何やら暗い様子のケント。
「お帰り、誠哉。遅かったじゃないか」
「爺ちゃん。父さんはもういないんだよ」
「あぁ、そうだったか。誠哉はいないのか」
「なぁあんた、まずい事になった。仲間に入れてくれ、あと早くこの国から出よう」
爺さんに挨拶をし道場を後にする。事情は飛行機で聞く事にした。0とは無線を繋いであるので置いてくる心配もないだろう。二人で飛行機に乗り込み、ロンドンの拠点へ向かう
もし健人も英語がダメダメだったら
「hello,can I meet Kent?」
「はい?わしは英語は話せんぞ」
「爺ちゃん、俺も話せない」
「can you speak English?」
「へ?へ?へ?」
ー完ー




