決着
「2、大丈夫か?」
「だいぶ痛みに慣れてきたよ」
「一気にたたみかけるぞ」
「う、ん」
長期戦になると狼たちは学習し、より効率的に獲物を狩れるように陣形を変化させてくるので、一体ずつ確実に仕留めていてはいつかは限界が来てしまう。負傷者がいるなか彼らを倒すには短期決戦でなくてはならない。
「2、手持ちの手榴弾を全部渡してくれ!」
全部で十二個の手榴弾を一つづつピンを抜き投げていく。普通に投げるだけでは避けられてしまうのだが、弾幕を張りながら下から転がすように相手の元へ向かわせれば当たる確率は高くなるだろう。
銃声、手榴弾が転がる音、破裂音、狼の断末魔。
「よっし!これであと2体だけだ!」
仲間を失った2匹の狼は顔を見合わせると元いた檻へ逃げて行き、自ら扉を閉めた。劣勢に気がつき恐れを為したのだろうか。
『チッ、失敗作め。廃棄だ』
檻の床が開き狼は落ちていった。
『お前ら逃げられると思うなよ』
「ふぅ......俺たちも狼倒したぞ」
『そうか、俺達はまだ出口を見つけられてない。迷路みたいだ』
『確かにそうね。通路に時々張られてるワイヤーとトラバサミが厄介だし......』
「さて、どうしたものか」
取り敢えず現在いる部屋にはひとつしか扉が見当たらないので罠に気をつけながら開く。
扉の先には長い廊下とたくさんの扉が点在していた。
「なんだこの部屋は......」
手前の部屋に入るとそこにはおぞましいものがあった。床にこべりついた血液、謎の粘液、拘束具のついたベッド、そこにも血液が染みていた。そんな部屋の中でも一際存在感を放っているのものが一番奥のベッドにあった。
「なんだ?あれ」
「うっ......あれって人間じゃない?」
「本当だ、よく見るとそう見えなくもないな」
それは、皮膚が剥がれ、内臓が飛び出している肉の塊だった。まだ生きているのだろうか、息をしている。
「ねぇ、ここはやばいよ。早く出よ」
「あぁ、そうだな」
『このままじゃ埒があかない。発砲してくれ』
2が発砲するともう一度連絡があった。
『そっちか、間隔を空けて発砲してくれ』
「わかったわ」
少しすると、壁から銃声が聞こえてきた。
『そこを開ける、ちょっとどいてろ』
5の雄叫びと共に重機関銃の硬く重い銃声が聞こえてきた。程なくして、壁に穴が空き、そこからは柄を使って壁を破壊した。
「あとは6だけか」
『合流したみたいね、4から借りてきたドローンを飛ばしてたらここの管理室見つけたわよ。あなたたちを探すからドローンの駆動音が聞こえてきたら連絡して』
「わかった」
十数分後、モーターの音が近づいてきたので6に向けて、合図を送る。彼女からの次の指示は3がしたのと同じで、発砲しろとの事だった。
その後無事、ドローンを発見した彼らはそれに誘導してもらい管理室を目指す。
「危ねぇ、このワイヤー切れやすいんだよな。気づくの遅れてたら指落ちるところだったぜ」
「チッ、おちりゃいいのに」
「おい!3、なんかいったか?」
「言ってないよ。ゴリラ」
「んだとゴラァ!?」
「お前らやめろよな」
3と5を組ませたのは間違いだったか?ここの所よく喧嘩してるしな。まぁ喧嘩するほど仲がいいって日本では言うらしいからほっとくか。
『その先が管理室よ。私もそこに向かうからドローンは回収しておいてね』
「先に入ってるからな」
『うん、気をつけてね』




