78鱗目:男同士、龍娘
「さて隆継、今日わざわざ君に来て貰ったのはとても大事な話があるからだ」
「ほほう……お姉さんからのケーキバイキングを断るくらいって事は相当な事なんだろうな」
「うむ、あの2人に聞かれる訳には行かないからね。
だからケーキバイキングを断ってまでして……そう、ケーキバイキングを断って…………ケーキバイキング…………ケーキバイキング行きたかったぁー……」
とらちゃん達とのお泊まり会も無事終わり、4連休も最後の今日、僕は隆継の前で机に突っ伏しながら悔しそうに尻尾と手をべしべしとしていた。
いちごのショートケーキ食べたかったなー!
「未練タラタラだなぁ………………そんなに悔しいなら今から行って合流してくればいいんじゃねーか?飛んでいけば追いつけるだろ」
「うぅぅぅぅー…………我慢するぅー……」
「お、おう……そうか…………あー……それで?話っていうのは?」
はっ!いかんいかん、本題から外れかけてた。
隆継におずおずとそう聞かれ、僕は危うく本題から外れかけていた事に気が付き、頭の中に浮かんでいたいちごのショートケーキを消すように顔を横に振ってから、こほんと咳をひとつする。
「それで隆継、話というのはだな」
「おう、無理矢理切り替えたな」
「最近の僕ってだいぶ女子化してない?」
「おう………………おう?」
「やっぱり隆継もそう思うよね、僕も流石にこれはまずいと──────────」
「ちょっ!まてまてまて!一体何がどうしてそんな事を思った?!」
うおおっ!?びっくりしたぁ!
「わかった!説明するから肩をガクガクするなー!」
隆継が理解したものだと思い自分の考えを語ろうとしていた僕は、突然隆継に肩を揺さぶられて尻尾をピンと立てながら改めて説明を始めた。
「んで、どうしていきなりそんなこと思ったんだ」
「えーっとね、なんでかと言うとね──────」
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「あぁぁぁぁー…………」
やばいー……気持ちよすぎるぅ…………
「すずやんほんま気持ち良さそうやねー、洗ってるこっちまで嬉しくなるわ。さて、それじゃあウチもそろそろ体洗おうかな」
「とらちゃんほんとありがとねー…………ん?」
お泊まり会二日目の夜、とらちゃんとお風呂に入る事になった僕は翼をとらちゃんに洗って貰い、蕩けた顔で湯船に入って顔を上げる。
するとそこにはすっぽんぽんのとらちゃんが居て──────────
おー、とらちゃんの肌真っ白でつるつるしててー……
ドボン!
まてっ!もしかして今僕女の子みたいな事思った?!というかそもそもとらちゃん、女子とお風呂を一緒にしてる事になんの違和感も感じなくなっていた!?
「すずやんどうしたん!?」
「なっ、なんでもない!」
勢いよく湯船に潜り今の状況と自分が考えていた事に僕は目をぐるぐるさせながらそう考え、湯船から顔を出してとらちゃんにそう言ったのだった。
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「───────ってなことがあって」
「なるほどなぁ……それで最近心まで女の子に染まって来てるのをどうにかしたいと」
「そういう事、僕はこれでも中身は男なんだから」
だから何言ってんだこいつみたいな目で僕を見てくるのはやめろー。
「まぁ……とりあえず体は女なんだし、それが自然っつーことでそれでいいんじゃねーの?」
「良くない!」
なんだそんな事かと言わんばかりにそう言ってくる隆継に僕はそう言うと、はぁーとひとつ大きなため息をついて頭を抱える。
「……………………とりあえず女らしい事を控えて男らしい事をやってみたらどうだ?」
「女らしい事男らしい事かー…………確かにそういうのから始めてみるのがいいのかなぁ……」
何事も形からって言うし、それがいいのかもしれない。
「…………隆継一緒にお風呂はいる?」
「ぶっふっ!ちょっ!ゴホッ!いきなり何を?!」
「いやほら、裸の付き合いってあるじゃんか」
「中身云々以前にお前の体は女なんだからな!?んな事出来るわけねぇだろ!サナとお姉さんに殺されるわっ!」
お茶を吹き出した隆継が顔を赤くしながらそう言い終わると同時に、玄関の方からただいまーと言う声が聞こえてくる。
「ほら、サナ達が帰って来たからこの話は終わり!とりあえず形から入ってみろ!いいな?!それと絶対さっきみたいな事言うんじゃねーぞ!中身はともかく体は女なんだからな!」
「わかったよーう」
まぁさっきのは流石に迂闊だったかな?
「鈴ちゃんただいまー!」
「隆継に鈴ただいま」
「2人共おかえり」
「おかえりなさーい!楽しかった?」
「楽しかったよー!はいこれお土産!」
おー、どれどれ中身はー?
「いちごのショートケーキだー!」
「鈴が好きだと思って買ってきたのよー」
「ありがとー!2人とも大好きー!」
尻尾を振りながら満面の笑みでちー姉ちゃんとさーちゃんにお礼を言うそんな僕を見て、ダメだこりゃと言わんばかりに隆継は首を振るのだった。




