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68鱗目:フラグ!?龍娘!

「ここが楽屋かぁ…………うぅっ……!なんか緊張してきたぁ…………!」


「んまぁ初舞台がこれやしなぁ。出てる歴戦の芸能人達ですらやっぱり緊張しとんのに、天霧ちゃんが緊張せぇへんわけないか」


 天霧鈴香様と扉のボードに書かれた部屋に僕が入ると、中は畳スペースのある結構広めな部屋になっていた。


「鈴ちゃん鈴ちゃん!天霧鈴香様だってー!凄いねー!」


 あ、なんかはしゃいでるちー姉ちゃん見たら少し落ち着いた。


「天霧ちゃんのお姉さん凄いはしゃいどるなぁ……」


「あはははは……」


「それじゃあ時間になったら呼びに来ますので、天霧さんは置いてあるシャツに着替えて休んどいてください。会長はスポンサーの方々にご挨拶の方を」


「おう、わかった。それじゃあ天霧ちゃん、また後でな!」


「はっ、はいっ!」


 僕と雅紀さんに角水ADと呼ばれていた人がそう話すと、角水ADと雅紀さんは共に部屋を出ていって部屋には僕と付き添いで来たちー姉ちゃんが残される。


 仕方ないとはいえすごい所まで来ちゃったなぁ…………僕の人生一体どうなるのやら。


 そんな事をつい考えてしまう僕がなぜこのような場所に居るのか、それは数日前に遡る。


 ーーーーーーーーー


「お、そういや今年の30時間テレビは来週の土曜からなのか」


 30時間テレビ?あの最近テレビでよく言ってるやつだっけ?


「その30時間テレビ?ってどんなのなの?僕よく知らないんだけど」


 お昼ご飯を食べてリビングのソファーでゴロゴロしていた僕は、横でくつろいでいる隆継の言った30時間テレビというものについて聞いてみる。


「あーそうか、鈴香は知らないか。えーっとだな簡単に説明すると…………色々な企画とかを30時間ぶっ通しでやる特別な番組だな」


 30時間もぶっ通しで!そんな番組があるのかぁ……すごいなぁ。


「凄いよなぁ。しかも日本のみならず海外の有名人とか人気芸能人とかがたっくさん出るんだよ。後は番組と同時並行でフルマラソンとかもあったりしてな」


「なんか……色々あるんだねぇ」


「ははっ、とりあえずはそんな感じだ。鈴香もそこそこというか今1番の話題だし、雅紀さんと繋がりもあるからもしかしたら声をかけ────」


 プルルルルルルル……プルルルルルルル……


 ん、電話だ。


「ちょっと出てくるねー」


「お、おう…………………………もしかして、フラグ立てちまったか……?」


 電話の鳴る音を聞いて僕は顔を引き攣らせ何か呟く隆継に首を傾げつつ、リビングを出た所にある受話器を取る。


「はい、もしもし」


『お、鈴香か?』


「そうですよ三浦先生。わざわざ電話だなんて珍しいですね。それで今日はなんの御用で?」


『あぁ、ちょっと話したい事があってな。今からそっちに行っていいか?これは面と向かって話したい』


 面と向かって?何かあったのかな?


「はい、大丈夫ですが……何かあったんです?」


『まぁ、後で話す事だし要件はここで言ってもいいか』


 なんか言いにくかったやつなのかな?


 少し黙ってから三浦先生がそう言ったのを聞き、僕は尻尾の先をくるくると指で遊びながら、一体どんな話だろうと心構えをする。


『それじゃあ単刀直入に言うぞ』


「は、はい」


『今週の土曜日からあるテレビの番組、30時間テレビの後半に鈴香が特別ゲストとして出る事になった』


「………………はい?」


 テレビに…………出ることに……?……僕が?


『まぁそう固まるよな、とりあえず大丈夫なら今からそっちに行って説明するから』


「ちょっ!ちょっと!てっ!テレビに出ろと?!僕に!?」


『そうなるな。詳しくはそっちに行ってから話すから、それじゃあ』


「み、三浦先生!ちゃんと説明を!ってあっ……切れちゃった……」


 なんとタイムリーな……じゃなくて!えぇ…………一体どうしてそんな事に…………

 まぁとりあえず───────


「話を聞いてみないとなぁ……はぁ…………」


 「…………フラグ回収って、あるんだなぁ……」


 僕は肩だけではなく翼までガクリとさせながらそう言うと、何か呟く隆継を背に、ため息をついて床に引きずる尻尾を蛇行させながらリビングへと戻るのだった。


 ーーーーーーーーーー


「んで、どうして僕の預かり知らぬ所で勝手に僕がテレビに出る事になったんですか」


「え、えーっと…………それはやな……………」


「とっ、とりあえず………鈴香、せめて朱雀峯さんは椅子に………」


「きちんと、僕が納得出来る説明、してくださいね?」


 「「は、はい……」」


 蔑むような目で床に正座させた大の男二人、三浦先生と雅紀さんを僕は見つつ、そう言って威圧感のある笑みを浮かべゆっくりと尻尾を波打たせていた。


「それで、一体全体どうしてそんな事になったんですか」


「んまぁ、全部説明すると長くなるんやけど………一言で言うなら、そうせざるを得なかったんや」


 そうせざるを得なかった?


「どういう事なんです?」


「とりあえずそれは俺から説明させて貰うぞ」


「あ、三浦先生」


 思わず正座させてしまった二人に椅子に座り直して貰った僕は、改めて二人にお茶を出してなぜ僕がテレビに出る事になってしまったのかを聞く。


「まず鈴香への取材とかそんな類のが無くなったのは俺と朱雀峯さんで色々やってるからってのは聞いたんだよな?」


「はい、それは聞きました。確か法的なとか権力を行使して結構無理やりって」


「そうだ、分かってるならこっちは説明しなくていいな。それじゃあ今の鈴香のネットとかの認識というか、話題の具合はどれくらいか知ってるか?」


「いえ、そっちは……」


 スマホも検索出来るらしいけど訳わかんないから連絡用としてしか使ってないし、ネットでどんな感じかとかは全く知らないんだよねぇ。


「じゃあこっちは説明しよう。学会や業界を除いて話を進めるが、まず今の世間話的な方は全くと言ってもいい程鈴香の話題は無い」


 なんだ、話題になってないならそれこそ気にする必要ないじゃん。


 三浦先生から世間一般で僕がどれ程話題になっているか聞いた僕は、そこまで話題になってないならよかったとホッと息を着く。

 しかし三浦先生の表情はあまり優れているとは言えない表情で、僕はそれの何か不味いのだろうかと首を傾げる。


「何が不味いのか分からんって顔をしてるな」


「は、はい。話題になってないのならゴタゴタも減るし、いい事なんじゃないかなーって……」


「まぁ普通ならな。だがお前はそうはいかない。今だからこそ言うが鈴香、お前はいつ命を狙われ始められるか分からないんだ」


 い、命を?あはははは……


「んな馬鹿な」


「それが割と馬鹿な話じゃないんよ天霧ちゃん」


「雅紀さんそれってどういう……」


「まぁ鈴香が業界を大きく乱した事が主な原因だな。お前や俺達日医会の事を快く思わない組織や人が少なからず存在するってことだ」


 つ、つまりは僕の鱗とかのせいで失敗とか大損した人やら組織が、僕を殺しに来るかもって事……?

 それなら逆に常に話題に上がるくらい人目があれば……


 僕はそこまで考えが至ったところで、なぜ三浦先生がそうせざるを得なかったと言ったかを理解し、顔をはっとさせる。


「相変わらず鈴香は理解が早いな。

 鈴香の考えた通り、今はネットの1部がとても盛り上がっているお陰で大丈夫だが、このままネットの盛り上がりも落ち着いてしまえば確実に狙われるだろう」


「だから行動を起こされる前に大体的にテレビ番組に出て一気に僕の話題を盛り返そうと?」


「そういう事だ。

 今までより遥かに大勢の人の前に出る事になるからそっちで生まれるリスクもあるが、このまま誰の目にも止まらなくなる方がリスキーだからな。それと……」


「そろそろ各局を抑えるのにも限界が来かかってたんよね。だからここらでガス抜き代わりも兼ねてという事や」


 だからテレビにか……それなら…………仕方なしか。


「わかりました。出ましょう、30時間テレビ」


 そうして僕はため息を着くようにして、30時間テレビに特別ゲストとして出る事になったのだった。


 ーーーーーーーーーーーー


 そして今に至るという訳だ。


 「んじゃ、鈴ちゃんはこっちだねー」


「お!ありがとうちー姉ちゃん!これで着れるよー!」


 あのままだと翼が通せないでシャツ着ることが出来ないからね〜っと…………ん、ちゃんと着れるね。だいじょーぶ。


 僕は置いてあったシャツではなく、予めちー姉ちゃんが手を加えてくれたシャツを着ると、あの翼カバーで覆われた翼を動かし、先の方にリボンを付けた尻尾を揺らす。


「どうどう?似合ってる?」


「うんうん!似合ってるよ〜!」


 よかったー。折角なら似合ってる方が良いからねー………さて……そろそろかな?


「お待たせしました、それでは天霧さんスタジオの方へご案内しますね。お姉さんも舞台袖までは着いてきて下さっても構いませんので」


 お、やっぱりだった。


 僕がニコニコ笑顔のちー姉ちゃんと盛り上がってお喋りしながらそんな事を考えて居ると、僕の予想通り角水ADが僕を呼びに部屋へと入ってくる。


「はーい」


 さてそれじゃあ────


「いっちょやりますか!」


 僕はやる気充分と言うようにパシンと尻尾で床を叩き、ちー姉ちゃんと一緒に会場へと向かうのだった。

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