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61鱗目:髪型!龍娘!

 ふへへへへ…………しあわせだぁ……


 ある日、自分の部屋で寝っ転がりながら僕はニコニコでとらちゃんからの誕生日プレゼントの、僕の身長より大きい超巨大にゃんこうに尻尾を巻き付け抱きしめていた。


 ふわふわぁ…………もふもふぅ……最っ高だぁ……とらちゃんにかんしゃー……………とはいっても。


「いつまでもこうしてたらダメだよねー」


 とはいえ夏休みの宿題は終わったし、隆継の部屋にでも行こうかなぁ。でもわざわざ隆継の部屋に行ってゲームやりたい気分でもないし。

 うーん……


 ころころと翼を折り曲げないよう器用に転がりながら僕が何をしようかと考えていると、薄灰色の僕の髪の毛が顔にかかり思わず目を顰める。


 やっぱり髪の毛長いと地味に邪魔というかなんというか……切ろうとすると千紗お姉ちゃんに怒られるし、結んだりとかしてみようかな?

 そういや買い物の時にさーちゃんに弄って貰ったっけ?あの時の髪型結構良かったし……よし。


 「ちょっと試してみよう」


 ちょっとウザったい髪を纏めるべく、さーちゃんのやってくれた髪型にしようと僕は思いぴょんと起き上がる。


 「えっと確かサイドテールとか言うやつだったかな?」


 確かこう、髪の毛を上手いこと持ってきて、まとめれば……


 「できたー……けど、なんか違うなぁ」


 もっかいやってみるかぁ?でもさーちゃんがやってくれたみたいに綺麗なやり方わかんないしなぁ……


 「聞きに行こっと」


 そう言うと僕はドレッサーの椅子から立ち上がり、僕の買った一回り小さいにゃんこうのぬいぐるみを抱えて部屋を出た。


 ーーーーーーーーーーー


「さーあーちゃん」


「はーあーい、鈴がアタシの部屋に来るなんて珍しいわね。とりあえず中に入りなさい」


「ん、ありがとー」


 コンコンとさーちゃんの部屋のドアを僕が名前を呼びながらノックすると、さーちゃんはすぐにドアを開けて僕を中へ招き入れてくれた。


 おぉ。これが本物の女の子の部屋か…………心做しかいい匂いがするような気がする。でも内装はさーちゃんらしいや。


 尻尾でドアをパタンと閉めた僕は、改めて荷運びの時以来初めて入ったさーちゃんの部屋を見て、そんな感想を抱く。

 そんなさーちゃんの部屋はテーブルや本棚、ベッド、そしてちょっとした小さいインテリアやぬいぐるみが飾ってある棚に、少し大きめのクッションという。

 シンプルなさーちゃんらしい部屋だった。


「それで、お気に入りのぬいぐるみを抱えてやってきた鈴はアタシになんの用があるのかしら?」


「えっとね、買い物に行った時髪の毛弄って貰ったでしょ?髪の毛邪魔だからあの髪型にしてもらいたいなーって」


 さーちゃんが忙しいなら諦めるけどね。


「なるほどね、ちょうど暇してたしいいわよ、おいで」


「ありがとー」


 僕がさーちゃんに目的を伝えると、さーちゃんは快くそれを受けて前に座るように僕に手招きをする。

 それを見た僕はベッドに腰掛けたさーちゃんの前に座り、邪魔にならないよう翼を横に倒す。


「さて、それじゃあちょっと先に櫛通させてもらうわね」


「ん」


 そういや、さーちゃんに髪の毛梳いて貰うのは初めてだなぁ……千紗お姉ちゃん以外の人にして貰うのもたまにはいいかも…………


「鈴、さっきまでゴロゴロしてたでしょ」


「なぜばれた」


「ふふっ、髪の毛乱れてたから直ぐにわかったわ。それに髪の毛弄るなら、やっぱり1回梳いてからやらないと上手く行かないしね」


 なるほど、それで上手くいかなかったのか。


 そんな話をしながら僕は暫くの間さーちゃんに髪を梳いて貰い、それが気持ちよくて目を細めていた。

 そしてさーちゃんは僕の髪を梳き終えると、ベッドから立ち上がり机の上からゴムを1つ取って再びベッドへと腰掛け、今度は僕の髪を結び始める。


「前から思ってたけど、鈴の髪ってちょっと独特よね」


「そうなの?」


 何か違うのかな?


「うん、手触りがちょっとね。感触は髪の毛そのものなんだけど、触り心地はガラスみたいにツルツルしてると言うか」


 あー確かに。言われてみればそんな気もする。


 少し長めの前髪を親指と人差し指で擦ると、さーちゃんの言った通り、確かに僕の髪は少しツルツルとしたガラスのような質感だった。


「まぁそれよりもこのサラサラツヤツヤの髪の毛は正直とっても羨ましいわね。何か特別な事してるのかしら?」


「ふっつーに洗ってるだけだよー」


 千紗お姉ちゃんに仕込まれた通りにね。もしかしたらそれがいいのかも?


「ほんとー?」


「ほんとー」


「はい、完成よー」


 おぉ〜!これだよー!これこれー!


「さーちゃんありがとう!」


 鏡でさーちゃんにしてもらった髪型を確認した僕は、上を見上げるようにしてさーちゃんの顔を見ながらお礼を言う。


「どういたしまして。それはそうと鈴はこの後暇かしら?」


 別になにか用事がある訳でもないけど……


「暇だよ?」


「それは良かったわ。ねぇ鈴、せっかくだし色んな髪型試してみない?」


 あー、そういうことかぁ……んー。正直別に試してみたいとは思わないけど……


「せっかくだしお願いしようかな?」


 何か気に入る髪型あるかもだし。


「よし、それじゃあ色々な髪型にしてあげるわね。気に入ったのあれば教えてね、やり方教えてあげるから」


「うん!」


 ーーーーーー


 「先ずは王道のポニーテールね。首元が涼しくなるし、夏場は結構快適になるはずよ」


 「おぉ!」


 ほんとだ!結構変わるー!


 「それに、ゴムの所にリボンとかお花を付けたりすれば結構雰囲気も変わるわよ」


 「なるほど」


 ーーーーーーーーーー


 「次はこれ、ハーフアップって言う奴よ」


 「おぉ!なんかちょっとおとなーなかんじ!」


 「そうね。実際大人の女性がやってる事が多いわ。それに簡単な割にアレンジも加えやすいし、アレンジするだけでだいぶ印象変わるのよね」


 「ほへー」


 「千紗さんも結構やってる髪型だし、たまにはお揃いとかしてあげてもいいんじゃない?」


 なるほど!確かに千紗お姉ちゃん喜ぶかも!


 そうして僕はお昼になるまでさーちゃんに髪の毛を弄ってもらったのだった。

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