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37鱗目:入学祝い!龍娘!

「〜〜〜♪今日は楽しかったな〜っと♪」


 上機嫌に鼻歌を歌いながらガラガラと戸を開けた僕は脱衣場へと入ると、ググいと大きく伸びをしてふぅと息をつく。


 本当に今日は楽しかったなぁ。さーちゃんと隆継にも会えていっぱいお話出来て…………それに友達も出来たし!


 僕は朱雀峯さんと武玄くんの二人と友達になった事を思い出し、嬉しさからきゃーと言わんばかりに笑顔で頬に手を当ててふるふると顔を振って悶える。


 でも危うく僕が元男だってバレるとこだった……と言うよりもこれから先変に見られるようになる所だった。


 落ち着いた僕は学校のトイレで の出来事を思い出しながら、するするっと最後に脱いだパンツを尻尾を器用に使って洗濯カゴへと放り込んで風呂場へと入る。


 さてさて、いつも通りお風呂な訳だけど……そうだよなぁ。

 ドラゴンの自分のインパクトが強すぎて僕ですら忘れかけたことが何度もあるけど、今の僕は正真正銘女の子だもんなぁ………


 鏡に映る所々に鱗のある細くて白い華奢な自分の体をマジマジと見ながら、僕はぐっぱぐっぱと手を開いたり閉じたりしていた。


 うーむ。

 今の僕の体は確かに女の子の裸ではあるんだけど、どれだけじっと見てもそこまで恥ずかしいとは思わないんだよなぁ……千紗お姉ちゃんの裸は見る度にドキッとするのに。

 やっぱり自分の体だからかな?

 後考えられるのはまぁ……あそこも無いけど胸もない寸胴だし、お尻も……多分大きくない女の人ーって身体付きじゃなくて幼児体型だからとか?

 …………せめて……せめて千紗お姉ちゃんまでとは言わないけど、あれの3分の……いや4分の1くらい…………


 手を動かしてた際に目に入ったその清々しい程に何も無い場所に、僕は手を当て目を瞑りそんな事を考える。


 改めて手を当てても全く膨らみないもんなぁ……揉んだら大きくなるとかそんな事どっかで聞いたけど、実際どうなんだろう…………

 さて、とりあえずシャンプーでもして髪を洗おっと。


 僕はいつも千紗お姉ちゃんがしてくれる手順で自分の髪を洗ってる途中で、泡だらけの自分の髪を見てピコンと思いつく。


 千紗お姉ちゃんもいないからせっかくだし…………ぐいぐいーっと後ろ髪を上に持ってきて、横髪も前に合わせてー……


「ヘラクレス!」


 べしゃっ。


「ぶべっ!?」


 そんな風に遊んだりもしたが、その後僕はきちんと体を洗ってお風呂から上がり、パジャマに着替える。

 パジャマ用の灰色のショートパンツと薄水色のキャミソールを着た僕は、流石に学校での疲れがあるからか晩御飯は適当に済ませる気でいた。


 もうトーストでいいかなぁ。

 それにしても千紗お姉ちゃん遅いなぁ……三浦さん達と連絡取ってくるって言ってたけど、後どれくらいかかるんだろ。


 そんな事を考えつつ、僕はわしゃわしゃと髪の毛をタオルで乾かしてリビングへと向かう。


 気になるけど今日は疲れたし、これは明日千紗お姉ちゃんに直接───


 そして僕がガラリと戸を開けてリビングに入ると……


 パァンッ!


 「「「「入学おめでとう!」」」」


 突然の大きな音と紙吹雪に僕は襲われ、僕は驚きの余りポカーンとなってしまう。


「きちんとお祝いしてやりたくてな、こうしてやって来たってわけだ。という訳で、改めておめでとう、鈴香」


「鈴香ちゃんおめでとー!そしてお久しぶりー!元気にしてたー?私は鈴香ちゃんが居なくなって寂しかったよー!」


「えっえっ?なっ、なんで三浦先生と叶田さんが?!それに陣内さんまで!ていうかなんかすっごい飾り付けされてるし!」


「はーい鈴ちゃん落ち着いてー。深呼吸ー、深呼吸ー」


「ひゃい……すー……はー……ふぅ」


 再起動して危うくプチパニックを起こしかけた僕は、千紗お姉ちゃんに後ろから抱きしめられた事で少し顔を赤くしながらもなんとか落ち着く。


 ーーーーーーーーーーー


「鈴香ちゃん大満足したみたいだねー」


「うん〜大満足〜♪」


 お肉と甘いの沢山で幸せ〜♪皆も一緒だから二倍幸せ〜♪


「おーい鈴香ー」


 幸せいっぱいといった笑顔でご馳走を食べ終えた僕が叶田さんに頭を撫でられてると、三浦先生に名前を呼ばれ、僕は声が聞こえた廊下へ顔を出す。


「はーい。三浦先生なんでございましょうかーっておぉ……なんですかそのダンボールは三浦先生」


「あー重かった………遅くなったが入学祝いだ。ふぅ…………リビングに運んで開けてみてくれ」


「りょ、了解であります」


 入学祝い?大きいダンボールだなぁ……中身なんだろう。

 えーっとカッターカッター……そもそも無かった気がするな………………よし、作るか。


 僕は薄い刃渡り2センチ程の持ち手のあるナイフをイメージし、掌辺りに意識を集中してイメージ通りのナイフを作り出すとそれを使ってダンボールのガムテープを切る。


「水晶を自由にとは聞いてたが……使用用途がちょっと日常生活を便利にっていう程度か…………」


「まぁ、それが鈴香ちゃんっぽいと言いますか」


「だな」


「三浦先生も叶田さんも結構失礼ですね?」


 ザクザクとあまり厚くないが横に長いダンボール箱に水晶のナイフを突き立てながら、僕は後ろでそんな会話をしている2人にジトーっとした目を向ける。


 さて、切れた切れた。気になる中身はなーんじゃっらほいっと!


 ノリノリで開けたダンボール箱には沢山の発泡スチロールで覆われた大きなテレビが1台入っており、それを見た僕は…………


「てれびだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」


 そう言ってテレビを軽く持ち上げ、飛び跳ねて喜んだ。

 なぜテレビひとつでここまで喜んでいるのかというと、実は僕にとって自分のテレビを持つというのは長年の小さい夢だったのだ。

 ちなみに、日医会のあちこちにもテレビはあったが、情報漏洩防止目的で外部と通信出来ないようにされてる為、リアルタイムの番組は見れなかった。


「テレビテレビテレビ!テレビが僕の家に来たよー!!!!お姉ちゃん凄いね!テレビっ!テレビだよ!ほら!テレッ……テレビ!大きいね!」


 途中噛んだりしながらも僕は目をキラッキラさせながら尻尾をブンブンと降り、翼をパタパタと動かしていた。


「鈴香落ち着け、ステイ、おすわり、まて、テレビ見れるようにしてやるからもう1つの話を聞け」


 三浦先生にそう言われ、僕はテレビを抱きかかえながらビシッと真っ直ぐになって止まる。


「それでもう1つの話だが、これをやる」


 三浦先生はそう言うと僕へ青色のカードとそれより一回り大きい物を差し出してくる。

 そしてその一回り大きいものには…………


「銀行通帳?」


 そう書いてあった。


「そうだ。今まで研究に協力してくれてた分の正式な礼金と、今回の儲けの約3分の1が入金されている。確認してみてくれ」


 ふむふむなるほど、一体どれくらい入ってるのかな?


 僕は興味本位で自分の銀行通帳を開き、1番下にある残高の桁を数える。


 えーっと、いちにいさんしーごーろくしちはち……くう…………じゅう………………じゅういち……………………じゅうに………………………………


「鈴香?」


「鈴ちゃん?」


 僕が急に黙ったのを不審に思ったのか、三浦先生と千紗お姉ちゃんに声をかけられた僕はぷるぷると小刻みに震え────


「きゅう…………」


「鈴香ー?!」「鈴ちゃん!?」


 ぱたんと気を失って倒れてしまったのだった。


読者の皆様、今回も「ドラゴンガール」を読んで頂き誠にありがとうございます!

なんと先日「ドラゴンガール」のPVが15万を突破しました!これも皆様のおかげです!

もっと面白く、皆様が楽しめるような作品を書いて行けるよう1層努力していきます!

そしてこれからも「ドラゴンガール」を末永くよろしくお願いします。

面白ければ是非感想、評価をお願いします!


 以下キャラ紹介


 ・天霧鈴香その3


 翼や尻尾の構造など


 翼はちょうど背中の真ん中辺りから生えており、背中から1度少し下に下がって上へと行き、翼爪を頂点としてまた下がるという関節が2つある形になっている(詳しい長さは16鱗目にて記載)

 この構造のおかげで翼を体の横から前へ持ってきたり、地面と水平にしたりと可動域が広くなっている。

 動かしてる感覚はもう1組の腕を動かしてる感覚らしい。時々腕と翼が一緒に動く。

 尻尾は尾てい骨がある所から生えているが、骨は尻尾の真ん中ではなく少し下あたりを通っている。

 尻尾がある為パンツは全てローライズだったりするが本人はこれが普通と思っている。

 尻尾の背にある甲殻は少し弾力性はあるが充分硬く、先に行くほど小さくなる。対して腹側は皮になっており、すべすべつるつるのぷにぷにである。

 動かしてる感覚は人の体では例えられないような感じらしい。

 寝る時や不安になった時、何か抱いておきたい時等しょっちゅう抱きしめている。

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