30鱗目:防衛本能
注意
今回は鈴香自身は意識を失って暴走している状況です
その点に注意した上でお読みください
「シュルルルル……」
「ひっ!ひぃぃい!」
「田上様ご無事ですか?!」
コエ、キコエタ。テキ──コッチ
殴り損ねた拳が壁を壊して起こった土煙の中、唸り声を上げながら激痛を与えた男の声を聞き取り、そちらの方へ地面を蹴る。
しかし土煙を抜けたそこにはその男だけでなく、武装した人々が居た。
「お、お前ら!報酬は弾むぞ!ワシを守れ!そいつを殺せぇ!!」
「はぁ?うちの客人に何を言ってるのかしら?三浦」
『この状況だ、殺さないなら好きにして貰って構わない』
「分かったわ。二時間ほど寝てて貰いなさい」
「はっ!」
「へ?」「ほ?」
保護されたと安堵していた田上とその秘書が軽い口調の女性の指示により、二人の後ろに控えていた隊員が後頭部を強打し昏倒させる。
「さて、ご丁寧に待っててくれたのかしらお姫様?」
「グルルルル……」
テキ……?
「お前達は二人を保護!残りはここで対象を食い止めるよ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
テキダ!
「シャアッ!」
金城の掛け声に隊員が答え、銃火器を構えられた事でそいつらを敵だと認識し、声を出すが早いか襲いかかる。
「撃てっ!」
「ガッ!?」
ウロコ、ボウギョ、シキレナイ。ソウビ、ツクル。
「へぇ……流石竜って事ね。ゴム弾とはいえ大型動物ですらどこに当たっても怯ませる威力なのに、頭以外に当たっても1歩も引かないか」
「どうします?」
「虎視眈々で行くわ。何かして来そうだけど……谷口、指揮は貴方に任せるわよ」
「了解」
弾幕の最中、リーダーらしき女性が伝えた作戦に隊員の一人が返事をしたタイミングで水晶を纏い、翼を廊下いっぱいに広げ勢い良く突っ込む。
「しゃがめ!」
「?!」
しかしやはり指揮を任せられるだけの事はあり、突っ込む予備動作を見切っていたのか、男の指示で全員に攻撃を避けられる。
そして隊員達の頭上を通り越し、勢いを殺すために一回転し、両翼の翼爪を地面に突き刺し勢いを殺して顔を上げた瞬間────
「ってぇ!」
男の指示により一斉掃射が行われる。
しかしウロコで守りきれなかった場所が水晶により守られ、ダメージを与える事は出来ずカランと空薬莢が地面に落ちる音だけが廊下に響く。
「ははっ。なんでもありかよ……自信無くすぜ」
「グルルァァァァア!」
「お前ら!何としても食い止めるぞ!」
「「「「「了解!」」」」」
咆哮に対する様に男の激励に隊員が声を張り上げた瞬間、廊下の床や天井、壁一面が水晶に覆われる。
そして男の激励も虚しく、数十秒間銃声や何かが壊される轟音が響いた後、その廊下は静寂に包まれたのだった。
ーーーーーーーー
「鈴ちゃーん。鈴ちゃんどこー?」
鈴香と別れた廊下に続く廊下の中、千紗は連絡手段を持た無いため一体何が起こっているのか分からず、とりあえず鈴香と合流しようとしていた。
んもう。端末取りに行ったのになんか封鎖されてるし、戻ろうにも近道は封鎖されてるし、一体なにが────
バツン!
「きゃっ?!うそっ、停電?」
直ぐに副電源が動いて停電が戻ると思うけど……ってあら?
「誰かこっちに……って貴方達は確か警備隊の、それにそっちのは……!」
「研究員殿何故ここに?!いや、今はそれ所じゃありません!確執はあるでしょうがここは飲み込んで下さい!」
「だからって────」
ズガァァァァン!
「きゃっ?!なっ、なにっ!?」
壁がっ!?ってなにあの金色の光は……それにこの水晶って────
壊れた壁からゆっくりと侵食してくる歩く足場もなくす薄暗いが薄く水晶が光る幻想的な廊下の奥に、金色の光が二つ揺らめいていた。
そして千紗はこの2つを見て、あの光が誰なのか、それを理解する。
「もしかして……鈴、ちゃん?」
「グルルルルルル……」
アノオトコ……ミツケタ!
「グルァァア!」
「ひっ!?くっ、来るなぁ!」
「ちょっ、貴方!」
暗闇から突如現れた鈴香に驚いたのか、千紗の制止も虚しく田上を背負っていた警備隊の隊員は手に持っていた実弾の銃を撃ってしまう。
それは鈴香の髪留めを砕いた後髪に弾かれ、天井の蛍光灯を割る。
「ガルルァァア!……ア?」
それが引き金となり、いざ飛びかかった鈴香の視界の端に、砕けて落ちていく若葉色のヘアピンが映る。
そしてそれに一瞬だが目を取られた鈴香の首筋にどこからともなく針が打ち込まれる。
「ッ!」
ゲドク……シッパイ。コウ、ドウ……フ…………ノウ……
鈴香はすぐさまその針を引き抜き、針の飛んできた方へと目をやるが、既にそこには誰も居らず、そのままその場に膝をついてしまう。
そしてそれを見た千紗は鈴香へ駆け寄り、倒れる直前で抱き起こす。
「あ……れ……?ちー……姉…………?」
「鈴ちゃん!鈴ちゃんだよね?!鈴ちゃんなんだね!?…………よかった……鈴ちゃんが元に戻って………………よかったよぉ……!」
ぽたぽたと暖かい雫が顔に当たるのを感じ、意識を取り戻した僕は、そのまま眠りに落ちたのだった。
読者の皆様、今回も「ドラゴンガール」を読んで頂き誠にありがとうございます!
戦闘シーンいかがでしたでしょうか?
自分自身初めて書いた戦闘シーンだった上、更に主人公の龍娘は意識無し、暴走という状況だった為分かりにくくなってしまったかもしれません。
そして皆様のお陰で9万PVを突破しました!
3話以上投稿は明日までとなっていますが、これから先もほぼ毎日投稿していきますので応援の程どうかよろしくお願いします!




