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137鱗目:後日談、竜娘

お久しぶりです!ちょっといつもの時間より遅れましたが投稿しましたっ!

「こなみちゃーん、お昼ご飯食べよー」


「いいよー!それじゃあ鈴香ちゃん、ちょっと行ってくるね」


「ん、行ってらっしゃーい」


 体育祭に続いて京也君の女性化、時期も梅雨に入り最近何かと忙しかった僕の周りも漸く落ち着いてきたのか、久しぶりに僕は心穏やかな平穏という言葉の似合う日々を過ごしていた。


「いやはや。前例もあるし最初は大丈夫か心配だったけど、上手いこと溶け込めてて俺は安心だよ」


「アタシもまた面倒見なきゃって思ってたけど、手が掛からなくて助かるわぁ。それなりに覚悟してたんだけどね、前例があったし」


「うっ……その節は、はい。お世話になりました」


「「よろしい」」


 二人には逆らえないなぁ……でも実際、京也君も女の子の南崎こなみちゃんとして僕が女の子になった頃よりも上手く生活出来てるし、そこまで心配しないで良さそうなのが良かったよ。


「ま、鈴香と違ってそもそも本人が女の人になりたかったって言ってたし、本人が楽しんでるなら俺らから言う事はねぇよ」


「そうね。どこぞの誰かさんももう一年になるんだし、そろそろ大人しく受け入れて楽しめばいいと思うんだけれども?ねぇ鈴?」


「僕はロボットとかかっこいいのが好きなんですーっ。これから先もそれは変わらないよーだっ」


 僕は体こそ女でも心は男だもん。


 ぷくっと無意識に頬を膨らませ、尻尾で床をぺちぺちとしてしまいつつ、ニッコリとした顔でそう行ってくる二人から顔を逸らす。


「所で鈴香、今日なんだが……」


「はいはい?」


「今日も迎えは無理だそうだ」


「んにゃぁぁぁぁ……」


「あ、翼がへにゃった。そんなにお迎え来て欲しかったの?」


「だって濡れたくないんだもんー」


 僕用のカッパもあるにはあるんだけど、翼とか尻尾が大きいからそれに合わせて大きくなってて、本気で邪魔なんだよねぇ……それに着ても結局濡れるっていう。


「というか尻尾はいつも以上に高く上げとかないと濡れて汚れるし、少しでも翼とか濡れるとすっごい寒いし」


「鈴にしか分からない悩みね……でも濡れるのが嫌ってだけで雨が嫌いな訳じゃあないのね」


「雰囲気は好きだよー」


「鈴香は割と合理主義というか、効率主義な所があるよな。ファンタジーの塊みたいな存在なのに」


「そりゃあそれが僕ですから」


 そうじゃなきゃその日も食べていけるか怪しかったし……なんて事はわざわざ言わなくていいよね。


 そんな話をしている間もしとしとと雨は降り続け、それを見ながら僕は「せめて雨が弱まってますように」と願うのだった。


「ま、雰囲気は好きだけどね!本でも読みたくなっちゃうよ」


 しかしながら、何故かこういう時に限って願いとは真逆に事が運ぶ事が多いのはお決まりの様なもので、案の定授業が終わり帰る頃には───────


 ドーーーーーーー……


「今年一降ってるんじゃないかしら」


「バケツをひっくり返すどころか、滝の中に居るみたいだなこりゃ」


 一寸先は闇ならぬ、一寸先は水と言うべき光景が窓の外には広がっていた。


「あうぅぅぅ……」


「さっ、観念してカッパを着なさい鈴」


「はぁーい。三人ともいつもありがとね」


 ここ最近ではもはや恒例となり、騒がれること無く今日もやってるなぁという視線を浴びながら特大カッパを3人に着せてもらいながら、僕は三人へとお礼を言う。


「ん……?ねぇ鈴、ちょっと翼小さくなった?」


「え?そんなこと無いと思うけど……」


「でもなんだか前よりもカッパに余裕が出来てるような気がするのよね。んー……」


「気の所為なんじゃねーの?」


「もしくは天霧さんが着てるうちにカッパが伸びちゃったか」


 それは確かにありそう。


「にしても今更だけど、南……崎さんとこんなに関わってて大丈夫なのか?そろそろ気付くやつはイコールで結び付けて来そうじゃないか?」


 隆継にそう言われ、僕は南崎さんこと元南くんが転校してきた時の事を思い出す。


 あれは1週間前、女の子になった南くんは引越してきたという体を取るためにあれから暫く僕の家で過ごした後、元の家へと帰りその翌日に転校生として学校へと戻ってきたのだ。


 確かに、学校案内とかは僕に任せられたし暫く面倒を見てくれって頼まれたけど、仲良くし過ぎたかなぁ……

 流石に南くんが引越したっていうタイミングで南崎さんが来たって言うだけで怪しいのに、僕と仲良くして「南崎さんは南くんでは?」って気が付かれたら不味いしなぁ……


「不安そうにしてるけど、それなら大丈夫だと思うわよ」


「さなちゃんどうして?」


「まぁ、言ってしまうなら鈴も転校生だって事ね」


「僕も転校生?」


「なるほどな。つまるところ転校生同士仲良しだって思われてるんだろうよ」


 そういう事か!


「それなら今まで通りでもよさそう?」


「アタシは特に問題ないと思うわよ」


「俺も言っといてあれだけどいいと思うぞ」


「私もこれからも仲良くしてくれたら嬉しいな」


 そんな話をしながら、僕達は少し弱まった雨の中歩いて帰るのであった。




お久しぶりですこたつですっ!

最近新作にお熱になっててこちらが疎かになってて本当に申し訳ないと思っております……

(昭和TSも書かないと……)


来月からリアル多忙になりますが、月一投稿は最低でもやって行くつもりなので安心?してくださいっ


また次回もよろしくお願いします!

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