115鱗目:ばれんたいん?龍娘!
「ばれんたいん?」
「そ、バレンタイン。すずやんは誰かチョコ渡したい人とかおらんの?」
「チョコ?渡す?」
なんだそれ、ばれんたいんって言うのは聞いた事あるけど……そのばれんたいんとかいうチョコを人に渡すの?
冬休みも明け二月になりようやくお正月の雰囲気から皆が脱し始めた頃、寒さ対策のもこもこ尻尾カバーを付けた尻尾を膝に乗せ皆とお昼を食べていた僕は首を傾げる。
「……もしかしてすずやんバレンタインを知らない?」
「聞いた事くらいはあるよー。それで?そのばれんたいんってチョコはどういうのなの?作れる?」
「「「「えっ」」」」
「ん?」
「ちょっ、ちょっと待ってすずやん……」
「まさかそんな……いやまさか……」
「えっ、えっ」
ど、どうして皆そう頭を抱えるのっ!?
「そ、そのぉ……僕、何か間違った事言っちゃった?」
「えっとね鈴、バレンタインっていうのはチョコの名前じゃないの」
「えっ!?そうなの?!と、という事はもしかして……ばれんたいんはクリスマスみたいなイベントって事?」
「あぁ。ちなみにバレンタインは親しい人にチョコをプレゼントするってイベントであって、バレンタインっていうチョコを人にプレゼントする日ではないぞ」
「はぁあうぅ!」
素で!素で何も考えず間違った事言っちゃってたぁー!
ピーッという音が聞こえそうな程一瞬でヤカンのように耳まで真っ赤にし、礼二達にそう言われた僕は机に突っ伏して顔を隠す。
「すずやんってほんまイベントの類知らない事多いもんなぁ。まぁそれもすずやんの可愛い所なんやけど」
「うぅぅ……可愛い言うなぁー」
「ははははは……っと、もうお昼休み終わりみたいやね。それじゃあすずやん達、また放課後ー」
「はーい」
「またなー」
「ばいばーい」
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「ふぅむ……」
ケーキにするか……だけどクッキーも、いやここはそのままもありか……
「すーずちゃん!」
「うひゃあ?!びっくりしたぁ……もー、やめてよねちー姉ちゃん」
あれから数日後、エプロンを装備してキッチンに立っていた僕はそう言って頬を膨らましながら、後ろから抱きついてきたちー姉ちゃんの腰に尻尾を巻き付け引き剥がす。
「ごめんごめん。それで、今日は何作ってるの?お姉ちゃんはムースがいいなー」
「ちー姉ちゃんはムース好きだねぇ。今日はチョコ作ってるんだー」
「チョコ?」
「うん、チョコ」
「鈴ちゃんもしかして好きな男の子が……」
「居るわけないでしょー。バレンタインだからいつもお世話になってる人達にチョコ渡そうと思って」
というかそもそも僕は男だ、好きになるなら女の子だ。ん?でも今は女の子なんだから好きになるのは男の子で……ん?ん?
……よし、深く考えないことにしよう。
「あぁそうだったの……ちょっと残念」
「ちー姉ちゃん何か言った?」
「ううん何も!それよりも、お世話になってる人って事は私にも!?」
「うん、もちろんだよー。明日を楽しみにしててねー」
「はーい!鈴ちゃんからのチョコレート、楽しみだなぁ!」
ちー姉ちゃんウキウキだなぁ。それじゃあ僕も期待に応えれるよう、一つ頑張るとしますか!
そう言ってスキップしながらリビングを出ていくちー姉ちゃんの姿を見送った僕は、そう改めて気持ちを引き締めるとチョコ菓子作りに精を出したのであった。
一応、僕の配ったチョコはとても好評だったという事だけは報告しておこう。
読者の皆様お久しぶりです!
今回のドラゴンガール楽しんでいただけたでしょうか?
最近ようやくリアルも落ち着いてきて、現在投稿中の新作だけでなく、こちらにも手を回せるようになって参りました。
まだ以前のような投稿頻度に戻るには時間が要りますが、少しずつ戻していこうと思います。
ちなみに今回鈴香の作ったチョコレートはいつもの仲良しメンバーと日医会の面々、そしてご近所さんに配っていました。
また次回も読んでくだされば幸いです!
それでは!




