111鱗目:幼女とドラゴン!龍娘!
「えーっと……これはどういうことなん?たかくん」
「んー……そうだなぁ……」
「わぁー!尻尾ながーい!お羽おおきいー!お姉ちゃんもう1回あれ!あれやって!」
「いいよ~♪」
あー可愛い、梨奈ちゃん可愛いなぁ~♪すっごく可愛い。
「わー!あははははははっ!」
「ほれほれー!」
「生贄ロリを弄ぶドラゴン……かなぁ」
「あー……まさにそれやな」
「ちょっ?!その言い方は異議ありだし、とらちゃんも納得しないで!?というか聞こえてるからねっ!?」
「鈴香おねーちゃんもっともっとー!」
「は~い♪」
僕が二人に気を取られていたからか、それを敏感に感じ取った梨奈ちゃんに急かされ、僕はにへらと顔を綻ばせながら翼や尻尾で器用にお手玉してあげる。
「ダメだこりゃ」
「すずやんとろっとろやなぁ」
「もう1時間はアレやってるわね」
「うへぇ……ウチあんなんされたら確実に酔う自信あるわ」
「ははははは。俺もだ」
「奇遇ね、アタシもよ」
この梨奈ちゃんを預かると決めた後、まだ仕事があるからと三浦先生と会長がちー姉ちゃんを連れて行ってから約一時間、僕は調子に乗り全力でこの子と戯れていた。
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「にゃーにゃ?」
「みゃう」
「にゃにゃにゃー?」
「みゃー」
「にゃうにゃう!」
かわいい。
「かわいい」
「おう鈴香、心の声が出てるぞ」
「おっといけない」
気をつけないと。
そう言うと僕はふるふると顔を振り気を引き締め治すものの、猫と戯れている梨奈ちゃんの姿にふにゃあっと頬を緩ませてしまう。
あの後もう暫く尻尾や翼で遊んであげた僕は、いい加減にしとけと隆継に言われ、今は大人しく梨奈ちゃんを見守っていた。
「にしても鈴香、そんなに「お姉ちゃん」って言われるのが好きなん?」
「そ、そんな事ないよぉ?」
べ、別にお姉ちゃんって言われたからって、ちょっと、ちょこーっとだけきゅーんってしただけだもんねー。
「でも実際すずやんって人に頼られると嬉しそうにするやん?やっぱり頼られるの好きなんやねー」
「ま、まぁねー」
実際頼られるのは前々から好きだしー?
「それでも鈴、やっぱりお姉ちゃんって言われた時の貴女は相当よ?何かあるの?」
うぐっ。だって……だってぇ……
「昔っから坊主とかそんな風にしか呼ばれた事なくて、お兄ちゃんとか呼ばれて見たかったんだもん!後梨奈ちゃん可愛い!」
「わきゃっ!鈴香おねーちゃんびっくりさせないでー」
「みゃうぅ」
「えへへー、ごめんねー。大丈夫だよこまー、この子怖くないからねー」
そう言うと僕は勢いよく抱きついた1人と1匹に頬ずりしながら、きゃっきゃと楽しそうに笑い合ったのだった。
「まぁすずやんらしいっちゃらしいけど……坊主?お兄ちゃん?お嬢ちゃんとかお姉ちゃんやなくて?」
「そ、それはあれだよ、あれ……な!サナ!」
「……はぁ…………えーっと、昔は男の子みたいで男の子扱いされてたからとか、その名残りなんじゃない?」
「だいぶ投げやりな気もするけど……まぁええわ!すずやんが可愛ええ事に変わりはないんやし!」
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「おいしかった〜♪鈴香おねーちゃん、お料理上手なんだね!」
「えへへ〜、それじゃあ明日の晩御飯はハンバーグ作っちゃおうかなー?」
「はんばーぐー!?鈴香おねーちゃんいいの?!はんばーぐ作ってくれるの!?」
「うんうん!作っちゃう作っちゃうー!」
この子の為ならー!
「結局、今日一日中鈴香と梨奈はべったりだったな」
「だったわねー」
とらちゃん達が帰った後、夕飯をとることになった僕達は皆で夕食を取り、お風呂が沸くまでの間のんびりとリビングで団欒を取っていた。
「そういや、なんで梨奈はそんなに鈴香に懐いてるんだ?」
「む、隆継おにーちゃん。いきなり呼び捨てはれでぃーに失礼だよ」
「お、おう……」
「ふふふっ、ちょっと迂闊だったわね隆継」
「ちゃんと「ちゃん」って付けてあげないと」
「うるせー。それで梨奈……ちゃんは、なんで鈴香にそこまで懐いてるんだ?日医会の会長の孫ってこと以外鈴香と関係ないし、鈴香と会長も殆ど関係ないだろう?」
言われてみれば確かに、僕は結構日医会にお世話になったけど会長さんとは全然関わらない所か会ったことすら無かったもん。そこは一度聞いておくべきかも。
「梨奈ちゃん、教えてくれない?」
「……うん。鈴香おねーちゃんが聞きたいなら」
隆継に聞かれ答えづらそうにしていた梨奈ちゃんに、確かに気になっていた僕が優しくそう聞くと、梨奈ちゃんはぽつぽつと話し始めてくれた。
「実はね……梨奈、病気だったの」
「病気?」
「うん……それでね、ちっちゃい時からお外に出ちゃだめって言われてね、ずっとお部屋だったの」
「それは……辛かったな」
「ううん!じいじがいろーんなお話聞かせてくれてたから全然そんな事なかったよ!お外の話とかお仕事の話とか、それに鈴香おねーちゃんの話も!」
「僕の話?」
「うん。じいじが色々聞かせてくれたよ、おっきな翼があって、自由に動く尻尾があって、それに馬鹿力だって!」
ば、馬鹿力……いや確かにそうだけどおじいさんもうちょっといい言い方を……
「それでね。最初は嘘だって思ってたけど、聞いてる内にほんとかもしれないって思い始めて……その時にじいじがこれ持ってきてくれたの!」
そう言うと梨奈ちゃんはゴソゴソと胸元に手を入れ、ネックレスの先についているものを引っ張りあげる。
その先についていたものは小さな小瓶で、特に飾り気もない水を数滴入れれば中は満たされてしまうような、そんな小さな小瓶だった。
しかし僕はその小瓶に少し見覚えがあった。
「小瓶?……もしかして」
「そう!それが鈴香おねーちゃんのお薬だったの!このお薬のおかげで梨奈はまたお外に出れるようになったのー!」
「そうか、それで」
「うん!それから梨奈ね、ほんとにいたんだ、どんな人なんだろうってずーっと考えてたんだ!だからね、今日鈴香おねーちゃんと会えて梨奈とってもうれしいの!」
「梨奈ちゃん……」
僕の脱皮の皮が病気を治せるのは知ってた、でも本当に人を助ける事が出来てたのなら……
「僕、もっと頑張れる気がする」
「鈴香おねーちゃん?」
「梨奈ちゃん、僕、もっと頑張っていっぱい人助けるからね」
「鈴香おねーちゃん……!うん!梨奈、鈴香おねーちゃん大好き!」
「うわわっ!」
「えへへっ!ぎゅーっ!」
梨奈ちゃんに抱きつかれながら、僕は心の内になんだか温かいものが広がっていくのを感じていたのだった。




