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何で異世界チート小説にハーレム・逆ハーを? という話

作者: 猫の人

 なぜ異世界チート主人公にはハーレムと逆ハーものが多いのか。


 私が考えるに、それが「成功者の姿」だからです。

 つまり異世界チート主人公の勝ち組イメージを作る装置が、ハーレムムーブなのですね。

 ほら、ハーレムキャラってほとんどの場合「主人公様、さすが!」って褒めるだけの装置でしょう?



 これはとある漫画でヤクザな親父が主人公である息子に言い聞かせた言葉です。


「いいか、ちっと我慢を覚えればだいたいの事が上手くいくんだ。

 チカラ(権力)

 ゼニ(財力)

 オンナ(異性)

 全部手に入る」


 俗物キャラの発言ですが、これが分かりやすい成功者のイメージである事は否定しきれません。


 ただ、権力財力はあまり大きな魅力になりません。


 財力は異世界で欲しいものが有るか無いかという話であり、ぶっちゃけ買いたいものなんてそんなに無いのが異世界です。財産が多すぎて使い道が思い付かない主人公がとても多いのがその証拠です。そしてなぜか始まる孤児院経営までがワンセットという。

 金持ちになったら襲われるっていう事件もあったなー。宝くじ当てて寄付したら集られるわ襲われるわ、って人が実在するし。


 権力は利用するものであり、自身が握る事に忌避感を持つキャラの方が多いのは言うまでも無し。

 権力に伴う責任が面倒なので、成功者っていうより厄介事を押しつけられただけの奴って見るのがなんとも言いがたいですね。いい為政者は相応の苦労をするものですから、主人公を嫌な奴にしたくなければ頑張らせるしか無いという。


 つまりハーレムぐらいしか手に入れて嬉しいものが無いわけですよ。

 チヤホヤされて嬉しい、そういう事じゃないかな。



 青春スポーツものであれば、「愛する恋人」「ライバルへの勝利」「競技の新記録(名誉)」が成功者のイメージでしょう。

 「小さな幸せ」いいですよね。


 普通の主人公であればこれでも問題ないと思いますが、そこに「なろう異世界小説の主人公」、つまり「チート主人公」という図式を持ち込むと話が変わってきます。

 ライバルへの勝利? 新記録?

 チートで得て嬉しいのか、それ。ああいったものは苦労の先にもらえるから嬉しいのであり、そこに感動や共感がある。

 チートで楽をして得た場合は、ただのギャグ、コメディの類いになるでしょうね。


 恋人に関しては、可も無く不可も無く。

 別に1人にしても問題ありませんからね。元日本人の常識があるなら、異世界の常識を無視してハーレムを否定してもいいと思いますよ。

 ただ、恋人とはイチャイチャして仲睦まじければ「なろう読者はハーレムで無くとも気にしない」と思います。「純愛」「ダダ甘」「イチャラブ」にも大きな需要がありますよー。



 あとはただ単に、見栄えとかそういった書籍化後の(・・・・・)イラスト映えを気にした場合かな。


 これは多くの書籍化作品を読んできた経験からですが、編集者というのはとにかくヒロインを増やしたがります。

 シナリオの展開への影響とか、キャラの背景とか考えず、女性キャラを一人でも多く増やそうとする傾向があります。――――男キャラは増やさないのに。

 そういった事への対抗手段として、先にハーレムメンバーを増やしておき、影を薄くして、書籍化後にそのキャラにスポットライトを当てて悪影響を減らそうとする、作者の知恵的な方法論がハーレムを作るのかな、と。


 そもそも、なろうに注目する編集者ってハーレム作品を好む傾向にありますからね。

 書籍化を目指すなら編集者好みの作品を書くのは作家のスキルであり、ただ自分が書きたいだけの作品を書くよりもプロ向けだという考え方もあります。


 わりとどうでもいい話。

 編集者が書籍版オリジナルヒロインを出すように指示し、そのキャラを出した場合。

 自分の考えたキャラへの思い入れから「主人公とくっつけろ」「絶対に幸せにしろ」的な要望が出るんじゃないかな。

 そうなった時に元が純愛だとそれが出来ないので、ハーレムものにしておくのは保険としてはアリだと思う。


 偏見?

 ヒロイン加増の書籍化作品の多さを見るとそうも言えないと思いますよ。





 ハーレムものが書かれる理由をぐだぐだと考えてみたけど、作者が好きなだけというのと、ハーレムの方が読者が読みたがるだろう(人気が出るだろう)、と言うのを言い忘れていました。

 それについては処置なし、と言う事で。

 これが一番多い気もするけど、気にしない。


 理由が1つとも限りませんしね。





 最後に。

 ハーレムに否定的な意見を。


 ハーレムに拘る理由は無いと思う。

 主人公をチヤホヤする、凄い奴だと褒め称える役は男キャラでもいい。「凄い人に認められる」というのも、成功者演出なんだから。

 ――そうしてモテない(女っ気の無い)キャラを演出するコメディは、それはそれでアリなんだ。モテないというのが主人公主観限定だとしても。


 ただ主人公が成功者として認められ、その状態が読者の考える成功者であれば特に問題ないはず。

 おっさん実力者からチヤホヤされるより美女美少女からチヤホヤされた方が嬉しいのは分かるけど、ヒロインになり得ない美幼女(ちっちゃい子供)からチヤホヤさせるとか、他にも手はあるし。

 ハーレムに固執する理由、それ次第ではハーレムを捨てても悪い影響は出ないんじゃないかな。

 と言うか、モテてもいいけど、周囲から誘惑されつつも純愛を貫く主人公っていいと思うんですがねぇ。


 それに、ハーレムは難しい。

 ハーレムを作ると、ヒロインの肩書きが「主人公の恋人」って共通項で認識があやふやになるのだけは覚悟しておいた方が良いと思いますが。

 主人公を褒める、主人公といちゃつくといった「同じ行動」を取る以上はキャラ性を他で出した分が相殺されて、個性を殺してしまうので。

 せめていちゃつき方を区別した方が良いと思う。そして奴隷ヒロインは「さすがご主人様」を卒業してくれ、マジで。



 これ以上は恨み言になりかねないので、今回はここまで。

 読んでいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 概ね頷ける話と無理のない考察で読みやすく分かりやすい。 [気になる点] 誤字報告 >編集者が書籍鞄オリジナルヒロインを出すように指示し、そのキャラを出した場合。 書籍化版 [一言] 現実で…
[気になる点] 編集者がハーレム脳で、編集者のゴリ押しで作品が歪められたという『具体的な証拠』があるなら、説得力があるんですが、全体を見ての傾向とかでソレを語られても、「ちょっと思い込みじゃね?」と…
[良い点] ハーレム脳って、なろう読書だけでなく編集者でも少なくないのか、、、 なろうファンタジーのハーレムは、ニコポナデポレベルで惚れて、一度惚れたらあしらわれても放置されても他に女作っても愛は覚…
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