治癒の虎砲
結局相撲大会は、めちゃくちゃなまま取集がつかなくなって終わった。
あれ?足を引きずってる人がいるぞ。捻挫しちゃったんだ。腫れてるよ。
「こんなの相撲じゃ日常茶飯事。気にするな!」
「あのぉ。試したい事あるんですけど良いですか?もしかしたら、治せるかも」
「まさか?じゃあ、やってみろ!」
僕は、土佐の人の優しさや楽しさ、感謝の気持ちを持って気を集めた。
『虎砲!』
姫が声を殺して青い顔をして見てる。
腫れが引いていく。
「随分、楽になったよ。よく効くおまじないらしいな」
どうやら直ぐに全快するわけじゃないみたいだな。快復を助けるくらいな感じかな?
「おい!コタロー!驚いたじゃないか?足を破裂させるつもりだったのか?」
「違いますよ。感謝の気持ちを込めて撃ったら傷が治るかもと思ったんです」
「失敗だったのか?」
「多分、成功です。明日には治っているでしょう」
「コタローってわけわからん奴だのぉ」
(姫には言われたくないんだけどね)
後日、僕達は土佐領主に呼ばれた。
「敵が攻め込んで来た。合戦だ。貴様らはどうする?一緒に来るか?」
「妾も合戦に参加するのだ。皆の者にお世話になっているから当然なのだ」
「姫の言う通りにございます。我々家臣は姫に従うのみ。是非もなし」
「そうであったな。よし、共に戦おう。貴様らの規格外の強さに期待しておる」
「はっ!」
「それと、コタロー。貴殿はワシの家臣の怪我を治してくれたそうだな。礼を言うぞ」
「あの虎砲とか言う技は人を粉々に吹き飛ばす技だ。恐ろしい。アヤツの肉片が飛び散らなくて良かったのだ」
「決してその様な物ではありません。感謝の気持ちを込めた御呪いにございます」
「コタローは、試したと言っていたぞ!粉々にならなくて良かったのだ」
(姫。正直は美徳だけど、ここは無い頭を使おうよ)
「コタローは、恐ろしい技を持っておるのだな。味方で良かったぞ!」
僕達、島の兵は素早く動き、攻撃を避ける戦いが基本だ。鎧等の動きを阻害するものは基本的に不要だ。タケゾーだけは重量級なので鎧を着て出陣だ。
僕は老師の籠手を装備。姫は足から胸位の長さのある長剣を背負っている。
準備は万端だ。いざ!初陣だ!