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無手使いの龍島戦記   作者: こーむー
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相撲大会

みんな!土佐の兵士と格闘勝負だよ。僕らの力の見せ所だよ!


「なにそれ?かったるいなぁ。コタローに任せる」

「はあ?」

「せっかく、大陸に来たんだ。のんびりしようぜ」

「姫がおとなしくしてるのになんて事始めるんだ」

(なんで?誰も乗ってこないぞ!ダメダメだなぁ)


渋々みんなを連れ出してルール説明だ。手を着いたら負け!円の外に出たら負け。相手を投げたり、円の外に突き出すんだ!

「それってコタロー有利だよなぁ。一人で目立とうとしてるのか?」

「違うよ。みんなだってそう簡単に負けないよね」

「あたり前だ。オレらが負ける訳ないだろう!」

「相手を投げりゃ良いんだろう。簡単だ」


こちらは、姫と僕、それに家臣のアカツキ、トグロ、タケゾーの5人だ。


相手はもう準備万端だ。

「よし、先鋒前へ!」姫が名乗りをあげる。

「ちょっと待った。オナゴはダメだ。決まりがあるんだ。」

「妾はダメなのか?うーむ。決まりじゃ仕方ないのぉ。妾の負けじゃ!不戦敗にしとくれ。家臣共は強いでの」

無駄に信用してくれるんだよね。我が主人は!


気をとりなおして、次だ。

「次鋒、前へ」


次鋒は、トグロ。二刀流小太刀の名手。背は低いが家臣の中で一番素早い。盗賊の様なイメージだ。おおよそ家臣って柄じゃなく、暗殺者の方が向いているんじゃないかな。


「ハッケヨイ残った!」

独特の掛け声とともに相撲が始まった。相手は頭を向け突進して来た。素早いトグロは、軽々避ける。捕まえようとするが小さくて素早いトグロは捕まらない。相手は慣れているのか土俵際にトグロを追い詰めた。

「チビ相手はやり難い。手が届かないんじゃないか?」


どうやら、癪に触ったらしい。トグロ、遂に反撃に出た。

「手が届かなくても、足なら届くぜ!」

トグロを地面に手を突き、屈伸した足で相手の顎を蹴り上げた。相手が怯んだとことで首に足を巻きつけ、相手を捻り相手を足で投げ飛ばした。余りにも強烈に決まったので相手は失神してしまった。


『手を突いて?』先に手を地面についたら?

判定は当然、トグロの負けだ。トグロ!お前もか!お前も頭の中は姫と一緒なのか?


僕らの2連敗。もう、後がないぞ!


中堅はアカツキ。頼むよ。ホント。

アカツキは剣の名手。長身痩せ型のバランスタイプ。器用になんでもこなす。剣士って感じかな。何を考えてるかわからないのが怖い。謎の多い人物だ。


「ハッケヨイ残った」

相手は張り手、手を何度も突き出す。ひらりひらりとかわすアカツキ。ん?アカツキがジャンプしたぞ!相手の肩を踏み台にして宙返り。背中をとった。そのまま、腰を掴み投げた。脳天から落とすつもりか?危ない奴だ。

相手は脳天じゃなく肩から落ちた。

アカツキ!海老反りの綺麗なブリッジが決まってるよ。確かに地面には足の裏以外接してないよ!

やっと一勝出来た。ただ、相手泡吹いてるじゃん。


副将はタケゾーだ。

タケゾーは、槍の名手。体格に恵まれていて巨木の様だ。腕も足も太い。相撲という格闘において奴に土をつけられる人間はいないだろう。僕を除いてね。


「ハッケヨイ残った」

相手はタケゾーの腹に頭から突っ込んで来た。恐れを知らない勇気ある行動だ。タケゾー。勢いで少しダメージ受けたらしい。相手は張り手で土俵際まで押すつもりだ。だけど、タケゾーびくともしない。

「ほほう、これが相撲か?なかなか良い!」

相手はタケゾーの腰紐を掴み左右に崩す。タケゾーも腰を落とし、相手の腰紐を掴んだ。相手はタケゾーを吊る。タケゾー踏ん張る。

「なかなか強い引きだ。鍛えておるのぉ。ヨシ、我も」

タケゾーは相手を持ち上げ、土俵の外に思い切り投げ飛ばした。何メートル投げたんだ!相手は兵士達のいるところまで飛んで行ったぞ!」


これで2勝2敗の五分で大将戦だ!


僕の出番だ!

「コタロー!負けるな!」声援は姫だけか?他の家臣達は勝って当然だと言う顔をしている。

あのさ。勝つけど、声援くらいはしようよ。空気読めない人になっちゃうぞ!


相手の大将は、デカイ。タケゾーよりも背が高いか?

なんでそんなに僕を睨みつけるんだろう?


「見合って見合って。ハッケヨイ残った」


スゴイ張り手が来た!

僕はその張り手の腕を掴み、腕の痛覚をぎゅっと抑える。そして腕を巻き込み転げさせようとしたところ、強引な力技で腕を切られた。すごい痛いはずなのに、信じられない根性だ。この人、ハンパない。

相手は張り手を諦め、がっぷり四つに組んで来た。少しは盛り上げなくちゃね。相手は僕を持ち上げて投げを打つつもりか?やる事分かってれば簡単さ。


僕はタイミングを見計らって相手の腰に背を押し付ける。足で蹴り上げると同時に腕を引き込む。

背負い投げだ。


相手の足が天に向き、大男が大きく1回転してドスン!

空中で円を描き、背中から綺麗に落ちた。


「パチ、パチ、パチ」

いつのまにか、領主の長曾我部が拍手をしている。

「見事だ。実に美しい投げ技だ。ワシはもっと見たい。皆の者、コタローに突撃だ」

兵士が次々と突撃してくる。僕は背負いや腰車など色々な技を披露して投げた。

姫まで調子に乗って突撃して来た。姫には特別に巴投げだ。地の果てまで飛んでげ〜って。

今度は領主の長曾我部様か。一本背負い投げだ。

「気づいたら、空が見えとる。いつ投げられたかわからん。これが達人なのか?わはは」


土佐の人って陽気で楽しいね。





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