土佐国の客人
無事に大陸に着いたのはいいけど、僕達は領主の館に連れて行かれた。
領主にご挨拶だ。僕と姫の2人で領主に面会。
「ワシは土佐の国の領主、長曾我部だ。貴様ら、どこからやって来た。」
「はい、薩摩の国の南に位置する島にございます。1000人ほどの小さな島の生まれです。不作法など御座いましたら何卒ご容赦ください」
「なにを目的に海を渡ったのだ?」
「妾が大陸を見たいと思ったからじゃ」
「申し遅れましたが、この娘は、領主の子。私、コタローはこの娘の家臣でございます」
「この姫の戯れ言に命を懸けて付き合ったのか?」
「戯れ言ではない。大陸を見たかったのだ!」
「姫は強い意志の持ち主です。我ら主従は姫に付き従うのみ。決してこの国に被害をもたらすものではありませぬ」
「貴様らの忠義、天晴れである。なにか、欲しい物があるか?」
「とにかく、水と食料を!漂流していたものでして!」
「直ぐにでも用意させよう。それより、薩摩の国の南と言ったな?わざわざ、我が領土に来る必要があったのか?」
「実は海の船旅は初めてでございまして、潮に流されてしまいました。」
「コタローが悪いのじゃ。早めに教えてくれれば良かったものを!」
「それで、漂流していたのか?そこまでして主人の戯れ言に付き合うとは貴様ら苦労しておるのう」
「戯れ言ではないと言うておるのに!」
「姫は明朗快活。いつも私共に光を与えてくれます。頭がよわ…」
「頭がなんじゃ!」
「頭が(頭の中)が小さく可愛い娘です」
「コタローとやら気に入ったぞ。貴様達を客人扱いとしよう。ごゆるりと休まれよ。」
「ははぁ」
やっと、食事と揺れない寝床にありついた。生きた心地がする。朝起きて、僕は護衛の兵士さん達と一緒に鈍った身体を動かそうと砂浜に来た。
護衛さんには悪いけど、柔術の練習だ。下が砂なら痛くないでしょ。僕は思う存分ポンポンと兵士を投げていた。
土佐の兵士さん達が、声をかけて来た。
「投げ技が得意のようだな。どうだ、オレ達と相撲で勝負してみるかい?」
「相撲?」
「円形の土俵の中で一対一で力比べをするんだ。足の裏以外、手とか背中が地面についたら負けだ。土俵の外に追い出しても勝ちだ。」
「僕の投げ技はとても有利だね」
「おまえみたいな体重の軽い奴は軽々持ち上げて投げてやる」
「そう、旨くいかないのが格闘技の面白いとこさ」
「よーし決まりだな!」
ルールは、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の5人で戦うチーム戦。1人一戦のみ。先に3回勝った方が勝者となる。
みんな暴れたくてウズウズしてるだろうな。楽しそうだ。