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無手使いの龍島戦記   作者: こーむー
3/16

いざ!大陸へ

僕は姫の膝の上で目が覚めた。

「老師は?老師はどうしたの!」

姫はゆっくりと首を振った。僕は姫に抱きついて泣いた。声をあげて泣いた。姫はそんな僕を黙って為すがままにしてくれたんだ。


姫、このご恩は忘れません。ただ、今だけはもうちょっとご辛抱ください。



数日後、老師のお葬式が終わり日常が戻りつつあった。老師の遺品は極端に少なかったが、老師の大切にしていた籠手は僕が譲り受ける事になった。


「コタロー。あの虎砲とかいう技ってなんなんだ。すごい破壊力じゃ」

「生まれて初めて使ったし、多分二度と使えないかも」

「島のみんなが言っとるぞ!コタローだけは怒らせるなよって」

「大丈夫だよ。僕は滅多に怒らないから。姫だってよく知ってるでしょ」


「そうだな。よく知っとる。そこで頼みがあるのだが?」

(やばい。来たよ。無茶言うつもりだ。嫌な予感しかしない)

「あの船で大陸に渡ろうじゃないか?いいだろう?」


やっぱり、姫、無茶言い出した。頭が弱いのか?船の動かし方も知識もないのに何言い出してるのコヤツ!

「漁師も連れてくし、沢山の水や食料積んでいけばどうにかなるって」

(どうにもならないんだよ。敵さんだって半分以上の船が沈んでいる現実考えろよ。お馬鹿なのか?」


「言い出したら聞かないんだろう。でも、命がけだよ。死んじゃう可能性がかなり高いよ」

「大丈夫だよ。私って運が良いから!」

(全然安心できないぞ!説得力まるで無し)


老師。僕もお側に行くかもしれません。



姫の犠牲者は僕と従者3人それに漁師4人。さらに護衛5人をつけて貰った。

みんな、嫌々ながら着いて来た感じが隠しきれないぞ。戦場で敵と戦ってってなら、わかるけど、無謀な航海で海の藻屑となるのは嫌だろうな。激しく同意したいところだ。


「いざ出発!大陸へ向かうぞ!」

張り切っているのは姫ひとりだ。僕らは黙々と船を漕ぐ。天候が荒れない事を祈るしかない。姫!本当に運が良いんだろうな。思い込みでしたってオチなら泣くぞ!



沖に出て、一週間後。僕らは漂流していた。


「おかしいな?ちゃんと大陸の方向へ一直線に向かったんだけど?」

「姫。海にも川と同じで潮の流れってあるんだよ!」

「なんじゃそれは?流れていないじゃないか」

(やっぱり、この娘。頭が弱い!)

「潮が西から東に流れているみたいだから、目的の大陸は西に見える筈だ」

「本当だ。西になにか見える。コタロー。知ってるなら早くそれを言わぬか。馬鹿モノめ」

(姫に馬鹿って言われるとすごくショックなんだけどね)


潮の流れに逆らって西に向かうのは、今更難しいだろう。このまま北上するしかない。運が良ければ、陸地が見える筈だ。僕の他の従者はのんびりと釣りをしている。姫に付き合うにはおおらかな心が必要なんだ。僕にはないけど。



3日後。姫が大はしゃぎしている。

「見えたぞ!陸地が見えた」


僕らはもうげんなりしていた。喜ぶ気力がもう残っていないようだ。とにかく、陸に着きたいって一心で船を漕ぐ。


そこは、見渡す限りの広い広い砂浜だった。僕らは全員砂浜に仰向けに横たわり、地面の感触に喜びを感じていた。

「生きてる!」良かったよ〜〜。


「姫、ひとりで元気なんだから、水を探して来て。そしてついでに食料もお願い!」


ここどこだろう?薩摩って国じゃないのは確かだね。こんな広い砂浜があるんだから、大きい大地なんだろうな。砂浜の向こうには松がたくさん見える。僕達の島とは寄生する植物も違うんだね。本当に他国だ。


ん?他国?僕達って歓迎されるとは限らないんじゃないか。もしかして、敵と見なされる可能性高いよね。どうしよう。


姫が戻って来た。

げっ。後ろに武装した兵士連れてるじゃないか!

僕達、捕まっちゃうのか?


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