再会
魔方陣の輝きが徐々に失われ、その中央に召喚された二人の人物が
はっきりと目視できるようになった。
その二人の姿を見て、一番驚いたのは、召喚した本人
魔王ランザだ。
かつて彼が君臨していた世界に突如として現れ、蹂躙した存在。
その当時、彼女の目的が自分の命ではなかったらしく
今後、二度と魔王として世界を混乱に陥れない。
と言う条件で、見逃してもらっていた。
その後この世界に召喚されたために、二度と会う事はないと思っていた
その姿が今、目の前に現れる。
不自然に顔を逸らす姿が、余計に違和感を際立たせたようで
彼女もまた、ランザに気が付いた。
「あら、お久しぶりね、貴方が私を呼んでくれたのかしら?」
冗談めかして聞くユリに対して、表情を強張らせながら
「わた・・、私がご招待致しました!」
姿勢を正し、胸を張って報告する。
その様子にいたずら心を刺激されたのか、ユリは再び
「この世界で魔王として悪行を行っていないでしょうね?」
笑顔だが、その瞳の奥に潜むモノを感じたのか、ランザの体、全体が硬直し
「こ、この世界での魔王業は、嗜む程度でございます・・・」
実際にこの世界に召喚されて、自分よりも遥かに強大な力を持つ魔王が
いくらでもいる。
その事を知ってから、この世界を手に入れよう
などという大それた野望は持っていない。
普段は同郷のベンザと共に、この洞窟で勇者を召喚して日銭を稼ぎながら
閑散期には他の魔王城に出稼ぎに出る。
答えながらそんな空しい生活を思い返し、過去の栄光とのあまりの落差に
思わず涙がこぼれてしまうのだった。




