未知なる世界へ
何もない、白と乳白色に包まれた空間を宛てもなく無く彷徨う二人。
どのくらい歩いただろう?
すごく時間がたっているようにも思えるが、それは二人の体感に過ぎず
他の者が客観的に映像で見ていたとしたら、それは恐らく
手抜きではないか?
と思うか、思われないか、ギリギリの時間だっただろう。
そんな二人がようやくたどり着いた先は「転生検問所」
「こんなの、前は無かったのに・・・」
その言葉が聞こえたのか、建物の前に立っていた係員が話しかけてくる。
「どうも、こんにちは。
このシステムが始まってから、初めてのご利用ですね。
では、一番の窓口でお待ちください」
以外に気さくな感じで案内された窓口には、既に数名が待機している。
名前を書いて待機するように指示され、その言葉に従う二人。
しかし、何が始まるのか不安なのだろう、ポラリスが彼女の腕を握ってきた。
「大丈夫よ」
優しく声をかけ、二人並んで長椅子に腰を掛ける。
やがて自分たちの前にいた数名が、順次窓口から建物の奥へと移動していく。
そしていよいよ自分たちが呼ばれ、窓口へと向かった。
「やあ、いらっしゃい。
由美さんは、転生の常連さんみたいだね。
でも、このシステムは初めてみたいだから、説明しておくね。
ポラリス君もよく聞いていてください」
係員の説明によれば、由美が前の世界で生きている間に
転生をする者が急増し、ここを利用する者たちの間で諍いが起ったり
迷子による「望まれぬ世界」への転生が行われるなどのトラブルが発生していた。
そして求められていた世界への転生を果たせなかった者。
そういった彼らの多くが、新しい世界になじめず、命を落としている。
この状況を改善する為に、この期間を発足させた。
勇者としてここを通る者たちの秩序と、正しい世界へ安全に導くために。
話が終わって、何か質問は?
と問われた由美が早速
「今の話だと、私たちがこれから行く世界は決まっているんですね?」
やや身を乗り出して聞く彼女に対して、係員は
「それが・・・」
と言葉を濁した。
煮え切らない態度に、納得できない彼女が再び口を開こうとした時
「あなた達の行く先は、決まっていないんです。
それどころか、ポラリス君は転生の対象者ですらない」
横から口を出す人物は、窓口の者とは違い、別の役割が与えられているのか
腰に剣を下げている。
その様子に警戒心を露わにした由美だったが、相手の反応からは
特に悪意は感じられない。
穏やかな口調で別室へどうぞ、と言われ
その場は言われるがままに部屋へと案内される。
その部屋で改めて説明されたこと。
実は由美の転生はまだしばらく先になるはずだった。
しかし、ポラリスとの出会いにより命を落としてしまう。
そしてポラリスは、転生者では無いので行く先がない。
「では、彼は元の世界に帰してあげてください!
あ・・・、でも、そんな事が出来るのかしら?」
説明を聞いて思わず声を上げてしまったが
帯剣の者が静かに
「可能です、しかし・・・」
と答える。
「だったらすぐにでも!」
勢いよく言い放とうとして、最後の部分に引っ掛かりを感じた。
「何か不具合でも?」
まっすぐ見つめる視線を避けるように係りの者が
「戻っても既に死亡している彼の肉体は蘇りません。
ですから、あの世界に戻ったらすぐに成仏する。
と言う事になります」




