悪い顔
久しぶりに帰郷したら、三人の男に見つめられる。
スルクスの感じた良くない胸騒ぎは、三人の内の
最も長い付き合いのある、叔父のキズヌの顔を見て
確信に変わった。
笑顔の彼は、自分に注目するデティートの背後から
しきりに目配せを送って来る。
フレイブは、既に自分の仕事は終わった。
そんな雰囲気で優雅にお茶をすすっている。
「とりあえず、お話を伺いましょう」
こうなると、最早スルクスに逃げ場は無く
なし崩しに仕事の話が始まった。
「もう一度、詳しくお話いた方が良いですか?」
デティートの配慮に感謝しながら、内容を聞く。
「では、まず、事件の始まりからお話しします」
その話は、数週間前に遡る。
プラマド王国の王立図書館、賊が侵入した。
この時、図書館の警護を行っていたのは「三花」のグリクと新人だ。
賊の目的は不明だったが、同士討ち、という形で阻止する。
ところが、その賊が「グロリオサ」に所属している、と言う事がわかった
この報告を受けた王国宰相のメレンゲは、自分の十八番目の息子を
賊対策の責任者として強引に任命する。
それは、表向きは解決に対して手出し無用。
とはいったものの、実際は手柄だけを横取りするような雰囲気だった。
それに反発する「六家」は、自分の身内を使う事を嫌い
デティートにフレイブを紹介する。
この話を聞いたスクルスのデティートに関する感想は
真実を見極める目を持った能力のある人物。
だが、良いように使われて潰れてしまう典型のような人だ。
と言う事だった。
ともあれ、叔父があの悪い笑顔をしている以上
自分の選択肢は無さそうだ。
そう観念して、デティートと共に図書館へと向かっていった。