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サインが

船は思ったよりも大きく、ミリアの探索に手間取っている。

もし彼女が部屋に籠っていたら、昼食、もしくは夕食の時間まで

姿を現すことは無いかもしれない。

そんな事を考えながら、オープンデッキからメインデッキへと向かう階段を

降りようとした彼に衝突してきた少年がいた。

その少年の顔をみて、記憶が蘇る。

確か、この少し前にミリアともぶつかったはず。

ミリアの記憶の中の自分と対面し、懐かしむ暇もなく

彼女の元へと急ぐ。

階段を下りて振り返った先に彼女の姿を確認し、声をかける。

「失礼ですが、貴女はミリアさんではありませんか?」


客間でソファーに座る二人の男女。

二人の共通点は、同じ記憶の中を彷徨っていると言う事。

そんな二人の傍で待機するデティートは、退屈していた。

眠っている二人の観察をしてみても、ミリアには「これ」と言った変化は無く

タミュアも閉じた瞼の下で眼球が忙しく動いている以外には変化が無い。

なんという無駄な時間。

緊張感が薄れたデティートは、失念していた。

そのサインはタミュアの左の人差指。

小刻みに震える合図を見落としていた。

「僅かな変化だが、細心の注意を払ってほしい」

生あくびと共に思い出したその言葉に、タミュアの手を見ると

サインが出ている。

いつから?

いや、自分は注意を怠らず、観察していた!

このサインは、いま始まったのだ。

そう自分に言い聞かせてタミュアの手から小袋を取り

一つかみ、壺に入れる。

「私の合図で、一つまみ壺に入れてください」

全てはタミュアの指示通り行った。

そういえば、などと検証する必要もない。

自分は言われた事をしただけだ。

後はタミュアが自分の責任で何とかするだろう。

自分の役目は終わった。

静かに部屋を出ようとするデティート。

しかし、何故か部屋を出る事が出来ない。

何かしらの結界があるわけでは無く

罪悪感から躊躇しているようだった。


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