こっちが本命?
先行するうずらの後を追う三人の男女。
彼らの視線に先に竜巻が見えてきた。
どうやらあれが目的地のようだが、まだ少し距離があるな。
スルクスがそんな事を考えていると、うずらが速度を上げる。
それほどに、事態は深刻なのかもしれない。
ちらりとトッチーの表情を見ると、彼もまたこちらを気にしている。
雇い主であるスルクスの顔を立て、指示を待っているようだ。
その表情を見たスルクスは、自分が先行することに決め
ほんの僅かに、左手で彼を制する仕草をした。
それによって速度を落とすトッチーは、加速したうずらに
ついていく事が出来ないミリアと共に後れはじめる。
龍涎堂の主人、キズヌが推薦した魔王城にいた者なら
よほどの事が無い限り、ミリアの身の安全は保障されただろう。
いや、元からそんな心配は無かったかもしれない。
なぜなら、ミリアにはうずらという存在が警護している。
スルクスの記憶の中で、うずらと言う存在に出会ったことは
そう何度もない。
しかし、今回は一人に対して四羽のうずらが関わっている。
これは、彼にとって初めての経験だった。
だからといってミリアを一人で置いていくことが出来ない。
スフィアがトッチーに目をやった時、その思いは既にくみ取られていた。
徐々に遅れるトッチーとミリアの姿が見えなくなる。
そしてスフィアが強い風を肌で感じる距離まで近づいた頃。
ミリアとトッチーは、正体のわからない者たちに囲まれていた。
その露骨極まりない悪意にミリアを制するトッチー。
歩みを止めた二人の前に現れたのは
図書館に残っていたはずのデティートだ。
彼と同質の悪意は、ひたすらトッチーに向けられている。
嫌悪感からか、トッチーの肌に鳥肌が立っていた。
好ましくない雰囲気の中で、ミリアが一言。
「なんだ、けっきょくあなたも来たの」
そう言って笑顔を向けた。




