奪われた力
バーネロの心に湧き上がる不安。
それは、自分と同じ考えを持つ者が、いつか自分の力を奪いに来るかもしれない。
と言う事。
普段は目立たないように行動し、力を蓄えてきた彼に
脅威を与える存在、スフィアが現れる。
無邪気な少年の力は、バーネロが今まで奪ってきた者たちの力を
簡単に奪い去った。
自分が今まで奪い去ってきた力、その力を集約した魔球を
少年が飲み込んだ。
力を奪われたことに、そしてその力を取り込まれてしまった事に
ただ何もできず、立ち尽くしていたバーネロが我に返ったのは
少年に変化が現れたからだった。
力を取り込んだ少年の様子を見たバーネロ
そんな彼が身の危険を感じる。
持って生まれた才能に加え、自分の力を取り込んだ少年は
恐らくこの世界で最も力を持つ存在だろう。
悔やんでも悔やみきれない。
見知らぬ世界に召喚され、試行錯誤の末に失った力を取り戻した。
だが、今の自分はその力を再び奪われている。
何故、ここまで不運が続くのか?
自分のいた世界での因果に縛られているのだろうか?
自暴自棄になって全てを投げ出しそうになる。
そんな彼に微かな希望が残されていた。
それは、力を取り込んだ少年スフィアの能力が低下したこと。
自分が奪った力を取り込んだことが災いしたのか
少年の力は奪った力に相殺され、常人より少し力がある。
といった存在になっていた。
そしてそんな彼の傍に付き従う事で、ほんの僅かではあるが
自分の力を取り戻すことが出来る。
と言う事にも気が付いた。
それ以降は、再び力を自分のモノにするために
スフィアの側近として、常に傍にいるようになった。
そんな長く苦しい時代が、ようやく終わる。
冷静なつもりでも、少し声が上ずっているのを
自分でも感じていた。
そんなバーネロが発した言葉が
「そろそろだな」
この時をどれだけ待ち望んだか・・・。
力を取り戻すために、儀式を始めようとするバーネロを
ギノールたちは見つめるだけだった




