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茶番劇

スルクスとトッチーに檄を飛ばした後

二人の背後で悠然と構えるミリア。

そもそも、見習で研修のために配属されただけの彼女が

戦闘に加わっても足手まといになるだけ。

それは自分自身も心得ている。

だからあえて戦闘に参加しない。

あとは下請けの二人が何とかする。

初めの依頼と異なる現実も、現場の流動する状況に応じて

適切な判断を行い、これに対処する。

というのが、この業界での常識だった。

つまり、条件の後付けが自由にできるということ。

ただし、あまりにも度が過ぎると、下請けも職場放棄して

その残務整理を自分で行わなければならない。

この絶妙な匙加減を体得することで、優秀な六家の一員

として認められる。

今回の戦闘に関して、ミリアの判断がスルクスたちの許容範囲内だったのは

賊の三人も無駄な争いを希望せず、お互いに茶番で済ませよう

そんな暗黙の了解が出来上がったからだった。

背後にミリアの視線を感じながら、まず動いたのはトッチー。

彼は呪文と共に体の刺青の一つに触れる。

するとそれは彼の肌から消えた。

トッチーが右手を空にかざすと、先ほど消えた模様が宙に浮いている。

その扇形の模様が空間の揺らぎと共に消え、変わって現れたのは

一つの扇。

「刃扇」

具現化した扇に反応したのは賊の一人、少年ルンケアだ。

現れた扇を手にしたトッチーが三人の賊に向かって扇いだ。

すると、風と共に生まれた無数の刃が三人を襲う。

見た目は派手だが、それほど殺傷能力のないこの攻撃は

容易に回避できる。

だが、どれでは「お目付け役」であるミリアが納得しないだろう。

わざわざ派手な法具を使ったのは、彼女の心証を良くするため。

その事に気が付いている三人の賊も、どうすれば彼女が納得するか?

を考える。

ここで心の弱いバッファが二人を「庇う」風な感じで盾となり

全身にその刃が突き刺さる。

体感としては、蚊に刺された程度のダメージだったが

見た目は、全身に刃を受けている。

とりあえず、崩れ落ちる感じで倒れてみたバッファの視線は

ちらりちらりとミリアを確認している。

ところが、彼女の表情に思ったほど満足感が現れていない。

体格の良い自分が倒れ、表面上の撤収。

そんなバッファの思惑は、彼女の表情によって砕かれた。

自分が出るのが早すぎたのか?

後の二人に全てを託す。

そのリスクを考えたバッファは、刃によるダメージを装って

悶絶するふりをしながら、薬を飲みこむのだった。

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