分かれた大陸、砕けた王冠 14 「蜂起」
家紋や紋章を手に入れた魔王がその力を以って
この世界に君臨しようと動き始める。
それに対抗できる力を持つ人間の数は少ない。
かつて、ほぼすべての人間が魔力を持っていた時代は遥か昔。
現在はごくまれに生まれてくる者の中に、僅かに魔力を秘めた者がいるだけだった。
魔王の支配する世界。
すぐにもそんな時代がやって来る。
そんな噂もあったが、魔王たちの前に立ち塞がる存在が現れていた。
それが過去に魔王を狩り、その力を吸収した獣や、人間たちだった。
やがてプリペアド大陸は、四つの国に分断され、この頃から
固い絆で結ばれていた王冠の滴たちの関係にも少しずつ、亀裂が入り始める。
四つの内、一番に国という形が出来上がったのは、魔王ジェルネイルが率いる
魔道皇国ジェルネイル。
そして次に現れたのが、ジェルネイルの内乱にってその地を追われた
ビガンが建国したビガン共和国。
その二つの国に入れなかった、もしくは排除された者たちで作られた
十八家。
そして、王冠の滴の一人だったマスカーが傀儡を立てて作った国、プルトップ。
大陸で認知された存在は、この四強となった。
だが、各国の一部関係者や事情通によると
表には現れてこない組織の存在が浮かび上がる。
それが「王冠の欠片」と「グロリオサ」だった。
「本当にこれで宜しいのですか?」
誰もいない部屋の中で独り言を呟くマスカー。
その言葉を聞いていたのは、机の上のうずら。
彼は餌を啄むのを止め、、マスカーを見る。
「欠片とグロリオサ。
この二つが存在する意味を考えれば、十分だ」
人間とは、疑い深い生き物だ。
だが、信じやすい生き物でもある。
この世界に四つの国が生まれた。
多くの人間は、それを受け入れるだろう。
しかし、その裏を読もう、という者たちがいる。
そんな彼らに、暗躍する欠片の存在をそれとなく教える。
すると、彼らは自分の観察眼に満足する。
そこに、あえて新たな情報を流す。
つまりそれは、そこが終わりではない、というもの。
ただし、この情報はごく限られた者たちに広められる。
そして情報を手にした者たちだけが知ることのできる存在。
それがグロリオサ。
この二重の情報を知りえた者が何をするか?
恐らく、優越感と共にごく親しい人物に告げるだろう。
あとはその者たちが好みそうな適当な情報を与えれば
得意げに話を広めた挙句に、自滅する。
欠片の存在も、グロリオサの存在もただの風聞に成り下がるだろう。
それを看破して我々の存在に気が付いた者がいれば
共に行動するよう、説得すれば良い。
ただし、それが受け入れられない場合は、全力で排除するするように。
それだけ言い終えると、残った餌を啄みつくし
何処かへ去っていった。




