分かれた大陸、砕けた王冠 1 1 「穏やかな水面、激流の水面下」
家紋によって本来の力を取り戻した魔王たち。
この世界に存在する魔王が暴走し、各地で激しい攻防が繰り広げられる。
それに対して、魔王の血肉を取り込み、個体によっては魔王以上の力を得た
者たちが、その力によって魔王と対立し,この世界を統べる者が現れるまで
この状態が続く。
こうなると力を持たない存在、それは人間だけでなく、動物や精霊
下位の魔獣までもが、この世界から消失するだろう。
それはこの世界に存在する大国の、著名な者たちの共通の認識だった。
この意見に反論する者や、それ以外の説を唱える者は異端視され
消えていった。
「魔王最終戦争説」
それは一部の権力者と、その取り巻き。
それも特に影響力の高い者たちによって作られている。
ところが、この状況を作り出したのは一部の覚醒した魔王たちだった
彼らは長い年月を経て、既に人間の世界になじんでいた。
そんな彼らが行った事、それはこの風聞を用いての新たな魔王狩り。
それだけでなく、突出した存在を排除し自分たちに従順な魔王の育成。
標的は虐げられてきた魔王、彼らは家紋により力を取り戻したとはいえ
心に一抹の不安を抱えているものたち。
弱った心に追い打ちをかけるように、世間の噂が彼らを襲う。
「巷では力を持つ魔王が群雄割拠し、覇権を争う」
そんな噂に対して自分の現状を確認する。
果たして自分にそれ程の力があるのか?
絶対的な力を持っていた自分がこの世界に召喚され
全てを失い、絶望を感じた。
だが、そこに新たな希望である「家紋」という存在によって
力を取り戻す。
しかし、本当に自分の力が通用するのだろうか?
心とは、肉体と同じように鍛錬によって強化することができるのだろうか?
恐らく出来る者もいるのだろう。
だが、それは恐らくごく限られたほんの一部。
ほとんどの者が、不遇の時代を長く経験して、自分に自信を持てなくなり
次々に、その組織に取り込まれていく。




