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隣の魔王城

デティートとスルクスは連れ立って隣へと足を運ぶ。

魔王城の入り口までは、徒歩十数歩。

この城に棲む魔王を討伐にやって来る、勇者たちのほぼ全員が

龍涎堂に伝記の依頼を行っている。

龍涎堂にとって、この収入は意外と馬鹿にならない金額だった。

そんなキズヌの台所事情もあって、何かにつけて隣の魔王城に

仕事を廻していたのだが、デティートは知る由もない。

そんなことを書いている間に、二人はようやく魔王城の入口へと

到達する。

門は朽ち果て、見る影もない。

仕方なく玄関へと向かい、ノックをする。

すると中から若い男の声が返ってきた。

「はーい、少しお待ちください」

そして、少し待つと玄関から老婆が現れる。

「いらっしゃい、今日はどんな要件かな?

場内見学なら明日の午後が空いている。

魔王討伐は、剣の攻防だけならすぐ入れるけど

魔法使用だと一週間先だね。

他の依頼なら今の所、魔王は手が離せないよ。

明日から、近所のキッズが幼年養成所の卒業記念行事で来ることになってるからね。

あと、特に求人も募集してないから」

老婆はそれだけ言うと二人の顔を見て、で?

という顔をする。

その視線にお互い顔を見合わせていたが、デティートが返事をする。

「私たちは隣の龍涎堂の主人、キズヌ殿の紹介でここに来たのだが

何とか、魔王に取り次いでもらえないだろうか?」

紹介された以上、魔王に返事をもらった方が良いだろう。

デティートの判断だったが、スルクスは依頼人の判断につけるわけもなく

大人しく様子を伺っている。

すると目の前の老婆が突然

「取り次ぐも何も、目の前にいるだろうが」

そう言って被り物と衣服を脱ぎ捨てる。

するとそこには美しい女の魔王が現れた。

彼女は二人を値踏みするように見ていたが、少し眉をしかめ

「キズヌのおっさんの紹介なら仕方ねえ。

おい、トッチ-!

ちょっとコッチ来い!」

そう言って奥の部屋へと呼びかけた。

その声に応えるように奥から現れたのは、全身刺青の青年。

「紹介しよう、うちのナンバ-ワンだ!

こいつが外観のエイジングもやってる、って言えば

実力はわかってもらえると思う!

ってことだから、後は当人同士にお任せして

私は消える!」

魔王はそれだけ言い残すと、奥の部屋へと入っていってしまった。

残された三人は、互いに視線を交錯させながら様子を探っている。

「さ、先ほどの魔王の話では、あなたがここの外観をエイジングをされたとか。

長い年月を経て自然に劣化したように見えますが、すごい技術をお持ちのようですね

この建物は、築何年ぐらいなのでしょう?」

何かキッカケを。

そんな思いで先程魔王が口にした外観の話を口にするデティート。

その問いに気まずそうに答えるトッチーの言葉が

「築、ですか?

それだったら、四百年は経っていると思います・・・」

消え入りそうな最後に、強引にかぶせるように今度はスルクスが

「いや、いや!

今回の仕事はそう言ったたぐいのものでは無いので!

まあ、その、案山子ですよ、案山子!」

言いながらデティートをチラチラと見る。

その視線を察してか、デティートも。

「そう!

そうなんですよ、嫌だなあ!」

二人で何とかその場を取り繕おうと、自然と声が大きくなる。

すると奥の部屋から

「うるせえ!

よそに行ってやれ!」

と、魔王の苛立った声が響いた。

そこで急激にトーンダウンしたデティートが

二人に向かって、小声で

「では、ここではなんですから」

そう言って二人を連れ出し、図書館へと導くのだった。

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