本音
「宜しいのですか?」
王国貴族であるメレンゲ伯爵の書斎で忙しそうに書類に目を通す。
そんな彼に意見したのは
同じ組織、グロリオサに所属している六家の一人
ウイルドだ。
ウィルドは六家の要である六つの花の内の一つ
星六花の家紋を通紋として使っていた。
通常の六家としての活動では、表門の扇六花の門を使い
個人で行動する際には、通紋である星六花を使用する。
そんなウイルドがグロリオサに所属し、彼らと共に淵源の書を求める
きっかけとなった人物がメレンゲだった。
ウイルドの問いかけの意味。
それは図書館の警護に自分の息子を就任させたこと。
しかもかなり強引なやり方だった。
ところが、メレンゲ本人は図書館に対して賊の立場である
グロリオサに所属し、そのうえ次回襲撃のための人選を
任される立場だった。
ウイルドの遭遇したのは、そんな場面。
思わず声に出してしまった言葉に対してメレンゲは
「次回の襲撃が成功すれば、グロリオサでの評価も上がる。
仮に息子が死んだとしても、三十二人の子供の一人がいなくなるだけの事。
三十一人の子供たちが悲しむようなら、もう一人、兄妹を増やしてやっても良い。
そして万が一、新たな刺客が敗れた時には
息子を推薦した私の評価が上がるだけの事。
他の貴族に五月蠅くたかられているのも、振り払えるだろう」
事務的にそれだけ言うと、メレンゲは再び書類に目を通し始めた。
その様子を見たウイルドは、強引に息子を就任させたのは
息子が死んでも、後に残るのは非難でなく、同情だけだ
そう計算しての行動なのかもしれないな・・・。
そんなことを考えながら、彼は静かにその部屋を出ていくのだった。




