分かれた大陸、砕けた王冠 5 「発動」
サーナダの頭の中で繰り返される言葉。
何度口にしてみても、何も起こらない。
その悶々とした日々に終止符が打たれる。
絵描き歌。
彼自身、全く意識していなかったが、反芻する言葉をなぞるように
右手の人差し指が空中に一文字、また、一文字と書き記していく。
ただ目の前の空間をなぞっているだけの行為だが
彼の指の通った後に、輝く文字が浮かび上がっている。
そのまま最後まで文字を書ききったサーナダの前に
白銀に輝く魔方陣が現れた。
その魔方陣を前に、彼の頭の中には新たな言葉が浮かび上がっていた。
再びそれを描こうとして腕を振るう。
ところが、今度は何も描けない。
その間に、せっかく描いた魔方陣の輝きが少しづつ鈍くなっている。
ここまでか・・・。
自分の力の無を悔やみつつ、無意識に口から出たのは
つい先程まで魔方陣に重ねて描こうとしていた言葉。
それこそが、真の呪文だったのだろう。
輝きを失い、消滅しそうになっていた魔方陣の光が蘇る。
いや、それどころか、生成された時以上の光を放っている。
やがてその光も次第に弱まると、魔方陣の中心に現れた者。
その者こそ、この世界を混乱に陥れる最初の存在だった。




