分かれた大陸、砕けた王冠 4 「気付き」
サーナダがこの世に帰還して、時空を超える者という謳い文句で
村人達により、崇め奉られてしまった。
神殿が建設され、村おこしのキャラクターとして扱われる。
何の名物もなかったこの村に、現れた救世主。
そんなサーナダが辟易したのは、自由が無くなってしまった事。
何かにつけて警護や関係者、観光客に挑戦者等々
何かにつけて干渉してくる。
時空を超えたと言っても、実際は何か証拠があるわけでは無く
ただの自己申告。
しかも、申告したのは本人でなく、全くの他人。
自薦、他薦は問いません。
何年も前に行方が分からなくなった老人の、突然の出現。
しかも服装は恐らくその当時のまま、そして何より
失踪してから全く年をとっていない、ように見える。
これ即ち、時空を超えた事、間違いない。
強制的に祭り上げられるサーナダも最終的には諦めた。
ただ、世間の目はそれほど甘くは無かった。
自称(他薦ではあるが)、時空の超越者の真偽を確かめるべく
多くの人物が村を訪れる。
更に加えて、その人物の取り巻きも同行する。
そんな輩は、道中において目的を声高らかに触れ回りながら
目的地へと向かう。
すると、それを聞いた金と時間があるが、刺激に乏しい者たちが
その対決を見ようと集まって来る。
結果として、村には大勢の人が集まり、大いに潤っていた。
それだけの挑戦を受けて、サーナダの化けの皮が剥がれなかったのか?
結論から言えば、剥がれてはいなかった。
なぜなら挑戦しに来る人物の全てが、実際には力を持たない
口だけの集団だったから・・・。
ただ、真に力のある者がサーナダと戦うことになったら
よほどの実力者でない限りは、彼の前から逃げ出していただろう。
そんなサーナダの脳内に繰り返し浮かぶ呪文。
何度も口に出してみるが、これと言った変化は無い。
何の意味もない言葉。
この世界に戻ってから常に頭に浮かんでいる。
もう、諦めよう。
呪縛から逃れる理由を探していた頃。
多忙な日々を過ごすサーナダが「未来の後継者」
というイベントで幼い子らを預かる施設を訪問した時
一人の少女が、絵描き歌を歌いながら
絵を描いている所に出会った。
それはサーナダだけでなく、この世界の全ての人々の
後悔への始まり。
サーナダは確信した、そして、その衝動を抑えることはできなかった。




