動画共有サイト
うちにはテレビがない。
チューナーを買うのがめんどくさかったために地デジ化されるとともにテレビを見なくなったのだが、何ら問題はなかった。
1日一回ニュースサイト等でその日のニュースを確認すれば、特に日常生活で問題になることはない。
それが正直な感想である。
ただ、娯楽には飢えるので動画共有サイトを利用することが多いのではあるが。
ちなみに私は夜寝るときに中華麺の人二人組の、公式チャンネルでアップしているコントを見ていることが多い。
ちなみに好きな話は採集か不器用な人たちの話である。
それはともかく。
家で見ている動画共有サイトで使っているのは私のアカウントである。
私は会社でよくBGM等をかけるためにその動画共有サイトを使っているのだが、そこで気に入ったものを家でかけるために同じアカウントを使った方がめんどくさくないのだ。
そうなるとだ。
彼女も家でその動画サイトを見るのだ。
つまりどういうことかという。
出先のホテル等で、ちょっとえっちぃ動画を見たりすると、バレるのだ。
履歴は彼女は多分あまり見ない。
しかしだ。
昨今の企業努力は凄まじいものがあり。
それは動画サイトの運営者もなかなかのものである。
つまりどういうことかというと!
最近は見てる動画によって!
『オススメの動画』が自動選別されるのである!!
幾つかえっちぃ動画を見ると。
オススメ動画がちょっとえっちぃ動画一色に染まってしまう場合があり!
そうなると完全にバレて!どんなのを見ているのかが気になり、履歴まで見られる場合もあるのだ!!
‥家に帰って。
やっぱり足好きだよね。って言われた時の私の顔はさぞや見ものだったであろう。
まぁ、それはまだいい。
私の性癖など、彼女は割と知っているだろう。
持っていたエロ本を読みたいと言って粘って出させたくらいなのだから。
ヤバいのは私が見た覚えがない、文字を読む系の動画だった場合だ。
つまりは、彼女が私のアカウントを使って家でみている場合である。
これはヤバい。
おい、マジか。となる。
ちょっと血の気が引く。
タイトルが凄まじくなかなかにインパクトのある動画だったりするからである。
例えばのタイトルを羅列しよう。
『彼が浮気をしててそれを問い詰めたら』
『最近一緒にいるとつまんないので別れ話を切り出してみた』
『彼が最近暴力ばかりふってきます。』
『携帯ばかり見ているので履歴を見てみると。』
‥誓って言おう。
僕は浮気もしてなければ暴力もふるったこともない。
携帯は、確かに普通の人よりも見るかもしれないが、僕が活字中毒で物語中毒だからだ。
帰ってからも結構話しているつもりである。
確かに普通の同年代と比べると少しばかり給料は安いかもしれない。
それでも二人で工夫すれば何とかなるレベルではある。
それでも。
そんな動画ばかりが並ぶと痛くもない腹が痛い気がしてくるのが男というものだ。
え、なんかしたっけ。
もしかして最近携帯見すぎ?確かにトイレにも風呂にも持っていくが、でもそれはもう僕の性質として仕方ないことだし。
付き合い始めた頃からそれはずっとだし、いや、見たいって言われたら即座にLINEを見せれるほどに僕は潔白だよ?
携帯にはロックをかけてるけど、見たければ見ていいってパスワードも教えてるし。
暴力?暴力を振るってるのか?いや、この前なんかちょっとバカなこと言ってたからほっぺたをムニって押したりちょっと引っ張ったりしてたけど、絶対に痛くないように細心の注意を払ってたし、そもそもその時にもそんなに嫌そうな顔してなかったじゃないか。いやしかし本当は嫌だったのかもしれない!
他にはないか?他には!?
ないぞ!?心当たりないぞ!?
いや気づいてないだけでもしかしたらあるかもしれない!
そういえばトイレットペーパー最近予備を変えてなかったかもしれない!
しまった!それは前にも言われてた!うわどうしよう!
‥そんなことを考えてしまうものである。
心当たりはなくても人間そう完璧には生きられない。
そして、ちっさいことでもものすごく重大な問題に発展するのも人が一緒に生きていく上でよくあることである。
会社で気づいてしまった時など、なかなかに生きた心地がしない。
まだ帰るまで3時間ある。なんなら今日は残業があるかもしれない。
LINEで聞くか?いや、どんな表情をしているかわからない。
もしかしたらLINEで『大丈夫』と帰ってきても、全然大丈夫じゃない可能性は高い。
ぬぉぉぉぉおおおおおおお!!!早く帰らせろぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!
そういう時に限ってなかなかに仕事が終わらないこともよくある話である。
そうなると帰ることすら怖くなってくる。
怒られたくはない。
別れたくもない。
だがもしも誤解されていた場合、もしかしたら別れ話になるかもしれない。
ちゃんと話をしたら分かってくれるはずだ。
しかし、もしも分かってくれない、もしくは僕に非があると僕が納得してしまった場合はどうなる?
あぁ‥もう胃が痛くて仕方ない。
帰りたくない、と思ってしまうのも仕方のないことだろう。
それでも、仕事が終わり、家に帰るときはいつかは来るのであり。
ただいまーと恐る恐るドアを開けると。
電気も点いておらず、家が真っ暗だったりするのだ。
居なくなっちゃった!?と思ってダッシュで中に入ると、なんか暗闇でモニターの前に座ってたりする。ただ、その目はモニターを見ていない。
そのままのそっとこっちを見て小さな声で言うのだ。
『おかえり』と。
それはもう、ただのホラーでしかない。
『どうした!?』
そう言いながら思わず僕が駆け寄ってしまうのも仕方のないことではないだろうか。
だから君よ。そんなパチクリした目で見ないでください。めっちゃ心配したんですから。
大丈夫そうとわかった僕が思わずほっと一息ついたら
『なんかつらいことでもあったのかなー?』
って頭をなでないでください。
そのあなたの優しさが嬉しくて、文句も言えなくなるではないですか。
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後から聞いたところによると、なんとなくそれ系の動画を見始めたら関連で次々出てきて、
この世の中にはいろんな人がいるんだなー。
あの人がそんなことし始めたらどうなんだろ。
‥悲しいな。思ったよりも悲しい。
お願い、そんなことはしないでください。
それでも、それでも、もしも。
もしも本当に私よりも好きな人ができたらそっちに行っちゃうのかな‥。
嫌だな。でもそうなったら、私は、ゆずっちゃうかもしれないな。
でも‥いやだな。
それは、やだな。
と考えて、だんだん鬱々としてきたそうです。
そうなると暗くなっても電気をつける気分になれず、じっとしてた、とのこと。
なんだか似た者同士だなと思った。
その後、文字を読む系動画は我が家では禁止となりました。