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僕は墓場で幸せに。  作者: ムギ
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同棲 1

同棲するという事について。


同棲。

魅惑の響きである。


同棲。

一緒に住む事である。










…付き合い始めて一ヶ月くらいの時、向こうが言い出したのだ。


『お話があります』


と。


正直別れ話かと思った。


私は別れ話を切り出されることがすごく多かった。

付き合い始めた子で、自分から別れてほしいと言ったことは一度もない。と思う。

今ならその理由もある程度わかるが、なんで別れ話ばっかり言われるの!?と思ったこともある。


ともあれ、お話があります、と言われたときの空気が、過去の、彼女が別れ話を持ち出すときのそれにすごい似ていたのだ。

敬語だし、緊張しているし。悪いことをしている、というような表情でもある。



あー。好きな人ができたのかな。と思った。



自分から告白したわけでもなく、でもいろんなところが見えてきて、好きになりそうなところだったのに。

割と今回も短かったな。なんでだろうか。やっぱり愛が感じられないとかかな。

そもそも愛ってなんだよ。恋ならわかる。経験ある。でも愛って全くわかんねぇ。

確かに告られて付き合ったわけだから、向こうの愛情に比べてこっちの愛情が薄かったのはあるかもしれない。

でもそれって少しづつ育んでいくところじゃない?まだ一ヶ月で、出会ったてからも半年も経ってないよ?

適当に褒めるのは、知らない女の子だったらできるけど彼女にすることじゃないと思ってるしなー。

あーもしかして夜が下手糞だったとかかな。でも、そうは言ってもなー。

いや、確かに一か月かもしれないし、そこまで愛情が深まってないとは言っても振られるのって辛いんだよな。



とかその一瞬で考えた覚えがある。



相手に失礼である。




でもそのくらい予防線を張ってないと心が折れるのだ。

なんども振られたことで予防線の張り方は上手くなってしまった。


大丈夫。子供ができた、っていうのが最悪だ。

そう思えばなんとでもなるものだと思っていた。

今思えば、最低の考えである。




話が逸れてしまった。戻そう。


彼女は緊張した顔でこちらを見ている。

私は、せめて最後くらいはちゃんと真っ直ぐ話をしようと思って彼女の方を向きなおした。


彼女の口が開く。

その口から出てきたのは。


『一緒に住んでもいいですか?』


全身が脱力した。



その時私は一人暮らしとしては一般的な部屋よりちょっとだけ広い家に住んでいた上、相手は実家暮らしなので、関係が続けばいつかは同棲するんだろうなとは考えていた。

ただ、最初にも書いたが、私たちは付き合い始めて一か月くらいである。

全くその可能性は考えていなかった。



思わず脱力して、ため息をついて、笑いが出てきた。

それを見て、彼女は断られるかと思ったのか。


『ちゃんと理由があるんです。』

と言ってきた。


曰く、今の勤め先は正直実家から行くと乗り換えが面倒くさい上に金額も余計にかかる。駅からも遠い。

それに、これから君(筆者)が忙しくなる時期で、家にいる時間どころか日本のどこにいるかもわからないようになる。

だったら少しでも会える時間を大切にしたい。

光熱費と食費、家のネット代は私が負担する。

損はないはずだ。

いかがだろうか。


と言ってきた。

なんか、笑えてきて。そう。その時、


あぁ、なんかこの子、可愛いな。


そう思えたのだ。









もちろん、私の答えは。






『駄目です。』









僕の返事を聞いた後の

『駄目ですか‥。』

そのしょぼんとした顔も可愛かった。


なぜ駄目なのかもちゃんと理由があります。

それはまぁ、後々。

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