契約を知る者
訪問ありがとうございます。
ふんふふんふふ~ん♪
「日替り定食2つ、宜しくね。ローズちゃん!」
「はーい!」
ガヤガヤとちょっとうるさいぐらいのこの感じ…やっぱりいいよねええ~。体を動かすって素晴らしい!労働最高!
お城でも、そりゃ体動かさない訳じゃない。一応、マリアの侍女として、マリアのお世話をしているんだもん。マリアの侍女は、私を含め、全部で3人。少ないよね。あきらかに。うん…本当なら5人いてもいいのに(小説の中で『私』は5人侍女がついていたから)なんでそんな少いかというと、原因は、エルナのせいだ。エルナの身分が高いので、マリアのために何か出来ることをしても、身分も魔力も少ない侍女達は、エルナに嫌がらせをされ、侍女長に泣きつきマリアの侍女から外れるようお願いをするのだ。「マリア様以外の所なら、どこでもいい!エルナ様と関わらない所なら、なんだってやります!」ってどれだけ劣悪なんだよエルナ…。まあ確かに小説の中の『私』とエルナは、最悪だったなとか思ったけど。まあ、そんな訳で本当であれば5人で回す仕事を3人でやるっていうのは、かなりキツイ。侍女長もエルナの監視を兼ねてたまに手伝いをしてくれている。私がこっちに来ているときは、すべて侍女長に任せているので安心だ。もう一人の侍女はキャロル・メーターという女の子だ。この子は、貴族だけどかなり傍流でマリアの幼馴染みで小説の中でも、マリアの侍女をしていた子だ。キャロルとは、まだ1週間しか接していないが、小説通りマリアと仲がよく、傍流とはいえ、そこは貴族。魔力もエルナに少し劣るが、エルナの陰湿な虐めをかわすだけの力もあるし、持ち前の明るさで何かと不安なマリアをよく支えている。私も1週間一緒にいただけだが、平民の私に優しくしてくれて、侍女の仕事を教えてくれた。ちなみに、城の中で、私の身分を知っているのは、王、王妃、皇太子(マリアに言わなきゃいいけど)、宰相と次期宰相(⬅ここ、親子)の5人だ。侍女長にも、私が契約で家に帰る事で迷惑をかけるので、話てもよかったのだけど、やっぱり元皇太子の娘っていうのが、ばれるのが面倒くさいので、「食堂兼宿屋を父と娘だけで今までやっていたのだ。今は近所の助けもあるのだが、やはり父を一人にさせたままなのは、心配である。1週間に1度、帰宅させることで契約した。」と宰相様が侍女長にしかつめらしく、説明していた。流石、代々宰相をされているご一家。信頼度はすごいよね。
「ローズちゃん!騎士様が呼んでるよ!」
「はーーーぁああ?」
思わず、はーい!って言っちゃいそうになったじゃないのっ!なんなのよ!人が平和に平凡を満喫しているときにっ!私は今心の中で貴方のお父様をほめていたのよ!
「ローズちゃん!」
…しつこいよ。おばさま。ていうか、今いそがしいの!
「今、ちょっと手が離せないのー!」
盛り付け大事。うん、私は忙しい。
「ローズちゃん!」
「おばさま!」
なんで厨房まできちゃうかな。お父さんも止めてよ。料理運んで忙しいのは、わかるけど!いや、そうだよね。いつも手伝ってもらってるんだもん。止められないよね。
「騎士様がおよびだよ。いっておやり。ここは、おばさんがやるから。」
「は…い。いってきます。お願いします…。」
いーーーきーーーーたーーーくーーーーーねぇえええ~!
けど、いかなきゃ。ちらりとおばさまを見るとおばさまに、ニヤニヤされた。はぁあああ~…。絶対に誤解されてる気がしてならない。でも、何か言うと余計に勘繰られそうでいやだから、何も言わないでおくよ。
食堂に続く扉を押しあけると、いつもの状況ではありえない事がおきていた。な、なんじゃこりゃーーー!
楽しんでいただけてると嬉しいです。